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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
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ジョージ・ベスト氏の逝去に寄せて

最近あまり景気の良い話が聞こえてこないユナイテッドですが、とうとう哀しすぎる訃報が。ジョージ・ベスト。背番号7。心より御冥福をお祈りします。

ベストの事は、私なんかより当時を知る金子勝彦さんのような方がきっときちんと語ってくれることでしょう。
ただ、今回の訃報を知らせるユナイテッドの公式サイトで彼の写真を見た時、改めてその絵になるカッコよさに溜息が出た。
中でも、若かりし頃のボビー・チャールトンとベストが2人並んだ絵ヅラの良さよ。長髪のハンサムなアイドル風ベストと頭頂部にうっすら横分けの髪が漂う苦労人風チャールトン。ポップとトラッド。選手としても人間としても、これ程対照的な2人は滅多にない。相反するこの2つの個性を共有しているのがユナイテッドというクラブの特徴だと思う。どちらが欠けていてもクラブの魅力は半減するに違いない。

レアルやバルサ、ミランが外国から連れて来た最高の選手で歴史を作ってきたのとは違って、 ユナイテッドは'60年代以降、英連邦で最高の選手を擁してきたのが自慢だ。
故にルーニーがユナイテッドに来るのは当然の摂理(と、入団前になるほ堂に言われた)。しかしそれ以前のベッカムにしろ、カントナ(フランス人だけどイングランド人化)にしろ、ベストがいなければ彼らもなかっただろう。
偉大な選手の系譜はチャールトンのような聖人だけでなく、ベストによって悪魔の系譜もちゃんとあるのがユナイテッドだ。

このクラブで活躍するには、過去の名選手と常に比較されることを受け入れなければならない。言い換えれば、現在の選手は過去を継承する為に存在すると言ってもいい。そりゃあ大変だ。

でもロンはベストになれるのか、ルートはデニス・ローに双肩するか、ルー坊はカントナ程のカリスマになれるのか、ファンは過去の伝説になぞらえて語る愉しみがある。ユナイテッドの選手はいつだって歴史の上でのポジショニングを見極めなくちゃならないのだ。その辺、7番の継承者はどう思っているんだか。
ベストはギグスよりロンの方が自分に似てると言っていたのだよ。

(記/minaco.)

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王貞治が生まれながらに王家の出であるように、Gベストは最初からベストだった。選ばれし人間なのだ。
彼の出現こそが、スポーツに新たなる客層=ミーハーを呼び込み、スポーツの範疇を超えて人々を魅了する今日のスポーツビジネス隆盛の発端を作った。その点からいえばむしろ彼は長嶋に近いかもしれない。長嶋がいなければ日本に野球のみならず「大衆スポーツ」の今日は無かった。少なくとも「Number」の様なスポーツ専門誌など無かっただろう。
だから、この訃報に触れて「どういう人が亡くなったの?」と思われた方は、日本でいえば長嶋が亡くなったと同じと考えればいい。ちなみに王貞治はボビー・チャールトンである。人間国宝=サー。 (なお、プオタは馬場猪木になぞらえて、猪木が死んだと考えるとベター)

ピッチ上ではベストはどういう選手だったのか。本来ならばマンチェスターUの七番を継ぐロナウドを例に挙げたい所だが、全く違う。ロナウドは長身、腰高に加えて、腋を締めて走る癖があり、必然的にバランスが悪い。ベストは常に肘を外に突き出し、大きく腕を拡げて走るのでバランスが良かった。ゆえに、敢えて似ていると言えばフィーゴか。

ベストについては、とかく自堕落、酒乱、パーティー好きという一面が語られる。だが果たしてそれは本当だろうか。
「よく言われるように、彼が練習場で酒臭かったなんてことは無かった」と、かつてのチームメイトは言っていた。確かに型破りで派手好きな面もあったし、酒に溺れた時期もあったが、大半の彼の人間性にまつわる評判はタブロイドが創ったものであり、面白おかしく語られ過ぎていると思う。
「彼は寂しがり屋で、その反面人付き合いが苦手だった。」という声も聞く。むしろそっちが本当のベストだと思う。
過度の名声が、逆に彼を孤独に追いやった。ヴィクトリアというガイドを得てショービジネスの世界を満喫しているベッカムとは違うのだ。
寂しがり屋は、とみにサービス精神旺盛に振る舞ってしまう。愛されたいから。だから彼は自身の「パブリックイメージ」の方に大衆が喜ぶのを知って、敢えてそれに応えようとし過ぎたのでは無いか。変われるチャンスはあった。事実、自殺未遂までしたゲルト=ミューラーは真人間に生まれ変わって今バイエルンの若手を育てている。ガスコインや、あのマラドーナにしても近年は人生を良い方へ舵を取り直していると聞く。
だがベストには出来なかった。残念な事に彼は大衆の道化を演じ続けた。昨今、体調を崩しがちな頃のインタビューでも「keep drinking!」と笑顔で答えた。彼はそうする事で愛をつなぎ止めたかったのだ。サーカスを退いた像が、それでも人を見ると鼻を振って愛想を振りまくような、、、そんな哀しみを覚えた。「もう無理をしなくてもいいんだよ」と言ってあげたかった。

最後に、彼が今現役だったらどの位出来たかを考える。僕にしても勿論現役時代の彼のプレーを生で見たことが無いのでおいそれとは言えないが、C・ロナウドやロベン、ホアキン程度の選手が優れたウィングと言われる今、彼ならば容易にそれ以上のプレーを見せてくれただろう事は想像に難く無い。それに何より、ベストの登場が無かったら現在に繋がる「良きウィングプレーヤー」の雛形すらも無かっただろうし、サッカー界そのものの形が今とは大分違ったものだったろうから、仮に今のプレーヤーがベストよりもベターだったとしても意味の無い話だ。
ベストこそがベスト。永遠に。

御冥福をお祈りします。

(記/なるほ堂)
by tototitta | 2005-11-27 23:04 | Manchester United | ▲ TOP
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