S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
XML | ATOM

skin by なるほ堂
ABOUT CONTACT BLOG LINK
『Dear.フランキー』を再び
(記/minaco.)

Dear フランキー [DVD]

ハピネット・ピクチャーズ



スコットランドのグラスゴーを舞台にした映画、『Dear.フランキー』を再び観る。以前にも感想を書いたので粗筋は省くけど、しみじみと良い傑作。とりわけ東北人にとっては、登場人物達の心情が手に取るように解る気がする。

改めて感じたのは、脚本と演出のきめ細かさだった。特に、声の演出。映画は何度目かの引越しをするフランキーくんが、未だ見ぬパパへ語るモノローグで始まる。だがやがてしばらくすると、フランキーくんは難聴で声を発しない少年だと解る。観る者は既に彼の声を聞いてるのに。

また、船乗りだと偽って届くパパからの手紙も、最初はママ(エミリー・モーティマー)の声で読まれるのだが、途中からまだ登場してないジェラルド・バトラーの声になってゆく。フランキーくんの記憶にないはずのパパの声。それとは気付かないほど細やかな伏線が、まるでこの後の小さな奇跡を予感させるかのよう。

そんな風に語り口は静かで、かつ豊かな情感をずっと含んでいる。大人の事情と子供の事情。ママと祖母との関係。余所者の家族へ寄せる周囲の思い。フランキーくんの手紙にたくさんの内なる声があるように、映像と役者の演技はそこにある心の機敏を雄弁に伝える。寂れた港町の風景はぼんやりと薄茶色に見えるけど、その中で赤い郵便ポスト(地図上の赤いピンと符合してる)やアパートの緑色のタイルが印象深い。

かりそめのパパが見守るフットボールの試合。フィッシュ&チップスの店。海を見下ろす高台。大きな貨物船が停泊する波止場、ボードウォーク、波打ち際。老若男女が集まるパブ。ああ、何とありふれた港町の情景が沁みることよ。


頑固だけど情に厚いスコットランド人の気質も、これを観るとよく解る。辛くても泣き事を言わず、自分や家族を守ろうとするフランキーくんたち。ジェラルド・バトラー扮する土地を捨て船乗りになったストレンジャーもまた、黙って彼らに寄り添う。ほんとうの事を声に出すより、大切な人の為に嘘を付く方を選ぶ。普段は思いを胸に秘め、ほんとうに大事な事しか言わない。その奥ゆかしくも頑なな姿勢は、きっとスコティッシュの「じょっぱり」なんだと思う。

岩手県民の満男も、いつだってチームや仲間を背負ってきた。Jリーグアウォード表彰式でのコメントや、今「東北人魂」をシューズに刺繍してピッチに立つのも、みんな満男らしい。自分を日本代表にアピールするのを嫌うのに、仲間の為にはその声を代弁しアピールする。鹿ファミリーの家長として、東北人として、それが我々の見てきた満男なんだ。

映画の最後の方で、ストレンジャーの素性を訊かれ「自分の弟よ」と答える友人。それもまた、誰かの為の嘘かもしれない。そして嘘の手紙がラストで真実に変わる時、それ以上の言葉は要らなくなる。
ほんの少し東北人魂を知る上でも、是非お薦めしたい映画です。
[PR]
by tototitta | 2011-05-02 00:46 | 映画 | Comments(2) | ▲ TOP
Commented by かず at 2011-05-24 13:52 x
恥ずかしながら2回目のご紹介でようやく鑑賞させて頂きました。いや、良かった。素晴らしい脚本、ご指摘のように「説明しすぎない」抑制の効いた演出。大人の作品でしたね。
 
これからも良作のご紹介、楽しみにしております。
 
普段のご生活、落ち着かれているといいのですが。。ご健康とご無事を影ながらお祈りしております。
Commented by minaco. at 2011-05-29 01:06 x
かずさん

お返事が遅れて申し訳ございません!!すっかり放置したままで大変失礼いたしました。どうかお許しを!

ご覧いただけたのですね。ありがとうございます!嬉しいです。
そうなんですよね、登場する人々も映画自体も、しみじみじんわりと沁みてきます。子供が主人公でも甘くならない、子役に逃げない。繰り返し観ても、特に水きりのシーンやママとストレンジャーの玄関シーンの演技、ラストにはぎゅっと心掴まれます。

いつもお気遣いいただき、本当にありがとうございます。大丈夫、こちらは元気にしておりますよ。なかなか更新できずに心苦しいのですが、またいずれ映画の話でも…
かずさんも、どうぞお元気でお過ごし下さい。お暇なときにでも、またお好きに書き込んで下さって構いませんので…
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

LINKS
・ Mercedes's Diary
・ おかず横町
・ デジカメのいろいろ
・ 今さらながらの○○修行
・ 春巻雑記帳
・ 塔とゆりかご

映画
・ NAWOWOW
  NAWOKO KAWAMURA'S PORTFOLIO

 Football
 ・ CALCIO馬鹿のたわ言。
 ・ 【別館】Black Swan of Ukraine
 ・ ファーポコ
 ・ A.C.MILANを斜め読み

 鹿島アントラーズ
 ・ オフィシャルサイト
 ・ Red-Deer's Diary
 ・ My Soccer Diary
 ・ やわらかな風に包まれて
 ・ はいっ、おばさんは遠隔地鹿島サポです!

 レノヴェンスオガサFC
 ・ オフィシャルサイト


OTHER ROOMS
WEBSITE SPIN-OFF

・ ABOUT US
・ CONTACT