マンチェスター居酒屋対談2006〜後編〜
(記/minaco.)


ピエール・ファン・ホーイドンクさん
前編

引き続き、仲良しのファン・ホーイドンクらと居酒屋でフットボール談義に白熱するルート。心なしか、次第に友人も酒癖の悪いルートに引いてきた模様。(ちなみに普段はワインを嗜む程度らしい。昔、慣れない高級酒を口にしてブッ倒れたとか)



──(H&H) どの監督なら君を動かせるんだい?
 ボビー・ロブソンはいつも自信を与えてくれたな。時々試合に出られなくても、“すべてを勝ち取れる訳じゃない”って言うだけさ。気休めじゃなくて、彼は本当にそう思ってたんだよね。マルコ・ファン・バステン?そいつは難しいな。

時々悩むんだ。ベンチだとか、1週間ゴールが無いせいじゃない。単純な疑問だよ。自分に何が出来るか解ってるし、実際出来るさ。でも俺はまだベッドで横になって“戦うべき状況”を考えてる。

──(ファン・ホーイドンク)自分の能力は知ってるだろ?どうせ立ち直るんだろ?俺はよくFKをミスするけど、でも次にまたFKを得たら躊躇わないぜ。やるしかないんだ。それでも毎度パーフェクトには行かないさ。

 そりゃ解ってるよ。でもお前みたいには思えないんだよね。お前が羨ましいよ。この悩みが付きまとうんだ。俺が常に必死に働く理由でもある。そうゆう悩みを持つから、それを打ち負かそうとする。

前以って自分に凄く気合入れるのは、試合中に絶対悩まないようにする為なんだよ。俺は後で自分を責めたりしたくないんだ…。

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【分析】
    H&Hは温かい心遣いを受けて帰ってきた。ルートはゆっくりとした話し振りで、さほど退屈でもなかった。彼はピッチ外で理想的な娘婿に見える。けれどもバカな雑誌を読んだりしないので、記事が彼に影響を与える事もなく、何の批判も干渉出来ない。後にも先にも、彼自身が最大の批評家なのだ。

    彼の特別な資質に疑いはない。だが、常にもっと完璧なものを探している。すべての偉大な詩人、作曲家や画家は、人生において最高傑作は2つか3つしか作れないと知っている。それでも、彼らは探し続けるのだ。

    体中を流れるフットボールへの愛。ザ・リアル・フットボール。
    不運にも彼は、愛なきフットボール世界に占拠されている。
    休日にも拘らず彼に会えた事は、何という冒険だっただろう。

    〜The End〜



オイオイ、終いにゃドンクさんに励まされちゃって…。全く、酔っ払いガチの巻くクダは手に負えんw

今頃何故こんな思い出話をするのかとゆうと、それは現在マドリーでの状況もまた、決して明るいものではないからなのだ。

勿論当時と違って、政権交代したマドリーにおいては予想通りの展開とも言え、さすがに本人も「俺はバカじゃねえ」と自分の置かれた立場をちゃんと承知してるらしい。けれど、いくら強気な事を言っていても、ワタシはこの夜の事を思い出す。

愚痴の聞き役ドンクさんはいないけど、あの頃も今も何故かロンが居る。ルートに言わせりゃ(言ってないか)「フットボールの××」塩とガチが共存できない仕組みは変わらない。

本当はもっと早くこのエントリを上げるべきだったかも。何せ南アW杯を目指すルートなので、事は早急に動きそうな気配なのだ。ローマ、スパーズ、フルアム、リバポー(え!)にガナーズ事務所(ええ!)まで、冬に開く市場の噂話が届く。4カ国得点王も魅力だけど、エドさんの待つイングランドに帰るのも有力な選択肢だろうな。

確かに、現代フットボールは愛なき世界。兎角、この世は塩に塗れている。如何にしょっぱかろうと、倒すべき相手や遂行すべきミッションがあるならば、それで良い。バットマン(@『ダークナイト』)もそうだった。ミッキー・ローク(@『レスラー』)もリングでしか生きられなかった。ストライカーは畳の上じゃ死ねない。

ガチには、ガチ発散の場が必要なのだ。
思い切り闘える居場所が。


# by tototitta | 2009-11-20 20:56 | Ruud van Nistelrooy | Comments(5)
マンチェスター居酒屋対談2006〜前編〜
(記/minaco.)


ルートの完全復活を待ちつつ、思い出話をするシリーズ。
今回お送りするのは、【マンチェスター居酒屋対談】です。

時は2006年、春。
カーリングカップ決勝を機にスタメンを外され、ファーギーとの確執が噂されたルート。勿論当人は真相に口を閉ざし、ただ途中出場を甘んじて受け入れていたけれど。

オランダメディアでも、Voetbal Magazine誌が逸早く現地へと飛んだ。そして芝居掛かった「潜入取材」を試みる。ラウオル・ヘーチェ記者とピエール・ファン・ホーイドンク選手(2人揃って自称H&H)が渦中のルートを直撃するというもの。

まあ、マンチェスターの居酒屋で呑みながら雑談するだけなんだけど、記事は大仰なストーリー仕立てになっている。例えばこんな感じ。
ウォーターゲート事件を暴いたウッドワードとバーンスタインはもういない。だが今、有名なジャーナリストコンビがルートに迫る!独裁者ファーガソンによってベンチへ追いやられた彼の真実とは如何に?!
そんなネタ企画にもかかわらず、ガチは思い切りガチだった。以下、その暴走ぶりをたっぷりと振り返ります。

ピエール・ファン・ホーイドンクさん



【試合開始】
マンチェスターのとあるパブでルートと密会した、「潜入記者H&H」。少々のワインなどを酌み交わしつつ、話を切り出す。
──(H&H) 訊いてもいいかなルート。ベンチに座ってるのは解せない?
ルート(以下R) 別に。監督がする事は解ってるよ。サハはよくやってるし、俺はいつかチャンスを掴むつもりさ。

──君はVan The Benchmanとしてマンチェスターに来たんじゃないぞ。
 監督が決める事だよ。

──誰がボスか君に示してるんだと我々は思うが。
R そんな風には思ってない。監督が俺だけをそう扱ってるんじゃないし、他の選手に対してもそうだよ。

──サハは良いよ。でも、君はもっと良い。
 トップクラブじゃ時々、他の選手の為にスペースを作らなきゃないのさ。

──我々は君をどう捉えればいいんだい?
 俺はチームのすべての事が頭に入ってるんだ。皆が何試合プレイしたか、何得点したか、サブは…って、いつもかなり正確に覚えてる。
俺の夢は200ゴールする事だった。もう既に148点獲ってるから、それは可能だよ。150点以上得点したのは過去7人しかいないんだ。俺は歴史を作るのが好きってゆうか、歴史の一頁になるのが好き。ここには凄い歴史がある…。先週、今はもうゴールするチャンスは少ないって気付いたんだけどね。

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【夢はまだ生き続ける】

──何が君を良いストライカーにさせたのかな?
 状況を判断するのが得意なんだ。どこに誰がいるか周りを見続けて、原則的にベストな動きを決める事が出来る。それに、俺は右足をよく使うだろ。凄く簡単に聞こえるかもしれないけど、良いシュートを打てるって事。すべての選手に良いシュートを期待しても、多くにそれがある訳じゃないよ。
アルコールが回ってきたのか、次第にルートは饒舌となる。
 オランダで俺はそれ程良い選手だと思われてなかったと思う。もっと若い子が沢山ゴールしてたし。よく解んないけど、でもそう感じてたんだ。

俺はだんだん悪くなっていきそうで怖かった。股抜き合戦や引き篭もりフットボールがすっかり嫌になりそうだった。っつうか嫌だったんだ。トータルフットボールの絶滅だよ。フットボールに“トータル”なんて何も無くなっちまう。

フットボールは細かいトリックがすべてだと思う選手が次々に出てきやがる。そいつらがもし股抜きでプレイ出来るってんなら、そりゃもうシアワセだろ。フ ッ ト ボ ー ル の 恥 だ ね !
どんどん怒り出す。こいつをどうやったら静かにベンチに座らせておけるというのだろう。
股抜きという言葉が彼をここまで極端に怒らせるのか?
 アフェライ(当時PSV)とかが気になるんだ。常にフリーでいて、でもって常にボールを持てるってんなら良い選手だよな。ジダンはフットボールに至高をもたらしたね。彼の動き、バランス、洞察力、俺はその凄さを享受できる。それがフットボールってモンだよ。

──アーティストみたいに感じるのかい?
 それどうゆう意味?

──誰でも基本や経験を高いレヴェルで持ってる。アンタッチャブルなものにさせるには、何が違うんだろ?広告的価値はクリエイティヴィティかな。ピカソは彼が最高の時に何をすべきか知らなかっただろ。
 もし正しい方法、相応しいタイミングでボールに触れれば、それは凄く美しいんだ…相応しいスピードや場所でさ…。多分、画家や作家によくそんな時があるのと、自分の感じる瞬間は似てるんじゃないかな。ボールが来た瞬間、瞬時に感覚で何でも解るんだ…何も考えずに、同時に高い集中力で。

── いいね、全く芸術的な資質だよ。でもレアル・マドリーは芸術家が沢山居るけど、結果は最高傑作じゃない。
 (落ち着き払って)多分、赤ばっかり、とか間違った絵筆なんだろ。


─────────────────────────────

〜後編に続く〜


# by tototitta | 2009-11-18 22:10 | Ruud van Nistelrooy | Comments(2)
ジャジィな気分で聴く音楽シリーズ番外編
(記/minaco.)


ワタシにとってエバーグリーンなバンドを5つ挙げるとしたら、Talking heads、The SmithsとThe Sone Roses、そしてR.E.M.、最後にThe monochrome set……となるでしょう。
いや。しまった、The Woodentopsも入れなきゃ。つまり6つ!!

勿論好きなバンドは他にも沢山あるけど、最も音楽に敏感だった頃の自分にジャストフィットしたのが上記なのです。

当時、UKのラフ・トレードとチェリー・レッドというレーベルのCDを随分買い込みました。今も昔の音楽ばかり聴いていて、全く飽きない。中でもモノクローム・セットはマスト・アイテム。

ビドの浮遊する声、捻れた旋律。どれもがワタシのツボ。彼らの音楽をかつてアンディ・ウォーホルが「ベンチャーズとヴェルベット・アンダーグラウンドを足して2で割ったよう」と評したそうですが、全くその通りです。

まあ、「アングラなロカビリー」ってところでしょうか。更にビドがインド人とゆう事もあって、そこに時折インド音楽のエッセンスまで混じってるような。

ところで先日、チェリーレッド30周年記念に再結成ライヴをやった映像を観たら、ビドがかなりおっさんになってて、声も衰えてたのが軽くショックだったな…。今は何をしてるのだろう。


ええ、タイプですとも。
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# by tototitta | 2009-11-15 19:40 | Music | Comments(4)
スコットランドを思う映画『Dear フランキー』
(記&画/minaco.)




常々、スコットランドは岩手(主に南部藩)と似てるような気がしてた。

ネス湖のネッシーと、遠野の河童。古城の幽霊伝説と民宿の座敷童子伝説。ハイランダーと蝦夷。ロブ・ロイとアテルイ。スコッチ・ウイスキーと、南部杜氏。労働党支持者が多数派のスコットランド、選挙でいつも民主党が圧勝する岩手。更に、盛岡の手織製品ホームスパンはスコットランドがルーツとか。

気質だって通じるかもしれない。虐げられた歴史による自虐、権力に対する反骨心。お世辞や虚飾が苦手。アイリッシュの持つパッションに比べりゃ地味だけど、かなり頑固で強情ッ張り。

先日観たのは、そんなスコットランドの寂れた港町を舞台にした、良い映画でした。
『Dear フランキー』('04)。
ママとおばあちゃんと一人息子のフランキーくんは、各地を転々とするうちにここへ辿り着いた。フランキーくんは難聴なので手話を使う。楽しみは、まだ見ぬ船乗りのパパとの文通。パパは旅先からいつも美しい切手を送ってくれる。

だが本当は、パパは船乗りじゃない。その手紙はママによる優しい嘘なのだ。大人の事情など知らぬフランキーくんは、パパがこの町に寄港する日を楽しみに待っている。嘘をつき通す為、ママは見知らぬ男をパパに仕立て、息子に会わせようとする──

寒々とした海辺。耳慣れたスコットランド訛り。見覚えあるリンクスの芝生。フィッシュ&チップスの店。家の中や人々の装いなど全体的に茶色っぽい。妙に郷愁を抱くような暮らしぶり。

スコティッシュって親切というか、世話好きなんだなあ。初対面だと無愛想なのに、みんな面倒見がよい。頼まなくても余所者の家族に親身になってくれる。これがアメリカ映画だったら、ママ1人で必死にパパの代役を探すところだけど、すぐお隣さんが紹介してくれるのが凄い。

そういや、岩手でも。先の菊池雄星くん(花巻東高・盛岡出身)のドラフト騒動の際、県民は皆「おらほの息子」同然に気を揉んだ。彼が会見で涙した時にゃ「あんたな優しい子を泣がせるどは…」とハラハラし、慣れない喧騒に戸惑った。結果、西武で良かったなや。やはりスコティッシュも岩手人も、そうゆう性分なのかな。

さて、果たしてフランキーくんは現実に気付くのか…って展開は、先が読めそうで読めず、最後には意外な真実が待っていた。説明しすぎない映画だし、映画は説明しすぎない方がニュアンスが広がる。殆ど声を発しないフランキーくんだからこそ、秘めた感情が伝わるのだ。

英国映画の子役は大抵が幸薄い役柄で、どこか冷めてる感じが逆に健気。また、ブレイクする前のジェラルド・バトラー(スコティッシュ)が出ていて、無骨な船乗りによく似合う。彼の役名「ストレンジャー」ってのが良いなあ。

厳しい現実に対し、大人も子供も精一杯頑張ってる。ママはやはり頑固で、自分なりに様々な問題に立ち向かう。フランキーくんはいじめっ子にも動じず、いつしか味方に付けてしまう。強情でタフな姿勢が清清しい。

ワタシは現実に少しだけファンタジーが混じってる映画が好き。英国映画ではあまり安易な救いを求めない。そもそも彼らは幸せを眼の前にしても、遠慮がちだ。だからドラマティックな変化などないけれど、やがて人々が助け合い、ほんの少し幸福に向かう。ヘヴィな設定なのに、とても心温まる余韻が残った。

# by tototitta | 2009-11-12 21:42 | 映画 | Comments(4)
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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。

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