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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
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第三十一話『ヴィディッチ・コード〜神の子と悪魔』
(記/なるほ堂、監修/minaco.)

【#31 Man Utd 2 - 1 Liverpool】
お知らせ:日頃よりのご愛顧、有り難うございます。予告されていた『ハグレ刑事 慎重派』は、主演俳優の「復帰には未だ、慎重を期したい」との判断により、予定を変更して、プレミアム洋画劇場『ヴィディッチ・コード』をお送りします。どうぞご了承下さいませ。
『ヴィディッチ・コード〜神の子と悪魔』

製作年 : 2010年  上映時間:90分+5分
製作国 : 英国  ロケ地:マンチェスター、オールドトラッフォード撮影所
監督 : A・ファーガソン  
主題歌:鬼束ちひろ「月光」
♪I am God's child. この腐敗したCL圏外に落とされた
 How do I live on such a ANFIELD? こんな順位のために 生まれたんじゃない


《解説》
スペイン異端審問団に由来する秘密結社「リガプル修道会」の狂信者たちと、赤い悪魔崇拝者たちの熾烈な戦いを描いたベストセラー小説を映画化した超大作宗教ミステリー。主演は「24 -TWENTY FOUR- 」のダレン・フレッチャー。カメオ出演に「悪魔たち天使たち」のアンディ・ガルシア。
第三十一話『ヴィディッチ・コード〜神の子と悪魔』_d0031385_21572499.gif
《あらすじ》
昨年10月25日。マージー河畔のアンフィルド神殿内で発見された、一つの遺体(ネマニャ・ヴィディッチ)。大学でプレミア宗教史の教鞭を執る私(拙ブログ筆者)は、故人の孫娘(オドレイ・トトゥ)の言葉、「これで三度目なのよ」を受け、調査を開始する。

すると、彼女の言う通りバークレイ・プレミア美術館の所蔵品の中に、昨年9月13日、同現場で発見された最初の遺体(ネマニャ・ヴィディッチ)が描かれた絵画と、昨年3月14日、マンチェスターで発見された2つ目の遺体(ネマニャ・ヴィディッチ)が描かれた絵画が。まさか三試合連続退場なんて、あり得るのだろうか。

だが、ヴィディッチのそれぞれの遺体には、秘められた暗号、即ち「ヴィディッチ・コード」が隠されていると考えた私は、やがて彼が、赤い悪魔を崇拝する秘密結社「赤悪魔騎士団」のメンバーである事を突き止める。遺体の奇妙に曲がった鼻、それは彼がスティーブ・ブルース以来、代々赤い悪魔の守護役を担ってきた家系である事を表していたのだ。そして、様々な妨害を経て、ようやく当時の犯行現場の写真を入手した私は、そこに犯人側から見たスコアと、犯人の記したメッセージが残されていた事を発見する。

2 - 1(08/09 H): GLUTTONY(=大食)
4 - 1(08/09 A): GREED(=強欲)、SLOTH(=怠惰)、LUST(=肉欲)
2 - 0(09/10 H): PRIDE(=高慢)、ENVY(=嫉妬)

被害者の血で書かれたメッセージの数は、各犯行で犯人の得た「得失点数」を表すのだろう。まるで映画「セブン」ではないか。「ダヴィンチ・コード」ネタでは無かったのか。すると、そんな私の元へ赤悪魔署を退職間近の老刑事(G・ネヴィル)と、スコットランドヤード出身の若手刑事(D・フレッチャー)が。彼らも同じ犯人を追っているらしい。

刑事たちから情報を得た私は、大英図書館で或る男と会った。障害を抱えた片足を引き摺る、風采の上がらないその男は、ミルトンの「失楽園」を開き、犯人のメッセージをこう説明した。

大食とは、余りある勝ち点獲得で肥え太った悪魔の大食。
強欲とは、なおかつタイトルを増やさんとする悪魔の強欲。
怠惰とは、守備を怠る塩悪魔(当時所属)の怠惰。
肉欲とは、その頃に婦女暴行疑惑の掛かっていた某若手悪魔の肉欲。
高慢とは、大物選手を放出しても勝てるという悪魔の高慢
嫉妬とは、現にそれでも勝ち続ける赤い悪魔への嫉妬。


そして男は言った、「もう一度、犯行が行われる」「奴らが執着するのは、数字だ」。何故この男が、犯行一味と赤悪魔騎士団の両方に詳しいのかは謎だ。ともあれ事件を解く鍵は、この「7つの大罪」に隠されているに違いない……それを念押す様に、去り行く男の背中には「7」と記されていた。

だが、犯人の行方は容易に掴めなかった。なぜなら「CL圏外」という、我々に縁遠き未知の闇に身を沈める者たちを、その眼中に入れることは困難だった。しかし、事態は思わぬ形で動いた。

3月21日、午後。ジョン・ドゥよろしく、マンチェスター赤悪魔署の正面玄関より自ら出頭してきた犯人。それは「リバプールの救世主」を騙るカルト教団「リガプル教」の教祖ベニテス容疑者であった。彼は静かに、一枚の看板を指した。

吾、再び来て世をさばく 聖書

教祖ベニテスは、マンチェスター赤悪魔署の正体が、過去3年間、プレミアの表裏を支配してきた秘密結社「赤悪魔騎士団」であることを知っていた。「貴様の単独犯行か?」との刑事の問いに、彼は教団の賛美歌「汝、一人で歩くものに非ず」で答えた。即ち、我々リーガプールは常に複数犯である、と。

容疑者に促され、オールド・トラッフォードの荒野へ赴いた刑事たち。すると、丘の向こうより砂塵を上げて、一台の宅配車が。

「ギャリー、箱の中身は何なんだ!」
「落ち着くんだ、フレッチャー! ……ああ、何てことだ!」

老刑事ギャリーが、届けられた箱を開くと、そこにはヴィディッチの生首が……と思ったら、それはサッカーボールだった。宅配のドライバー(H・ウェブ主審)は言った。

「前置きが長過ぎる。さっさと試合しろ」

─────────────────────────────

戦いが始まった。老刑事長ギャリー率いる赤悪魔署と、ベニテスを狂信する秘密結社「リガプル修道会」の十一人の使徒たち。その中には、ヴィディッチ連続殺害事件の実行犯である、「神の子」を自称する聖トレスの姿も。

狂信者らの目論見は、開始5分で達成された。聖トレスのゴール、それは彼らの7つ目の得失点獲得であり、それは「楽園(=CL出場圏内)」から追放された彼らリガプル教徒らの「WRATH(=憤怒)」を表していた。

だが、戦いは終わっていなかった。なぜならば、悪魔でありサイボーグであるが故に甦ったヴィディッチは、今回未だ生きていた。

赤い悪魔が同点に追いついた後、その勝利を決定づけたのは、警察犬パク☆チー号であった。普段はベンチ脇に繋ぎ置かれているが、一度ピッチに放たれれば、そこに潜む「危険物」を嗅ぎ分け、それを何処までも追跡する忠犬である。

彼のお手柄は、決して偶然ではなかった。狂信者たちはパク☆チー号の背中に、彼らを戦慄させる「神の最も忌み嫌う数字──13を見た。それこそが、日頃「幾ら優秀でも、警察犬に射撃(シュート)まで期待するのは無理だよ」と囁かれるパク犬を、敢えてこの大一番で起用した悪魔王ファーギーの深謀であった。ちなみにこのゴールは、この「ヴィディッチ連続殺害事件」が開始されて以来、両者計13点目」のゴールでもあった。オカルト。

例え勝ち越し点を得ても、現場で捜査指揮するギャリー刑事長に油断は無かった。なぜなら彼は以前、リフォーム業者として市井に紛れた在家信者の策謀により、自宅プール下へリバプールグッズ一式を埋められた経験があるからだ。帰路に5人組の狂信者に襲われ、車ごと引っくり返されそうになった事もあった。これマジよ。

その恨みも込めて、対面で目障りな使徒ロドリゲスの後頭部を、靴裏で狙うギャリー。彼の場合、同時にギャリーの忌み嫌う、テヴェスと同郷のアルゼンチン人であった事も災いした。

そんなギャリーを懐柔せんと、笑顔を作って纏わりつく聖トレス。あたかも「汝の隣人を愛せよ」とばかりに。だが、この「神の子」を騙る小僧は、元を正せばマドリードの路地裏に巣食うチンピラである。無理に振りほどけば大仰に倒れること明白なその魂胆を見切り、ギャリーはただそれにピッチへの唾棄で答えた。

信仰の虚を暴かれた彼らに、もはや反撃の力は無かった。偽りの神の子は、「急にボールが来たから……」と空振りし、投入されたバベルの塔やユダヤ人も無力だった。

戦いは終わった。赤い悪魔は勝利し、ヴィディッチは生き延びた。荒野には「聖戦」に敗れた教祖の、お定まりの文句が虚しく響いた。

「これは審判ら悪魔に与する者たちからの、我々への迫害である」

その言葉、未だ「リガプル教」を信仰する教徒らに、どう響いただろう。老刑事ギャリーは思った──目を覚ませ。君らが教祖と信じる者の導く先は天国でもCLでも無い。その先にあるのは、ただの終末……集団自殺行為だ。

だが、同時にギャリーには判っていた。彼らの邪教に盲信する理由は、何より信仰を失う恐怖にあるのだと。かつて彼らの地に存在した「ワンダー教」も、完全に滅亡した今、救済を求めて彷徨える魂に、何処に安息の地があるのだろう。

フットボールの世界とは、なんと遣り切れぬ世界なのか。長いキャリアの中で、沢山のクラブと、その信者たちの「死」を見届けてきた老刑事ギャリー。傷つき疲れた男の、これが最期のリバプール戦?──いや、違う。彼は一旦外しかけた腕章を、もう一度たくし上げて言った。

「“フットボールは素晴らしい、契約延長する価値がある”──後半の部分は賛成だ」

【完】

………………………………………………………………………………

《ユーザーレビュー一覧》
チョイ悪おやじ三人組、登場! (投稿者:なるほ堂)
評価:☆☆☆ (0人中0人が参考になったと評価しています)
伝統を忘れたリバプールに当てつけるかの様に、ファーギーは、
ユナイテッドの誇るレジェンド達を、続々とピッチへ。あからさ
まな采配の意図が痛快!

《ユーザー得点》
☆☆☆(勝ち点3)

to be continued...


次回、第三十三話『Hargre刑事、復活スペシャル!』、
どうぞご期待下さい。
(タイトルは予告無く変更される場合があります)

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このドラマはフィクションです。実際の人物・団体・
実在する宗教法人とは一切関係ありません。
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by tototitta | 2010-03-26 22:01 | Manchester United | ▲ TOP
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