『シン・シティ』を一緒に観終えたなるほ堂は、
「…やっぱり恐いじゃん〜〜!!」と 泣きそうな顔になっていた。
確かにこの映画、バイオレンスがキツい。もう勘弁して〜と気の弱いなるほ堂がいくらスクリーンから目を背けても、イライジャ・ウッドが、ベニチオ・デル・トロが、ニック・スタール(『ターミネーター3』にエドワード・ファーロングの代わりに出てた男の子)が、血みどろになってあんな目やこんな目に……!
私はと言えば、モノトーンにパートカラーのCG処理された映像のおかげで、エグいシーンも完全にコミックであり虚構の世界と割り切れたから大丈夫。もっとリアルなバイオレンス描写なら目をつぶってしまうけど。
突然ですが、映画のバイオレンス描写におけるあなたのR指定はどこがボーダーラインでしょうか。
最近は細かくR指定で分けられてるけど、許容範囲は個人的なもの。『ゴッドファーザー』でもダメな人がいれば、どんなスプラッター・ホラーも平気な人がいる。まあ、ホラーは笑いと同義になってる事が多いけど。
私は『シン・シティ』はOKでも、『キル・ビルVOL.1』はアウトだ。ロドリゲスはいいけど、タランティーノのバイオレンスは苦手だ。デビッド・クローネンバーグはいいけど、デビッド・リンチはちょっと苦手。サム・ペキンパーはぎりぎりOK。映画としての面白さとはまた違う話である。銃をこめかみに突きつけて、そこでカットが変わって死体があるのは許せるけど、ブチ抜かれるところは遠慮したい。 基本的には寸止めがベター。
アクション系バイオレンスじゃなくても、アート系(?)でもバイオレンスはある。
私はピーター・グリーナウェイの映画が好きだけど、とても他人には薦められない。
ついでに言えば、これまで観た中で一番恐かったのは『サスぺリア(2)』と『ベイビー・オブ・マコン』だな。トラウマです。
薄っぺらな描写でお茶を濁されるのもつまらないし、作品によっては観る方の我慢も致し方ない。でも 最近の映画はCGが進歩したせいか、露悪的にエグいシーンを入れることが多いんで困る。だって、ツクリモノと解ってても心臓に悪いじゃないか。
ところで、ロドリゲス映画はルチャ・リブレ(メキシカン・プロレス)と同じだ。役者のポテンシャルを最大限生かしたキャラクターがどれも立っているし、恐いものなし、アイディアと情熱を惜しみなく注ぎ込んでるのが観ていて楽しい。
テクニコ(善玉)はテクニコらしく、ルード(悪玉)はルードらしく、ベタはとことんベタでいい。迷いがない。『スパイ・キッズ』シリーズを評価しないファンはヤオだと思う。あれこそロドリゲスにしか撮れない傑作ではないか!
『シン・シティ』はロドリゲスが
”バーリトゥード” 、または
”電流爆破デスマッチ” に参戦した映画だ。
”黒ロドリゲス”ともいえる。
出てくるのは相変わらず私好みの顔ばかり。しかも、今回はイアン・ハート(アイルランド代表のフットボーラーではない、念のため)まで使うとは!さすがにいい顔、いい役者が解ってるなあと嬉しいぜ。
パート2も作るらしいが、もうロドリゲスなら今更何をやっても構わない。心のアミーゴなんである。ついて行くぜ。
(記&絵/minaco.)