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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
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カテゴリ:高校サッカー(岩手)( 22 )
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第87回全国高校サッカー選手権決勝『友情の話』
(記/なるほ堂)
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1月14日(土) 第87回全国高校サッカー選手権 決勝
流通経済大学付属柏高校 4 - 0 藤枝東高校
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42年前。「彼」がその男に出会ったのは、奇しくも静岡県藤枝のグラウンド。
順天堂大学サッカー部の合宿で、2人は共に新1年生だった。

その時、練習の走り込みで全身痙攣を起こして帰された男の姿を彼はよく覚えている。その後の新入生歓迎会で「どじょっこふなっこ」を歌って以来、男の渾名は「どんじょ」になった。

卒業すると「彼」は千葉県の教育委員会に入り、「どんじょ」は郷里の農業高校で体育教師となった。何年か後、青森国体で再会した時、「どんじょ」は彼に言った。
「(遠野農業のサッカー部は)弱いけど、選手たちは一生懸命やって、教えてておもしれえんだ。へたくそなんだけど、おもしれえよ」
「実習でも牛のケツに手突っ込んで子どもを引っ張り出して……」
教員生活の楽しさ、サッカー部監督のやり甲斐を熱く語る「どんじょ」に、彼は思った。

「自分も現場に出よう」


市原緑高校を皮切りに、習志野、流経大柏で指導歴を重ねる内、宮沢ミッシェル、廣山望、玉田圭司といった名選手を育てあげ、彼はいつしか高校サッカー界の名将の一人となった。また「どんじょ」も同じく、選手権の常連監督として「東北のドン」と呼ばれ、寒さ厳しい田舎の自宅に選手を住まわせながら、小笠原満男を育てた。環境の違う2人だったが、2人はただサッカー選手をではなく、共に「人」を育てた。

交流は続いていた。今では有名になった、「どんじょ」が自ら購入したバスのハンドルを握っての関東遠征、その最初は千葉の高校で指導をする彼を頼ってであった。今彼はこう言って笑う──、

「うちのサッカー部は盛岡商業サッカー部の関東出張所だよ」

05年の冬、遠野高校に敗れて全国大会出場を逃し、新人戦にも敗れた「どんじょ」が再起の場として選んだのも、雪の無い流経大柏のグランドだった。新チームは着くや否やの試合で、0対7で敗れた。

「どんじょ」が喉頭癌に侵された──92年、本人からそれを打ち明けられるや、懸命に名医を捜し求め、自分の仕事も押して毎日病床を見舞ったのも彼だった。結果、かねて彼の紹介で盛商サッカー部が千葉の定宿としていた「始関旅館」の元女将が見つけてくれた名医の執刀により、奇跡的に声帯は一本残った。

いつしか2人は還暦も近づき、古い仲間でサッカーをやっているのも2人だけになっていた。18歳で出会って以来、互いに刺激し合い乍ら、助け合い乍ら──共に今やこの世界に知らぬ者のいない地位と功績を築いた2人だったが、選手権の頂点だけは縁遠かった。高校サッカーの監督たちの顔ぶれも大分若返った。

06年11月、今度は「どんじょ」は心臓冠動脈血栓で倒れた。慌てて見舞った彼だったが、術後の「どんじょ」の気持ちは既に直前の選手権にあった。彼は親友にこう言った。

「今回だけは(選手権の指揮を)やめとけ」

だが、どんなに大変な時でも周囲を気遣い、そしていつも前向きな「どんじょ」は、やはりいつものように答えた。

「大丈夫、大丈夫」


明けて07年1月、高校選手権。流経大柏の合宿所には盛商サッカー部のBチーム、応援部隊が寝泊まりしていたが、それは遂に大会最終日前夜まで続いた。1年前に自分のチームに0対7で敗れたチームが、自分たちの選手権出場を阻んだ千葉代表の八千代高校をも敗り、決勝の国立競技場に立っていた。彼は病を押して指揮を執る「どんじょ」の姿をTVで見ていた。会場に行ったら大泣きしてしまうから、現場には行けなかった。そして90分後、自分をこの高校サッカーの世界へといざなった親友は、一足先に夢を叶えた──。


それから1年、高校選手権決勝。
国立競技場の、彼は昨年親友が座っていた場所にいた。「夢は叶う」という、親友であり盟友である「どんじょ」が全国に発信したメッセージを彼もまた受け止めていた。ピッチでは、盛商とは兄弟の様な関係であった流経大柏サッカー部の選手たちが躍動していた。盛商のライバル遠野高校と同様に、その胸には「今年は自分たちが」という思い。

満員のスタンドには「どんじょ」の姿があった。その姿を、実況中いくら選手の名前を間違えようとも、「肉親の死」みたいな涙を誘う話は決して漏らさない日本テレビはしっかり捕らえた。昨年度優勝監督は、親友が育て上げた選手たちと、そして2人が42年前に出会った合宿地、静岡県藤枝市の選手たちによる決勝戦を笑顔で眺めていた。

流経大柏──小柄な体躯をスピードやドリブルといったスペシャリティではなく、身につけた完璧な技術で賄う新しいタイプのFW大前。鈴木隆行ばりの貪欲なファイトが異彩を放った上条。そして全く隙の無いプレス。対する藤枝東に為す術は無かった。得点ではなく、もはやシュートの本数が誉められる様な一方的展開。しかし、共に文武両道の両校の戦いは選手権決勝に相応しい、清々しい試合だった。

終了の笛が鳴った時、かつて「どんじょ」の情熱に駆られてこの世界に身を投じた彼は、その経緯と重なる様に、「どんじょ」を追う様に夢を叶え──気がつくと日本一の監督になっていた。真摯な友情がくれた贈り物。昨年親友が立ったお立ち台の上、インタビュアーは言った。

「最年長初優勝、本田裕一郎監督です」

この日、彼は40年来の親友である斎藤重信が昨年為した記録を1歳更新してみせた。
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最後に。
斎藤重信は昨年著した本の中で、本田裕一郎をこう語っている。
「(順天堂大学当時)田舎者の私にとって、静岡出身の本田はちょっと人種が違うという感じでした。彼は多才で、話もうまいし、歌もうまい、人を惹き付ける何かを持っていました。人によってはちょっと気障と感じる事もあるのですが、見かけと違って人に気遣いのできる信頼の置ける男です」


(敬称略)

<参考文献:「夢は叶う」斎藤重信著/「じょっぱり魂」吉沢康一著>
本エントリーは昨年度優勝・斎藤重信監督(盛岡商業)と、本年度優勝・本田裕一郎監督(流経大柏)お2人の、40年以上も続く不思議で、そして素敵な友情を皆様にもお伝えできたらと、そのエピソードを上記参考文献より一部引用、また参考とさせて頂きながら、まとめたものです。なお、皆様にも是非、両書のご購読をお勧めします。

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by tototitta | 2008-01-15 15:07 | 高校サッカー(岩手) | Comments(10) | ▲ TOP
第86回全国高校サッカー選手権 岩手県代表 遠野高校#2
(記/なるほ堂)

▼「勝利のカッパ」も登場
遠野応援席に存在感たっぷりの「あいつ」が帰ってきた。スタンドで一言も話さないのが伝統というカッパの「カリンちゃん」だ。遠野高生も
「池で捕獲してつれてきた」
「太平洋を泳いで駆けつけたのではないか」

と詳細は知らない様子。昨年11月の県大会決勝以来の登場だが、水野梓真君(2年)は「今日のカッパはいつもより動きがいい。心強い応援要員だ」と歓迎する──

【2008年1月3日付け『岩手日報』紙面より】(赤字/なるほ堂)

上は、緒戦に勝利した時の地元紙記事。恐らく河童を「実在するもの」という前提で書く新聞は東京スポーツと岩手日報くらいだろう。勿論僕もその存在、信じて疑わない。例えかつてこれと同じ外見の物の中に自分が……うわ何をqあwせdrftgyふじこlp。

失礼。では、今日の試合。

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1月5日(土) 第87回全国高校サッカー選手権 準々決勝
遠野高校 0 - 2 高川学園
前半30分 村上(高川) 後半23分 金城(高川)
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●河童、故郷へ帰る──
河童のカリンちゃんの帰る場所が、池なのか太平洋の向こうかは判らないが、遠野高校イレブンは今日、故郷の岩手・遠野への帰路についた。3年連続の国立はならなかったが、岩手県勢としては「4年連続の8強」という立派な結果を残して。

サイドを簡単に割られ、何度も決定的なピンチを迎える──それはいつもの事。正直、遠野のサッカーにはこの舞台に立つチームとして足りないものが沢山あるが、しかしそれを埋めるものもちゃんとある。だが、この日ピッチ上にあった「差」は、それでは埋まらなかった。

高川学園は「ポゼッションサッカー」を唱えるだけあって、選手のボールの持ち方が実に「安定」していた。それが遠野側に「いつもなら中盤で奪えるボールが、奪えない」という戸惑いを生んでいた様にも見えた。奪いに行ってはかわされ、その度に攻守全体が不安定な状態に陥った。また、これは遠野のいつもの弱点なのだが、ファールトラブル(累積警告)で重要な選手を欠き、それで守備ブロックが崩れてしまう現象が一昨年に引き続き繰り返された。売りである「激しい当たり」故に仕方ないかもしれないが、そこはやはり今後「全国で最後まで勝ち残るチーム」になる為には埋めなくてはならぬ点だろう。



●「勝者は常に諦めない」──
それは毎試合、遠野高校控え室のホワイトボードに書かれる言葉。高川高校の監督にも「遠野の方が走りで勝っていた」という言葉を頂き、その姿勢は最後まで貫いたと思う。けれど、今彼らが置かれているのは「諦めなかったのに、敗れた」という現実……。
だが、「勝者は常に諦めない」──それはこの1試合の為の言葉ではない。確かに今日は敗者、しかしそれは負けた今こそ心に刻む言葉だろう。そうやって、もっと強くなっていけばいい。

そう思う反面、やはり僕は盛岡人。県央の民として県南のライバルが今、次に繋がる「教訓」を得たことに怖れもある。全国の皆さんはテレビで岩手の冬の風物詩「わんこそば大会」の映像をご覧になった事もあるだろうが、実はあれは県央と県南で、別々に年一度開催されている。
「全日本わんこそば選手権」(県央/盛岡市開催)
「わんこそば全日本大会」(県南/遠野市に隣接する花巻市開催)

共に「全日本」を冠し、共にルーツを譲らない。その思いは、「サッカーが強いのはどっち?」という問いに於いても一緒だ。県代表としての遠野高校は勿論応援するが、こうしてリセットされた以上、僕は盛岡商業高校の勝利こそを祈る。

何より警戒は、今回敗れた遠野高校には1、2年生が多い事。
MF吉田吏玖選手とFW川原峻選手は共に1年生ながら、発揮したその能力の高さには驚いた。また、再三堅守を見せたGK植松健太郎選手と、この日出場停止によりスタンドから悔しい思いで敗戦を見つめた浦田祐輔選手も未だ2年生。共に来年、盛商の前に大きく立ちはだかるだろう。

更に、その向こうにはもっと強力なライバルたちが居る。今回遠野高校が対戦したチームのレベルは、皆一様に高かった。昨年の盛商のサッカーではもう全国では通用しない。無名校も含め、高校サッカーはどんどん成長している。時が立つのは速い。だけじゃないテイジンのカトリーヌも一年見ぬ間に随分と大きくなった。だが、我々は信じてる。我々がまだ貪欲に夢を抱いている以上、夢は叶うはずだ。



●「全国大会へ出て、優勝旗を全員で返しにいこう」──
その言葉で始まった今年度の盛岡商業高校の戦いは県予選決勝で終わった。開会式での前年度優勝校による優勝旗返還。3人だけの寂し気な赤白ジャージに涙が滲んだ。その後、主将としての最後の役割を立派に果たした諸橋遼亮選手はこう言った。
「優勝旗を返して、これで終わったんだなと実感した」
その傍ら、林勇介選手は悔しさを滲ませて言った。
「国立は戦う人が来る所で、試合に出られない自分たちが来る場所ではない」

そして──
その姿を見送ると、齋藤重信先生はすぐに1、2年生の待つ関東の合宿地へ飛び、いつもの表情でこう仰った。
「負けた後こそ、鍛えがいがあるってもんだろう?」

* * * * * * * * * * * * * * *

また始まる、彼らの新しい戦いを見守っていこうと思う。
とりあえず今日、ようやく僕の「2007サッカーカレンダー」は終わった。
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by tototitta | 2008-01-05 19:59 | 高校サッカー(岩手) | Comments(5) | ▲ TOP
第86回全国高校サッカー選手権 岩手県代表 遠野高校#1
(記/なるほ堂)
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1月2日(水) 第86回全国高校サッカー選手権 二回戦
遠野高校 1 - 0 江の川高校
後半40分 藤嶋(遠野)
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昨年、全国を制した盛岡商業高校監督・齋藤先生は仰った──
「夢は叶う」
しかし、その偉業は彼らにとってむしろ「夢が遠のく」ような出来事だったのかもしれない。快挙に湧く岩手にあって、「いや、俺たちの夢は叶ってないぞ」という悔しさ。自身の「夢」の前に立ちはだかる、「日本一の高校」という巨大な山。
だが、その山を越えて彼らは全国の舞台へと辿り着いた。
「夢は叶う」という言葉を、自分たちのものとする為に。

●河童は怖いのだ──
遠野高校にとっては選手権初戦。ロスタイムに虎の子ならぬ「河童の子」の1点を奪っての勝利。結果的には昨年から続く、岩手県勢の「選手権連勝記録」を守った形だが、江の川高校の丁寧なサイド攻撃に大いに苦しめられた試合だった。

遠野のサッカーの特徴は、中盤での激しいプレス守備。攻撃はそこで奪ったボールをFW個々のアグレッシブな縦突破に頼るのみで、味方のフォローは極めて少ない。判り易く言えば日韓W杯時の日本代表。もっと端的にいえば「縦ポンサッカー」。

県下の宿敵・盛岡商業に勝つ為の戦術なのだが、必然的に得点力は低く、ましてや今回の様に優れたGK相手だと苦戦は必至。彼らの「強い相手の足下をすくう」スタイル、その真価が発揮されるのはこれからか。

江の川高校は実に良いサッカーをしていた。TVの向こうに見るそれは、一般的な言い方をすれば遠野よりも優れていた。だが、若干リアリズムを欠いていた様にも。終盤は脚を痙攣させる選手が4、5人居た。果敢に人数をかけて攻撃する事で、むしろ自分たちの脚を殺してしまった。それが最後の失点に結びついたのだろう。そこに、「打倒盛岡商」というテーマを持ち、ひたすら信念を持って「リアリズム」で勝ち抜いて来た遠野高校との差を感じた。

それにしても遠野の選手は「強い」「激しい」「何も怖れない」
そのサッカーは盛岡商とはまた別の形で、国見高校が雌伏の時にある今、日本サッカーの進むべき道の「一つ」を顕している。スタンドから声援を送る、愛らしい河童の「カリンちゃん」の姿に騙されてはいけない。岩手の河童の正体は↓だ。

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──怖いのだ。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


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1月3日(木) 第87回全国高校サッカー選手権 三回戦
遠野高校 2 - 1 近大和歌山
前半26分 藤嶋(遠野) 前半32分 宮本(近大和歌山)
後半15分 大上(遠野)
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●河童は捕まらない──
圧倒的な攻撃力を誇る相手に、最後は10人になりながらも堂々と逃げ切った遠野高校イレブン。その姿、例え「河童捕獲許可証」を持っても、未だ誰も使えられない河童の如く──。

近大和歌山、背番号8浦島君の突破と、遠野河童ディフェンスの戦い。なんとも民話めいた対決だが、その激突は浦島君の圧勝だった。強豪・前橋育英高校を倒して来た近大和歌山の強さは本物。昨年の覇者・盛商よりも強い……正直この試合、両校の差はブラジルと日本くらいあったかもしれない。ご覧になった方はご同意頂けると思うが、10回戦えば9回負けるレベル。

しかし遠野高校は勝った。数少ないチャンスを決めてみせた得点場面も、最早「河童の仕業じゃ」としか、説明できない。敢えて探せば、遠野のFWの長所「待っていても、どうせ俺たちにフォローは来ない」という開き直り、そこから生まれる積極果敢さが生んだ得点か。前線のローンウルフ・大上(おおかみ)君のケレン味の無さは心地いい。

だが、近大和歌山の攻撃は速く、そして分厚く、遠野のそれに劣っていたとは思えない。
ならばやはり……敢えて言おう、これが「サッカー強豪県・岩手」の底力なのだ。攻撃の質量に圧倒されても、しかし勝ちを掴み獲る──それは強敵ひしめく岩手県下で、切磋琢磨される中で培われた「本物の逞しさ」。

フルタイム通してのピンチの連続、だが不安に思う我々を他所に、遠野選手は自信に満ちていた。もう何年も盛商ウィングに「抜かれ馴れ」している遠野守備陣は、今更この試合で何度サイドを突破されても「河童の屁」だったのだろう。

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「それくらいじゃ負けないよ……。
それくらいじゃ負けないから、僕たちは岩手県代表なんだよ」

──テレビに映る河童のカリンちゃんの瞳も、そう言っているようだった(この部分、妄想)。同時に、自分の中で未だに見つけあぐねていた「何故、県大会決勝で盛商は敗れたのか」──その答えも見つかった試合だった。この逞しさを、遠野はあの悔しさの中から培った。この逞しさが、盛商には無かった。でも、今悔しさを抱えてテレビを見ている盛商イレブンは、必ずやこれを更に越えるだろう……。

ともあれ、これで遠野高校はベスト8進出、しかし岩手県勢としては信じられない事に、これはまだ「ノルマ」の内だ。何より、彼らはまだ夢を叶えていない。
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by tototitta | 2008-01-03 22:23 | 高校サッカー(岩手) | Comments(0) | ▲ TOP
『宿命』は続く──岩手クラシコ’07
(記/なるほ堂)

盛商【0-0 延長1-1(PK2-3)】遠野

勝利をほぼ手中にしながらも間際に追いつかれ、遂には敗れた昨年度覇者。呆然としながら「一体何が起こったのか?」と立ちすくむ応援席。眼前に広がる不可解……こんな時、昔の人たちはこう云ったという。
「カッパの、カッパの仕業じゃ……」

──今回に関しては、それこそが事実だ。



「やはり遠野が決勝に来たか……」
高校サッカー選手権岩手県予選決勝のカードは、今年も盛岡商業高校遠野高校。今季、遠野の実力に疑問囁かれ、また盛岡市立高校ら新興勢力の躍進著しくも、しかしこの対決に他が割って入るのは尚早か。五年連続の「岩手クラシコ」──ただの高校サッカーの対決ではない。これは地域と地域の自尊心の対決なのだ。

盛岡遠野──同じ南部藩にありながら宗家・盛岡南部氏の領地と、遠野南部氏の領地(←ご指摘を頂き、訂正しました。07/11/19)。
歴史文化や住民気質すらも異にする両者は、さながら「バルセロナとマドリッド」の如き積年のライバルでもある。無論、住民同士がいがみ合っているわけでは無いが、
「(他県民から見て)一緒にされたぐね」
という自尊心、そして
「おまいらだけには負げね」

という潜在的な対抗心は、今なお根強い。(後述するが、サッカースタイルも全く違う)

故に我ら岩手県民は、これまでの何十年にも渡る両校の県代表争いに、
「高校サッカーを越えたもの」
を重ね見て来た。だからこそ、クラシコ。
(ことに遠野側の方にその意識、強いとも聞く。地域実情を考えれば、それも然りだろう。)

更にこの両地区──、
伝説を探れば「鬼と河童」。馬で申さば「チャグチャグ馬コとオシラサマ」。選挙の区割りも「岩手一区と岩手三区」。更に広く、各々を有する「県央、県南」で区分すれば、偉人を挙げれば「石川啄木と宮沢賢治」。そして今を代表する「先生」ならば──
「齋藤重信先生と小沢一郎先生」
であろうか。

奇しくも同じ今日11月4日、志半ばに座を去った二人。
例え文化を異にしながらも、しかし重なりあう必然──いわば「宿命」が、脈々とこの両地区には存在するのだな。帰ってからテレビを見てビックリしたよ、小沢さん。

……何れにせよ両地区の因縁の深さ、いささかご理解いただけただろうか。否、言っている僕も良く分からないので、前置きは以上で済まそう。



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盛岡南公園球技場、到着は試合開始一時間前──。
満男も羨む様な、既に「満員」のスタジアム。「林君に豚の顔(※)なんか投げるんじゃないよ。鹿オタの八つ当たりなんだから」というMinacoを訳あって家に残し、一人観戦。(※/フィーゴの故事参照)

盛商ベンチにはV2祈願の千羽鶴、一方の遠野ベンチには千羽カッパが揺れる。
アップ中の「赤」と「青」を見遣る。昨年と変わらぬ風景乍ら少し違うのは、方や「全国覇者」であり、もう一方はそれを複雑な思いで見ていたであろう、一昨年の「全国四強」。正月の盛商優勝時には殊勝なコメントを寄せていた彼ら遠野選手たちだったが、しかし内心では悔しくて溜まらなかったはず。それでこそ健全だ──「県勢初の国立」という自慢を、翌年に「県勢初の優勝」で返されたのでは。
「セリエAを制覇したら、ライバルがCL獲っちゃった──そんな昨季のインテルとACミランみたいなもんか。青と赤だし」「いや、そんなもんじゃないだろう」……そんな声も。

空は快晴、久方の陽気。盛岡市民として盛商応援席に陣取り、アップする「彼」に視線を送る。
僕の気持ちを察したのか、山口百恵が歌う──
「こんな小春日和の穏やかな日は……もう少し 林君のファンでいさせて ください」
明日にも浦和へ嫁ぐ彼、である。もしも敗れれば今日が今生の別れだ。
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そして試合は始まった。
高い位置から攻める盛商、その裏に仕掛ける遠野。「組織の盛商、個人技の遠野」も今は昔──近年盛商が個人技を身につけ、結果に於いて一歩先んじると、遠野はそれに対抗する様にフィジカルに磨きをかけて来た。決して同じスタイルを取らないのが、ライバルのライバルたる所以か。

なおも続く、分厚い攻撃vsカウンター、組織戦術vs個々の激しさ……詳しい試合内容はニュースサイトに譲るが、両校の意地が散らす火花凄まじく、ゲーム中の遠野のPK失敗など、もう見ていてたまらないほどの好ゲームだった。確かに「これが近年全国トップレベルの結果を出している両校の対決に相応しいサッカーか?」と問われれば、お世辞にも頷けないゲームではあったが、しかしそこに垣間見える「勝負にかける心」は、何処に出しても恥ずかしくないもの。こういう戦いを経験せぬまま幾らサッカーが上手くなっても、しかしそこには人としての成長も無く、また見る者に感動を与える力も得られないだろう……そんな試合。そして、勝者は遠野。



以下、全国の皆さんが知りたいだろう「何故、盛商が敗れたのか?」を僕個人の分析で記す。
  • 前線の選手に、昨季の様なスピードが無かった。
  • 故に、細かい繋ぎやテクニックで攻撃を仕掛けたが、結果的にダイナミズムに欠けた。
  • そうなればフィジカルに長けた遠野の術中。盛商には焦りが拭えなかった。
  • 昨季あれほど全国を席巻した盛商の運動量……しかし盛商選手の方が先に足が痙った。
  • 遠野選手の仕上がりが勝り、逆に盛商は怪我、調整不足が伺えた。
  • これは言いたくないが、正直審判の細かいジャッジには疑問があった。

勝負の流れに於けるアヤは14番の途中交替と、針を打ちながらも起用し続けた10番にあったのかもしれない。勿論有能な選手が豊富に入部する私学と違い、「林君の一枚看板チーム」にならざるを得なかった今季故に、彼を最後まで外せないのは100%理解できるが、同じ東北、秋田出身の落合監督ならば……そんな思いも片隅に。

しかし、以上は「言い訳」に過ぎず、語るべきはやはり──
「遠野は強かった」
の一点であろう。我々は忘れていたのだ。
「河童は、実は凶暴なのだ!」
失ったプライドを奪い返すが如き、気迫……彼らの削りは、凄まじかった。守備に追われても河童の屁。「岩手県は盛商だけじゃない!」「奴らに、これ以上いい思いをさせるな!」「散々苦汁をなめさせられた齋藤先生に、有終の美を飾らせてなるものか!」「誰でもない、俺たちが引導を渡す!」……勝手に代弁して申し訳ないが、ともあれあれ程の「信念」を持ったファイトは、近年W杯ですらお目にかかれないものだった。

それに、過ぎた事にクヨクヨしてはいけないのだ。齋藤先生の残された言葉から、我々は学ばなくては、語り継がなくては。要は敗北から学び、それを次の力に変える労を惜しまぬ事だ。それこそが全国制覇をもたらした、先生の「情熱」だ。

先生の著作には若かりし頃、即ち先生がロマーリオそっくりだった頃(『夢は叶う』内写真参照)から、失敗を幾度も重ね、しかしそれらを常にプラスと捉え、糧にして来た歴史が綴られている。必読。そこにあったのは、最近便座を上げるのすら億劫になっているモノグサな僕にとって、思わず背筋を伸ばさずには居られない情熱の数々であった。これで終わりじゃない。先生が退任されても、僕ら盛岡市民の心に灯った明日への情熱は消えない。

しかし、もう一つだけ心残りを。
決意の丸坊主で、一人別次元の強さを見せてくれた諸橋主将。彼の腕章姿をもう見れないのが寂しい。敗れたとはいえ、君は歴代に恥じないキャプテンだった。僕の知る「背番号6」で、最高の選手。これは高校サッカーとか岩手だけの話じゃない。君にもう一度会いたい。君はもう一つ上のレベルに行ける選手だし、行くべき選手。それが認められないなら、日本サッカー界のスカウトの目は、全員節穴だ。その日を待つ──ただし、どうか着るユニフォームを間違わないでくれ(涙)。



勝利に湧く、遠野応援席を眺める。
盛岡に齋藤先生の物語がある様に、遠野には遠野の素晴らしいサッカー物語がある。今度はそれを全国の皆さんが知る事となるならば、それもまた喜びだ。
「この攻撃で、全国でどうやって点を取るつもりなのか?」「一昨年と同じく、例え勝ち上がっても退場者続出で力つきるのでは?」……そんな思いは一旦脇に置いておこう。おめでとう。今は素直に祝福を。なぜなら、これこそが盛商のサッカーを強くして来た源だから。

お互いのすぐ近くに、全く違う思想を持った、絶対に負けられぬ強力なライバルが居る──それらが切磋琢磨する事によって岩手の高校サッカーはここまで来たのだ。正にレアル・マドリッドとバルセロナ──我々は、なんと幸福なのだろう! 負け惜しみでも何でもなく、今日の敗北はむしろ昨年「叶った夢」に、続きがある事を示しているのだ

これからも「両翼」が羽ばたき続ける岩手は、もっともっと高く飛べる。強くなれる。ビートルズとストーンズ、栃錦と若乃花もそうだったじゃないか……古いか。ともあれ、そうでなくては、強くはなれないのだ。余談だが、最近の鹿島がタイトルから久しいのは「ベルディとジュビロの体たらく」のせいなのだ。だから、盛商卒業生である山本脩斗は梃入れとして今季ジュビロ磐田に行くのだ。そうなんだ、そうなのよ。全ては鹿島の為に……まあ、今はそう思わせてくれ(涙)。


されど正直に申そう。生粋の盛岡人としては未だ心整理付かず……例え県代表として応援は出来たとしても、果たして昨年度の様な興奮の中で遠野高校を追いかける事ができるだろうか? 県民一丸、それは可能だろうか? 

「今こそ……」
その時だった。
遠い県南方面から「声」が聞こえた──
「……小異を捨てて、大連立の時ではないかと思うわけです」

それで良いんですか? センセイ、本当にそれがいいのですか?
答えの見つからない僕は家路に付く道すがら、南の空に向かい──やはりこう答えるより他になかった。
「…持ち帰って協議させて頂きます。ハイ。」
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by tototitta | 2007-11-05 18:49 | 高校サッカー(岩手) | Comments(15) | ▲ TOP
高校サッカー岩手県予選、決勝速報!!
(記/なるほ堂)

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「今年は僕だお!」


詳細は後ほど!
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by tototitta | 2007-11-04 16:40 | 高校サッカー(岩手) | Comments(0) | ▲ TOP
高校サッカー岩手県予選、そして……
(記/なるほ堂)

日本全国の高校サッカーファンの皆様、こんばんは。
二年連続で国立(四強)進出、昨年度優勝と、今や高校サッカーの強豪県と言っても憚り無いこの岩手県地区──その覇者を決める県予選も、そろそろ佳境に入って参りました。

本日決まった四強は順当に、盛岡商、不来方(こずかた)、遠野、盛岡市立
……我が母校は敗れてしまいましたが、八強に入っただけで良くやった方でしょう。

注目の準決勝は明後日行われ、決勝は11月4日13:30から、盛岡南公園競技場にて行われます。
最近の県勢の活躍から、何れもかなりの高レベルの試合が予想され、勿論昨年の覇者盛岡商といえども安泰と言うわけではありません。「四強のどのチームも国立に行けるレベルにある」とも言われており……まるで静岡県状態ですな。うはうは。

今の所ちょっと厳しいのですが、決勝をなんとか生観戦ができたら、また昨年の様に皆様にご報告したいと思います。(昨年の決勝の模様

* * * * * * * * * * * * * * *

で、ここで全国に数人(以上)居られますでしょう「岩手サッカー&鹿島アントラーズファン」の皆様に、悲しいお知らせ。
先日浦和の練習に参加し、その動向を危惧(?)されておりました……
林勇介選手、正式に浦和入団決まりました岩手日報)。一緒に泣きましょう。

浦和ファンの方、もう僕の手から彼は離れて(?)しまいますので──これからはどうか僕の替わりに彼を暖かく見守り、育ててやって下さい。粗末に扱ったら許しません。

「林勇介って誰?」「去年の決勝でPK外した選手?」
──と言う方、ライアン・ギグスと思って下さい。ユナイテッドのパクリの浦和ユニ、さぞや似合う事でしょう(嫌味)。

天才肌、ボールタッチが非凡なウィンガーである彼の武器は、実戦的なドリブルとスルーパス。先の仙台カップでは東北代表の10番を背負い、同世代の日本代表とブラジル代表に勝ってしまいました。性格は強気、「じょっぱり」と言うか「やんちゃ」ですが、まあ何かトラブっても大目に見てやって下さいな。で、どうか日本代表まで育ててやって下さい。また僕らが応援できる様に。

勿論彼の目標であったプロ入りが叶った事は嬉しい事。齋藤先生もさぞやお喜びでしょう。目の高い浦和スカウトにも、素直に頭を垂れましょう。
しかし、先に磐田入りが決まった山本脩斗(盛商→早稲田)に続いて、ずっと期待して応援していた選手が「道義上応援できないクラブの選手」になってしまったその思い……察して下さい。来年の福士徳文選手(盛商→順天堂)、三年後の成田大樹選手(盛商→流通経済大/※先日の鹿島との練習試合で出場しました!)の鹿入団でしか晴れぬ、やるせなさ。

「オレの大事な選手をよくも……」「鹿のスカウトは何をしているのか!」
──そんなのは適当ではないでしょう。八つ当たりでしょう。でも今日だけは、さだまさし『親父の一番長い日』の、親父の気分です。

“わかった林はくれてやる
そのかわり一度でいい 奪って行く君を
浦和を殴らせろ”

と、

鹿ファンとして……。
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by tototitta | 2007-10-26 20:17 | 高校サッカー(岩手) | Comments(3) | ▲ TOP
齋藤重信発「夢は叶う」、書店へ急げ!
(記/なるほ堂)
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盛岡商齋藤重信発「夢は叶う」
著 齋藤 重信
価格:¥ 1,575 (税込)
出版:ベースボール・マガジン社


朗報! 朗報! 取り急ぎご連絡!
冬の寒さ近づき、中津川には鮭の死体が溢れ、そして日本サッカーのヤング世代の行く末に心痛めるオイラたちの為に、齋藤先生が御本を執筆して下さったぞ! 

思えば、あっという間に高校サッカーの足音近づく今日この頃。
齋藤先生自身が振り返る「岩手サッカーの歩み」を我らも思い起こしながら、来るべき連覇の時に胸躍らそうではありませんか!

なお、今東山堂書店で買って来たばかりで、全文はまだ読んでいないのですが、取りあえずの見所は満男の寄稿文。滲み出る余計な生活臭(?)が面白くもあり、微笑ましくもあり。さすがだ。

では皆様ご購入の上、正座もしくはサッカーボールを蹴りながら、それも駄目ならキャベツの千切りを食べながら読め!
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by tototitta | 2007-10-22 18:33 | 高校サッカー(岩手) | Comments(2) | ▲ TOP
盛岡商、世界に挑む。(vs台湾代表)
(記/なるほ堂)

台湾・岩手県サッカーフレンドマッチ 
台湾代表 1  vs  1 盛岡商業高校
4月28日(土)13:00/盛岡南公園球技場
得点/盛商・金濱(前11)、台湾(前14) 退場/台湾(前41)
MVP/諸橋(なるほ堂選定)


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<写真>岩手山を背景に、盛商バス。

++++++

遂に盛商が世界へ挑む時が来た──。
処所に仄かな桜の香り。道すがらの用水路にはドジョウの姿、幸先よし。盛岡にもようやく春の陽気。されど、吹きっ晒しの川向こう地区は油断なら無い。厚手のスカジャンに下ズボン装備で赴いた盛岡南公園球技場。
しかし、、、暑っっっっ。読み誤っていたな。僕らも、そして出店のアツアツの豚汁屋も。

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<写真>開始一時間前のスタンド。試合開始時にはスタンドは満員でした。

逸る心を胸に会場に入るや、アップ中の選手を発見する。新年度、盛商に新しく加わった選手たち、そして昨年度よりまた一段と逞しくなったであろう選手たちの姿を追う。おお、でかくなったな。まるで別人だ。彼らの言葉に聞き耳を立てると「你好再見謝謝〜」。台湾代表の選手だった。どうりで。FIFAランキング167位といえど、ナショナルチーム。見るからに大人である。

一方の盛商は──、
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<写真>アップする盛商。
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<写真>それにしても世界一美しいスタジアムだな。背景に関しては。


やっぱり子供だ。当たり前だが体格差、いかんともし難し。こりゃ分が悪いか。
だが僕は、この日の装い同様に読み誤っていたようだ。台湾代表の選手たちも同じだろう。
高校生と言えども、盛商サッカー部は日本一なのだ。

試合後の台湾代表・今井監督()、
恥ずかしいプレーで誠に申し訳なく思います」
「台湾代表の精神性の低さが出た。厳しい合宿をして立て直したい・・・」
=グルージャ盛岡のスーパーバイザーに担がれた県人・八重樫茂生氏の教え子で、その縁でこの試合が組まれた)

観客席から「マフィア・・・」と囁かれるほどのコワモテ&ドスの利いた声の監督が漏らした、それら弱気の言葉が示す様に、試合は終止盛商が圧倒。台湾は時折、唯一長けたフィジカルを活かして単独突破を図り、幾度かチャンスは作るものの、フットボールの質としては雲泥。兎に角、盛商は速い速い。

高校生に翻弄され、慌てて台湾選手がファールを犯せば、完全ホームのスタンドからは「大人げねぇ〜」の声。その後も非紳士的行為とラフプレーで退場するわ、小さな高校生に転がされ、いつまでも立ち上がれないわで、「オイオイ、ホントに代表かぁ?」
仕舞いには観戦中の子供らから、
「俺、台湾に帰化したら代表選手になれるんじゃね?」

「おもてなしの心」で売り出し中の岩手県民(『どんど晴れ』参照)も、この日ばかりは遠来のお客様に容赦無し、だ。

但し、圧倒すれども圧勝とは行かないのが、今後の課題。


++++++

試合詳報──。
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<写真左>みんな髪が長い。今年は悪さをする子は居なかった模様(笑)。
<写真右>花束を受け取る齋藤先生とマフィア


【盛商スタメン】
1石森/2因幡/3土屋/5諸橋/6松葉/7松本/9金濱/10林/11吉田/13柳村/19金崎
フォーメーションは「4-4-2」。並びは、
GK   1
DF 2-6-3-19
MF 7-10-5-13
FW  11-9


中央に主将・諸橋と、新10番・林が並び、トップに金濱守備の要・センターバックに土屋を置く新生盛商。この四人を軸として、序盤から台湾陣内に攻め込む。盛商得意のプレスと高いライン(DFがセンターラインに位置)に台湾なす術無し。オフサイドを繰り返す。

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だが、互いに一点をFKで取り合って以降、盛商が再三攻め込むもゴールに至らない。
いかんせん盛商のサイド攻撃が弱かった。効果的なサイドの抉りがもっとあれば、大勝してもおかしくなかった。スタンドから後方を見やれば、走り去る東北新幹線。
(ああ、成田エキスプレスはもう居ない。。。)
あれに乗って、流通経済大学に行っちゃった。

FWも中央に寄り過ぎの感。金濱とコンビを組んだ、かねてより僕が期待する11番吉田は、ボランチのクセが抜けないのか、軽く捌いては奪われてしまう。難しいなあ。

ならば後半。
相手も10人になり、さらに盛商を後押しする様に、名物の強風が追い風となる。しかし、同じ凡ミスの繰り返しで、逆にカウンターでピンチを招く。

左サイドに途中投入された「横浜君」こと佐々木(新背番号が8!)にも期待したのだが、この日の出来は最悪。トラップもママならず、消極的なプレーに終止。彼に球が渡る度、目の肥えたスタンドのオヤジたちからは一斉に溜め息。齋藤先生のチームで8番を背負う事の意味をとくとくと教えてやりたいものだ。

で、後半25分。右足を怪我した林が大事を取って引っ込むと、一層攻め手を欠く盛商。
となれば風を利してミドルに賭けたいのだが、諸橋の強烈なミドルシュートも、はるかゴール裏の幼児を直撃して試合終了。場内の変なざわめきの中、ゲームは幕を閉じた。(幼児は無事だった様子)

体格に勝る敵DFをどう破るか。必然的に増える林への依存をどう減らすか。
天才である林並とは言わないが、全体的にもっとパスとトラップの精度を上げないと、「林のワンマンチームになってしまう・・・」という恐れを抱いた一戦だった。

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より詳しくはこちら。
http://www.iwate-np.co.jp/sports/2007sports/m04/spo0704291.html
動画はこちら。
http://news.tvi.jp/view_news/1/16731


++++++

活躍した選手の個別評──
攻守の流れを作った主将・諸橋。
兎に角、強い強い。シメオネか、ロイ・キーンか。単にハードなだけではなく、執拗かつクレバーに相手を追い込み、スットコドッコイとボールを奪い去る。台湾選手、転がる転がる。時折、台湾選手がまるで肘鉄を食らったかの様に吹っ飛ぶが、気のせい気のせい(笑

林、めちゃくちゃ巧い。
ドリブル、ボールコントロールが異次元。金濱のゴールを生んだフリーキック、体格に劣るのを見るや、ゴロでニアサイドに送り金濱に流し込ませたセンスは相変わらず、抜群。
加えて目についたのは「育てる立場でサッカーをしている」という点。サイドではなく中央に位置し、守備のバックアップにも奔走(センスがあるから、守備も結構うまい)。不慣れな選手を活かす事を意識していたようだ。

これが高校サッカーとユースの違いかもしれない。ユースの様に長所を伸ばし乍ら専門的に個を育成するのも良いが、時に役割を変え、全体に対する責任感を持って、力の劣る下級生をフォローし乍らプレーする経験は、より幅広くフットーボールを覚える為には大切な事に思う。

ただし、フィニッシュに精度を欠いたのは反省点。盛商の背番号10なんだから。
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<写真>試合後の林選手。右足を痛めて途中交替。大勢の子供たちの「サイン下さい!」にも、治療の為「ゴメンね〜」と引っ込む。かっこいい。

ストライカー金濱。
まだ未知数。足下は巧いが、流石に相手DFが大きくて、流れの中では好機を作れなかった。過去の偉大なエースたちに比べるのは未だ早い。実際、全国にはこれくらい屈強な高校生DFもいるんだし。U-18日本代表だけど、う〜ん。

ディフェンス土屋。
全国制覇した昨季のサイドバックより、センターへ移動。まるで前主将・藤村が乗り移ったかの様な活躍でビックリした。盛商の支えである超強気のライン取り、またラインブレイク後の敵に対するチェックの激しさも随所に光り、結果FKからの一失点に抑えた。コンビを組んだ松葉の活躍と併せ、昨季よりセンターバック二枚が抜けた事への不安は消えた、、、かな?

++++++

帰りの道すがら、「FIFAランキング167位なんぞ敵ではなかったわ。圧倒的じゃないか、我が軍は! はっはっは」という手応えと、しかし拭えない今後への不安。全国から追われる立場、県内のライヴァル遠野高校や不来方高校も黙ってはいまい。そして何より齋藤先生のラストイヤー、「どんど晴れ」、いや「どんじょ晴れ」と飾ってくれなくては困るのだ。

「昨季より欠けるもの、それは大胆さでは?」
確かに。まだ新チーム始動して間もないとは言え、やはり盛商らしい攻撃のイケイケさ、殊にサイド攻撃に於いては、かの御意見無用な暴走族的大胆さが見られなかった。

そう思い乍ら歩くと、目に入ったのは一枚のポスター──、
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こんな処にも、盛商(笑)。しかし、これが原因だったか・・・。

でも、交通マナー日本一は、ピッチ上では忘れましょうね。
(そういうオチです。スイマセン)
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by tototitta | 2007-04-29 18:07 | 高校サッカー(岩手) | Comments(6) | ▲ TOP
盛岡商『偉業へと続く言葉』、加筆再編集のお知らせ
(記/なるほ堂)

テレビを点けたら、頭を下げる某地元新聞社のお歴々の姿。
「(謝罪会見)きたか」
と思ったら、「主催のシンポジウムにて、参加者に謝礼を払っていた」という件の謝罪らしい。

いやいや、謝るなら、こっちも謝ってくれ(笑)。
その某地元新聞社発行の盛岡商優勝記念誌。

注文して、待ちわびて、やっと手にしたらガックリ。
「地元のメディアだもの、きっと全国メディアには無い詳細な記事や写真が・・・」
そんな思いは見事に裏切られましたね。同様の県民の思いはWEB上で沢山見受けたましたよ。
ホッチキス止めの40ページ、写真も記事も新聞の焼き直し。

正直言うと本屋で渡されたとき、思いましたよ。
「お? おまけに小冊子が付くのか?」
まさか、その小冊子が現物だとは、ねぇ(涙)。

しかも1.050円(消費税込み)、つまり1頁25円。
県民の声、
「シンポジウムでは老人に一人当たり2.700円しか払わないくせに。。。」
いくら優勝記念のご祝儀と言っても、新聞社にご祝儀払う意味ないもんな。

『今日の岩手の一般家庭』(推測)
… タノシミニシテイタダロ。
J('∀`)し   ワーイ
(ヽロロ   ヽ('∀`)/
||     (_ _)

… カァチャンバカデゴメンネ。            
J(;'д`)し   コンナノイラネエ。ヘンピンシテコイヨ!   
(ヽ        (#`Д) 
 ||     (_ _)ロロ


(逆に、ベースボールマガジン社発行の『盛岡商業優勝記念特別号〜全国制覇!』は、小サイズながら読み応え十分。齋藤先生の自宅や、選手たちの学校生活も垣間みれて、しかも値段も安い! こちらは買いですよ。)

++++++

ということで、憤りましたね。僕は。
サッカーファンは何にでも金を払う機械じゃ無い! おー!
女は子供を産む機械じゃ無い! おー!
子供は将来の年金システムを支える機械じゃ無い! おー!
何より、
高校サッカーは、日本代表選手を造る工場じゃ無い! おー!

てな訳で、勢いで、
「第85回全国高校サッカー選手権/盛岡商業高校日本一記念『偉業へと続く言葉』」
を加筆再編集し、WEBの方にアップしました。
上述雑誌の読み応えのなさにガックリしている県民の為にも。

イラストレーター Minacoのサイトのトップ頁から「Gallery/Museum」へとお進み下さい)

ここでの初出がモノクロ映画なら、こちらはカラー映画といった趣でしょうか。
正直、オリジナルの方が良かったかもしれませんが、加筆に加え、より判り易く作りましたので、ここで一度ご覧頂いた方もどうぞ。

余談ですが、
再編集する段で、何が大変だったかと言うと、またいちいち涙を拭わなくちゃいけない点が。最初の時は気にもしなかった言葉に、今度は涙してしまう事しばしばでした。
その涙、思うに子供の頃、『宇宙戦艦ヤマト』に涙したのと同じ涙の様な気がします。老艦長と若い船員たちが、故郷に「希望」を持ち帰る物語。

++++++

さて、
五ヶ月は雪に閉ざされているはず(苦笑)の盛岡。しかし相変わらずの暖冬です。
そんな中、盛岡城址で行われた『もりおか雪あかり』のイベント。
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盛商の決勝進出時に「優勝すれば盛岡のPRになる」と意気込んだ谷藤裕明市長の皮算用を他所に、人出はささやかでした。そんな盛岡です。

<特報>
nikkansports.comに、齋藤先生の最新インタビューが載っています。齋藤先生は選挙には出ません!(当たり前だ!)
<http://tohoku.nikkansports.com/news/p-tn-tp1-20070128-148307.html>
言葉の端々に浮かぶ、負けず嫌い、岩手人の頑固さ・・・なんか満男に通じる物があります。正に、この親にしてこの子有り(?)でしょうか。これらの言葉もしっかりメモって『2007年度版・さらば齋藤重信先生』も作成中です〜。
来年までお楽しみに。。。

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by tototitta | 2007-02-03 17:53 | 高校サッカー(岩手) | Comments(4) | ▲ TOP
Losing my religion
(記&絵/minaco.)

何だかまた色んな事があったりして、フットボールを純粋に愉しむ気力が萎えてしまいます(ぶっちゃけ、レアルがまた成す術なく負けたのがトドメだけど)。
欧州のスポーツを観るというのはそういうモノも奥深さとして踏まえるべきなんだけど、私がサイクルロードレースに惹かれつつも今更一歩足が前に出ないのはそういう訳でもある。そしてどんよりと溜息が出るのは、これ以上のカオスを引き受けるにはナイーヴ過ぎる自分のせい。それがまたイタイ。

正に「Losing my religion」な心境です。
昔々、恐れ多くもこの曲もLiveでコピーした事があった。久々に聴いたら、まだちゃんと歌詞を覚えてて我乍ら驚いたw。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


そんな時、地元TVでは盛商の県大会決勝から選手権優勝まで、全試合の再放送をやっている。
生観戦した遠野高との決勝を改めてTVで観て気付く。林くんの剃り込み入り丸刈り頭・・・長髪のモロリン・・・スタジアムの目の前を走る新幹線はやて号と共にピッチを駆け抜ける新幹線・成田号・・・やはりクレバーな千葉くん・・・ってゆうかモロリン、強いな。
岩瀬アナの「スタンドの中央でカッパも応援しています!」って実況は、ギャグでも何でもないのが凄い(岩手にカッパは実在します)。

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この快挙についてはなるほ堂が思い入れたっぷりに綴っているので、今更私が書くことはないんだけど。
ただこの感動(ワタシも泣いたー)ってのは、日頃遠い異国のクラブに熱を上げてる自分にとって一体何に例えればいいのだろうか、と。
何しろ地元の選手達、おらほのチームが奇跡を起こした!という経験を計る尺度が、自分にはないんである。

シェフィールド・ユナイテッドがユナイテッドを破ってリーグ優勝したら、こんな感じ?
それともオールダム(←スコールズ心のクラブ)がFAカップで優勝したら、こんな感じ?
デンマーク代表やギリシャ代表がユーロ優勝した時はこんな感じ?
・・・全然的外れな気がする。勿論、ユナイテッドがヨーロッパ・チャンピオンになった時とも違う。

これは地元民(出身者含む)だけが味わえる至福であるに違いない。都の大関より土地の3段目(じゃあ栃乃花が幕内優勝したらこんな感じか?でも個人競技だからな)。
このチームの中からJリーグへ行く選手がいるか否か、なんて事は私にはどうでもいい。まして海外で通用するか否か、なんて事は全くどうでもいい。
(ちなみにルートの次に好きなFWは、盛商で第83回選手権得点王だった福士徳文くん。彼こそ日本で「エース」と呼ぶに相応しかった)
おらほのチームが日本一強い!って事実が誇りだ。ピッチで見せたサッカーが誇りだ。
目の前の相手を倒してやった事がすべてだ。せっかくだから偉そうに言わせてもらうぜ、ウハハハハ!なんてね。

この感覚が日頃観ている欧州や南米の地域民族のフットボールへの誇りと同じものなのか、と考えてみる。
少なくとも「盛岡ブランド」なんて気取ったアイデンティティなんかより、ずっと拠り所に出来るものではある。
なんて思ったり。思わなかったり(←某新主将口調で失敬)。

とはいえ、私はそんなに郷土愛に溢れてる訳でもない。何しろ行動範囲極狭なんで地元でも知らない所ばっかりだし。
まるで英国映画で観るような、しょっぱい愛着である。英国スモールタウンの映画はアメリカ映画のそれより、ずっと感情移入してしまう。


マンチェスター・ムーブメント真っ盛りの頃、ユナイテッドより先にマンチェスターのバンドをよく聴いていた。
Joy Division、The Smiths、The Stone Roses・・・その他Factory、4AD、Rough Tradeレーベルとか。当時そこにユナイテッドへの接点はなかった。

でも今、ブログのタイトルに詰まると強引にThe Smithsの曲名を使うように、彼らの曲がユナイテッドを観てる感情とちょうどシンクロする。
オールドトラッフォードの入場テーマ曲はThe Stone Rosesの「This is the one」だし、モリッシーに抱きついてキスをせがむ野郎共を見ると、ロンの過剰さをも愛するマンチェスターの萌え魂すら感じる。

そんな風に盛商以外にこうして感情移入できる我が心のクラブは、行った事もないマンチェスターにある。不思議だけど、そういうモンなのだった。
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by tototitta | 2007-01-31 19:45 | 高校サッカー(岩手) | Comments(5) | ▲ TOP
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