(記&画/minaco.)
【#16 UTD × Sunderland 1-0 】
何も週末のユナイテッド戦前に辞任するこたぁないじゃない、キーンさん。なんてボヤキたくもなるが、やはり何ともすべてキーンさんらしいとしか思えないんであった。
今の自分にユナイテッドと戦う資格があるのか。否。
みっともない姿でオールドトラッフォードに行けるか。否。
誇り高きキーンさんは、自分に厳しい。故に、決断した。キーンさんの心は犬にしか解らないだろうけど、ワタシはそう思いたい。ユナイテッドを去った時も同じ。
これが愛だと。
結局、サンダランドという小さなクラブと自尊心の大きな監督には埋め切れないギャップがあったのかもしれない。即ち、キーノは負けるのに慣れてなかった。
「自分が監督に相応しいか、毎日自問してる。今朝はYESだった。だが、明日がNOなら考えなきゃならん」とは、先週のキーンさんの弁。
その後、思い留まらせようとするクイン会長に返事もせず、一方的にメールで辞任を伝えたとか。
せっせとメールを打つキーンさんを想像すると、結構微笑ましいものがある。
彼は自分をよく理解する賢い男だが、誰かに理解してもらおうとは思ってないようだ。しばしば周りをドン引かせるけれど、それは覚悟の上なのだ。それでいて密かに傷つきやすく、自分を責めて悔やむ繊細さも持ち合わせている。
そこに彼の孤独がある。アイリッシュ・ブルーの眼はいつも哀しげだ。
つまりワタシにとってロイ・キーンとはそうゆうお人で、だからこそ。
キ ー ノ 、ア ン タ 最 高 だ よ 。
束の間の、ユナイテッド亡命政府の夢をありがとう。少し休養して、心ゆくまで愛犬と過ごして立ち直ったら、いつの日か再びオールドトラッフォードに(またはアイルランド代表監督でもいい)…と、せめて次の夢を見させておくれ。
そんな思いで胸一杯だったこの試合。ピッチ上もまるで近過去にタイムスリップしたように感じる。
サンダランドのコーチ兼選手にはヨークがいて、リッチーは欠場だが左サイドにバーズがいて、いつのまにかアントンまで。ピッチに入る儀式は兄貴と同じ。
バーズとルーたんが笑顔で肩を叩き、紅白戦の如きユルい雰囲気さえ漂っている。
向正面には変わらぬサー・ボビーが鎮座し、その後ろにファーギーがナゼか旧式電話を抱え、やがてあたふたと指示を出す。ヨークに贈られた拍手は、10年前の奇跡が色褪せてない事を示している。
そして双方サポによる「
There is only one Keano♪」の応酬が、今宵もまた聞こえてくる。互いが譲らず、「俺達のキーノ」と呼ぶ声が君に届くかい?
とまあ、センチメンタルな郷愁ばかり先走るけど、11人ベタっ引き!これぞ赤壁じゃなくて「青壁の戦い」のサンダランドにそんな悠長な事は言ってられないんだった。
残留争いをする相手に、圧倒的支配しつつ決め手を欠くディフェンディング・チャンピオン。ロスタイムにCBの劇的ゴール。どこかで見たよなこの展開は…先日の
鹿島×磐田戦のデジャヴだよ!