(記/minaco.)
プレミア開幕しましたが、もうちょっと続きます。
061年後、ルートはPSVへ移籍した。
「ほんとはPSVに行く前に、もっと長くヘーレンフェーンでやるべきだった。基本を身に付けてトップに行くべきだった。そう、トップレヴェルに辿り着いた時ちゃんと出来るようにね」
──でも、彼らは君をPSVに行かせた。史上最高額で。
「とりあえず行かせたんだ」
──10万ギルダー(当時)で。
「うん、馬鹿げてるよな。でも正直言って、金の事なんか本当に考えなかった。俺にとっちゃそれ以上に、
“俺はPSVでプレイできるんだ!ジーサス…なら、勿論!”って」
──全然考えなかったの?
「ああ。PSVでプレイできるって事の方がもっと重要だったんだ。もっと強くなれる、自信を与えてくれる。彼ら(PSV)は本当に良く面倒を見てくれた。俺はトップレヴェルへ行こうとしてる、だから多分、そうなれる…」
アイントホーフェンでは厳しいスタートの後、ルートは良いストライカーとなるスタートを切った。性格、情熱、ファイティング・スピリットが彼の最大のモットーとなる。彼は更に得点し続け、更に磨かれていった。やがて彼は、代表チームに適う能力を身に付けた。
◆ ◆母親によると、ルートの最も美しいゴールはアヤックス戦、アムステルダム・アレーナだった。
「私には上手くいかない時期だったの。手術を受けなくちゃならなかった。日曜日、ルートはアヤックス戦があった。同じ日、私は手術して、あまり見込みが良くなかった…」
「あれは素晴らしい瞬間だったわ。後で新聞を見たら、こう書いてあったの。
“おお、彼を見てごらん。あの感情を…”
私はベッドで横になって、思ったの。“知ってたのね…”
でも、その瞬間はとても素晴らしいものだった」
* どうやら訳あって息子に手術の事を隠していたらしい。ママは今も新聞に載った写真を傍らに飾ってある。
◆ ◆
「どうやったら“真の”良い選手になれるか…国際大会のトップ、代表チーム、そして……」
──どういう意味?
「もしかしたら次のクラブ…。この“……”は、ヨーロッパのトップクラブの事かな。うーん…。PSVよりもっと大きなクラブへ移籍する姿勢。
“自信、強さ、今日は止められない”
それがもっと大きなクラブとしての選手の振舞い方。俺は金とか、違う見せかけなんかはいらなかった。でも、他人は自分の事を違う風に見てるんだって感じてた。そして同時に、俺はある種の理想を求めてたんだと思うし、そういうものを信じてたんだと思う。自然じゃないって、そう思ってた」
<フットボール日記より>
“ポジティヴ。努力し続ける事。エール、ルール、ヘルプ。止められない姿勢を持て。誰も今日の俺を止められない。自信。クール。シャープ。タフ。意味。だから、そうしなくちゃない…”
「ハハ、凄く甘いね。思い出せないなコレ…。アハハ、珍しい…。俺、こんな事どうやって考えてたんだ?」
──君が書いたんだよ。
「うん、解ってる。ああ…」
〜続く〜