(記&絵/minaco.)
<#34 / REAL × RCD ESPANYOL>
予想もつかない、あり得ない展開の事を、神が書いたシナリオ(ブック)、つまり
「神ブック」と呼ぶらしい。
この試合が、正にそれだった。
連勝中のレアルにとって、そろそろ足元を掬われるやもしれぬ相手、エスパニョール(ちなみにマスコットのインコ人間はシュール)。UEFAカップ決勝進出の為、若干メンバーを落としてきたらしい。一方のレアルもベックス、ホビーニョを出場停止で欠く。
開始10分は順調な流れとはいえ、右に置いたイグアインが何度も似たようなクロスを上げ、左のグティはもう神ではない。
イグアインは一生懸命さが伝わるだけに責める気などないけれど、とりあえずルートに上げれば何とかなる、なんて雰囲気があったのかな。
カウンターがまんまとはまったエスパニョールに2点リードされ、何とか前半にルートの4試合連続ゴールで反撃するも、また失点。パンディアーニはハットトリック。
それでもハーフタイムに気合入れ直せるのが今のレアル。3点獲られたら4点返せばいいじゃないか。その時間は充分ある。
などと、どこかに根拠のない余裕を感じてしまうのは、ユナイテッドで散々「あり得ねえ」事を観てきたからでしょうな。それに何より、このチームにはガチが約1名(とりあえずラモスくんはフラメンコ・ガチなので2名かな)。
”ガチとは決してあきらめないこと”(万が一マドリディスタの方がこのブログを見たら、一体何を言ってるのか訳解らんでしょうね)。
後半になると、早速ルートのヒールパスからラウルが美技を見せたゴラッソ(その後のシュートも決まってればレジェンドだった)。イグアインに突っ込まれたカメニがボールを失うと、そこへレジェスの鮮やかなゴラッソ。いつしか同点。あとはオウンゴールでもあれば、まるでユナイテッドの試合みたいに出来すぎだ。
「神ブック」はまだ続く。
まるでチームの末っ子のようなイグアインが、アグレッシブに豹変する。ハーフタイムにシメられたか(誰に)。
ラウルからのパスがカットされそうになった所をスライディングで奪い、起き上がるや否やレジェスへ出すと、すかさずゴールへ向かうイグアイン。突如目覚めたアルヘン魂が逆転ゴールをもたらし、一躍本日の救世主だ。ヘロヘロに疲れたルートも、イグアンが脱ぎ捨てたユニを(もったいないから)拾って掲げてみせる。カンナヴァロは旗振り回し、カシージャスもまたセレブレイションに駆け付け、さっきまでのブーイングはどこへやら、ベルナベウはお祭り騒ぎ。スペイン人、極端。
そしてこの日カシージャスもまた、神という事で。ホイッスル後、感涙にむせぶ美女にユニまでプレゼントしちゃったみたいだし。
優勝争いというモチベーションがハッキリしてから、レアルは良いムードでまとまった。黄ばんだレアルの純白が、日に日に新参者達の色に塗り替えられていく。どんな色になるかはまだ解らないけど。
何が起こるか解らない、「神ブック」まであり得る今のレアルは、ある意味スペクタクル。こんなチームになるとは、誰も思わなかったに違いない。
そこにガチの血が一滴でも役立ってるなら、光栄だ。
とはいえ、かつてのサモラノにしろスーケルにしろミヤトビッチにしろ、これまでのストライカーにはレアルらしい品というものがあった気がするが、史上初のオランダ人ストライカーにはそんなものない。「君はビジネスで来たのか?」との意地悪な質問にも、「自分が昔ビジネスの勉強してたって事か?」とボケる天然だ。
ディ・ステファノやウーゴ・サンチェスを引き合いに出されるなんて、何かなあ。いいんでしょうか。
ユナイテッドが優勝したのは、ルートにとっても良かったんじゃないかと思う。もし今季ユナイテッドが上手く行かなかったら気が気じゃないだろうし、彼らの好調振りに悔いる事は何もない。
さて、バルサが引き分けたので、これでいよいよ
首位ですよ。来ましたよ奥さん!
プレミアは終わったというのに、まだまだ気の抜けない日々が続きます。