(記&画/minaco.)
ここんとこガチなのが続いたので、今週はちょっと気分を変えて
『クヌート』('08)を観に行ったんだった。
ベルリン動物園で人工哺育されているホッキョクグマ、あの有名なクヌートの成長を追ったドキュメンタリー映画。北極に住む野生の熊母子と、ベラルーシの羆兄弟の暮らしぶりも対比される。
白クマたんカワユス〜ルーたんみたぃ〜♪などと、たまには思い切り萌えた感想を書くつもりだった。
なのに、すいません。またガチな話になりそうです。
いったいぜんたい何が哀しくて、わざわざ日本版なんてものに改変するのかしら。
映画が始まって1分も経たないうちに、ワタシは後悔した。ナレーション:藤井フミヤと字幕が出る。安っぽい音楽が鳴り響く。しかも、それが最後までずっと続く。
チラシやポスターで見かけて、よく確認せずに行ったのが間違いだったんだろう。え、日本版?と気付いた時既に遅し。それでも、ドキュメンタリーのナレーションを日本語音声に置き換えるばかりなら、(認めないけど)ままある事。ところが、どうやら映画自体が日本向けに再構成されているらしい。音楽まで日本のものに差し換えられている。
だから何が哀しくて、わざわざ日本版に改変するのかしら。
洋画の字幕に気を取られて画面に集中できない、という場合はあるかもしれないけど、ワタシはナレーションと音楽が煩わしくて画面に集中できなかった。何せドキュメンタリーに必然性ない音楽を付けられるだけでも嫌なのに、酷く陳腐なBGMがずぅーーっと流れてくるんですもの。TVじゃないんだからさ。
何故日本版になるのか、どうして普通に字幕で観られないのか、ワタシは後でちょっと調べてみたけど、その経緯は見つけられなかった。
クリリン風に言えば、
意 味 が 解 ら な い 。
これまでにも吹き替え問題やテーマソング問題など、映画ファン(劇場でお金を払うお客)を悩ませる公開の仕方があった。今回またも由々しき事態だとワタシは思う。何の為なのか、きっと
どこかに需要があるんだろうけど、我々には選択権がない。
お客は随分舐められたモンだと思う。そもそものクヌート・ビジネスに色んな人やモノが乗っかって、代理店の匂いがプンプンする映画ビジネスに成り果てる。大抵、こうゆう企画は当たらない。何とも子供騙し。いや、これで子供を騙せると思って欲しくない。
勿論、クヌートくんも野生のホッキョクグマもみんな犯罪的にかわゆかった。以前観たNHKの「白くまピース 誕生から6年間の物語」では、飼育員さんのお宅で障子や畳を破壊する幼いピースくんにメロメロとなったものである。
この映画でも飼育係さんとの関係や後日の訃報に泣けるけれど、もっとベルリン動物園と彼らの仕事について知りたかったのだ。フレデリック・ワイズマンの『動物園』と、ジャン・ジャック・アノーの『子熊物語』を足したようなドキュメンタリーを期待したワタシが間違ってたんだろうな。
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