去年はさっぱりだったけど今年は出来るだけ沢山映画館に足を運ばねば、とのつもりで新年1本目は
『Mr.&Mrs.Smith』 。
このタイトルを聞いた時は、ヒッチコックのラブコメ
『スミス夫妻』のリメイクか?と思ったが、全然違うのね。さほど期待はしてなかったんだけど、意外に楽しめた。華のある2枚看板スターならではか。
(以下、ネタバレしますので御注意を)
一目惚れして即ゴールイン(でも既に倦怠期)、しかし結婚相手は敵対する殺し屋だったからさあ大変!バレたからにゃ、お互いを抹殺すべく壮絶バトルへと突入。こんな夫婦が暮らしてるご近所も大迷惑だ。
とにかく全編ブラピとジョリーちゃんが出ずっぱりで、それ以外は時々ヴィンス・ヴォーンがいい 箸休めとして顔を出す程度(V.ヴォーンって強面サイコ・キャラだったのに、今じゃすっかりコメディ・リリーフ)。実際にロマンスが騒がれてる2人の痴話喧嘩だから、観てる方も微妙な気分。
だって、この映画のヤニ下がったブラピは地じゃないのか。彼はもう
「ステージから降りた」 感がする。自然体を曝すのは本人にとってはシアワセな事だろうけど、映画スターとしてはギミックが必要。バンデラスのように「シバリ」有りきで、それをファンタジーにまで高めるのが理想だ。これから俳優としてのブラピは余生となるだろう。このままジョリーちゃんの尻に敷かれて暮らすがいいさ。
面白いアクション映画は面白いミュージカルでもある、と思っている。どちらもアイディアが勝負。そしていい音楽に合わせて、ダンスのように緩急を付けて踊ることが肝心。ジャッキー・チェンやキートン然り、そしてマルクス兄弟然り。
この『Mr.&Mrs.Smith』は
『007』並みの秘密兵器や、
『コマンドー』 並みの破壊っぷり、
『スズメバチ』並みの銃弾雨アラレ降り注ぐインドア・シークエンス、更に小物使いの笑いも入れて、色んな映画のオイシイ所獲り。 ”形ある物はすべて壊せ”の精神は大いに買いだ。緊迫するクライマックスの銃撃戦のバックに、軽いダンスミュージックを被せる辺りも気が利いてはいる。
だが観ていて次第に気になるのは、このリアリティ無視&荒唐無稽なお話をどう収拾するのか?だ。愛を再確認した2人は当然組織に執拗に追われ、どちらかが死ぬまで決着は無理無理。ならば映画をハッピーエンドにするにはどうするか。
いよいよ絶体絶命のお2人さん。敵に囲まれた深夜のストアの倉庫でふとラパスへ逃げるヨットがある事を思い出す。そこでブラピは言う。
「ラパスは最高だろうな」
えええーーーーっ!
『明日に向かって撃て』かよーーーーっ!!
そうきたか。 ブラピといえば R.レッドフォードの後継者だ。 その手があったか!
かくして捨て身の2丁拳銃で銃弾の雨に飛び込んでゆく2人。ストップモーションではないがスローモーション。そして静寂。
最後におまけのシークエンスがあるが、私は断言する。この2人は死んでいる。
だがこのシーン、レッドフォード・ファンのなるほ堂は決して許さないだろう…。
PS/案の定、なるほ堂いわく、
「ブラピがRR(ロバート・レッドフォード)の後継者であるのは認めよう。彼がRRをリスペクトした『スパイゲーム』も良かった。しかし、、、サンダンス・キッドまで許した覚えは無い!」
との事です。
(記&絵/minaco.)