【グループB】イングランド 2-0 トリニダード・トバゴ
世界のごろつきが巣食うバー。
知恵者のカリブの海賊がグラスに入った水を指し、
「誰か、自慢の刀でこの水を斬ってみせたら勝ち点をやるぜ!」
すると、力自慢のバイキングが名乗りを挙げ、先祖伝来の剛刀を振り下ろした。
だが、水を斬る事は出来ない。
トリニダード・トバゴの守備は例えれば、
液体である。
“堅い”のではなく、むしろ柔らかくて粘っこくて、しつこい。
緒戦のスウェーデン。
彼らはその執拗にまとわりつく守備に苦しんで無得点に終わった。
さて、イングランドは?
こちらも監督はスウェーデン人。同じ過ちを繰り返す可能性は十分ある。
だがイングランドの賢者(マクラーレン?)は言った。
「そのグラスをお貸しなさい」
彼は海賊のグラスを持つと,そのまま冷凍庫に入れ、凍って固まった水をグラスごと斬ってみせた。
即ち、
終止力技で攻めたスウェーデンと違い、精密誘導ミサイル発射装置・ベッカムを一列後方に置いてマークから逃し、
更に小柄ながら俊敏な選手を投入してトバゴ守備陣を自陣ゴール前で凍らせたイングランドの、知恵の勝利である。
凍った港で身動きの取れない海賊船は、ピンポイントで狙い撃ちするイングランドの“的”に過ぎなかった。
カリブの海賊船は、あわれ幽霊船となって敗走するのみ。
その他・気付いた事。
・ルーニー登場! 白いユニに白い肌、それにあの体躯だからどうしても
白熊ピース君に見える。
・イングランドは例え殆ど攻められていなくとも、GKのダメっぷりだけは丸判り。
・上川さん、もう一丁行けそう?
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【グループB】スウェーデン 1-0 パラグアイ
ヅラタン・・・。
アヤックスで頭角を現した彼を見た時、誰しもが
「ファン・バステンの再来!」
と思った。
大柄な体躯に似合わない、繊細なボールタッチ。そして突破力。
だが、そろそろ見切り時かもしれない。
この大器は、ゴールモンスターにはなれない。
(怪我を差し引いても。)
もしかして彼の中に大きさへのコンプレックスがあるのだろうか?
彼の最近のプレーを見ていると、彼の中に怪物として怖れられるよりも、
スマートで知的なプレーヤーとして評価されたいという思いが伺える。
無論「ファン・バステンの再来!」ってのは僕らの勝手な期待であって、彼自身が望まないのであれば仕方が無い。
ただ、彼のそんな思いは既に敵DFに察知されている。
言い換えれば、
「ヅラタンは足下でボールを一旦止めてくれる、ファーストタイミングでは危険性の無い選手」
と、見切られているのだ。
少し
森島猛(プロレスリングNoah)に重なる。
彼もまたその巨体と抜群のセンスから
「怪物・ジャンボ鶴田の再来!」と期待された。
だが、彼はそんな思いを他所に、完成度の高い、受け身や試合運びが巧い選手を目指した。
巨体と巨乳を振り回し(失礼)、KENTAらショッパいレスラーを捻り潰す姿を望む多くのファンは、忸怩たる思いで今彼を見ている。
それは恵まれた者の必定かもしれない。
今、長い田舎暮らしを経てイタリア代表
トニが開花している。彼こそゴールモンスター。
ただ闇雲に己の熱い魂をぶつけ、敵を葬る事でしか這い上がれない場を彼は乗り越えてきた。
だが甘やかされて育った二人は、ちょっとしたトラップや、ちょっとしたバックドロップでも誉められてしまう。
彼らはそこがあまりに居心地が良すぎて、その先へと踏み出せないのだ。
(記/なるほ堂)