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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
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カテゴリ:映画( 172 )
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映画の中のユナイテッド
【君を想って海をゆく (2009/仏)】

フランス側から英国へと、ドーバー海峡を泳いで脱出を試みるクルド難民の少年。彼に泳ぎを教えたことから次第に深く関わるようになる水泳コーチの目線で、もどかしくいたたまれない現実が丁寧に描かれる。
少年が英国へ渡って、ユナイテッドに入団するのが夢ってのが堪らない。しかもそれが後で巧く繋がるものだから…このエピソードは反則だよ(涙)。

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【ミリオンズ (2004/英)】

ある日、幼い兄弟の元に大金の入ったバッグが降ってくる。これは天からのギフトなのか?信心深い弟と現実的な兄ちゃんが、お金を巡って右往左往。ユナイテッドファンとしても有名なジェームズ・ネスビットさんが父親役。

ロンドン五輪開会式の演出も担当したダニー・ボイル監督は、マンチェスターの人である。ユナイテッドファンかどうかは不明だが、アイリッシュ系だしその可能性はあるだろう。何せ、マンチェスター郊外を舞台にしたこの映画の中に、ちゃっかりユナイテッドネタが出てくるのだ。兄弟が通う小学校で、先生が「尊敬する人を挙げましょう」と問うと、生徒の答えは「ロイ・キーン」「ファン・ニステルローイ」!(教室のシティファンからはブーイング)
ちなみに、ニューカッスル・ネタも美味しい所で登場する。

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【ケス (1969/英)】

炭鉱町ヨークシャーで、孤独な少年がハヤブサ=ケスと出会う。閉塞感と自尊心、1ミリも救いのない現実の見事な描写。後にカントナとコラボレーションすることになるケン・ローチが、60年代に残した不朽の名作。
体育の授業で、高圧的な教師が自ら審判兼選手としてフットボールの試合をさせるシーン。その時、画面にはわざわざ「UTD 1 SPR 0」とテロップが出る。体育教師はユナイテッドのユニを着て、背中にはサー・ボビーの9番が。

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【ドリーム・ゴール (1995/英)】

シェフィールド・ユナイテッドのファンであり、クラブの役員でもあるショーン・ビーン。彼が自分自身の夢を投影したとしか思えない、オレ得な主演作。『ロッキー』ばりに王道を行く成り上がりモノ、熱血スポ根貧乏物語。コーチ役で故ピート・ポスルスウェイトも。
主人公はシェフィールド・ユナイテッドの選手となり、憧れのFAカップに出場。クライマックスは準決勝のユナイテッド戦である。ヒールとして映画に登場するユナイテッドは、何故かダサい3rdユニ、GKがやけに小さいシュマイケル。


【エリックを探して(2009/英)】

冴えないおっさんエリックに、キング・エリックが人生のアシストをするファンタジー。今更説明不要だが、ユナイテッドファンのロマンとカントナの愛が詰まった珠玉作。当然、試合映像から小物まで新旧ユナイテッド・ネタのあれこれが登場するので堪らない。


【ユナイテッド -ミュンヘンの悲劇- (2011/英)】

元々はBBCのTVドラマだけど、何故か日本で劇場公開された。デヴィッド・テナント演じるコーチのジミー・マーフィーと、全然似てない若き日のサー・ボビーを中心に、ミュンヘンの悲劇を描く。事故のシーンは観るのが本当に辛くて、サー・ボビーの心情を思うのも辛いのだが、ユナイテッドファンならやはり抑えておくべき。ユナイテッドには喪失と復活の伝統がある。

というか、せっかく日本で注目が集まる今だからこそ、もっと大々的に公開して欲しかった。スポーツ・ニュウスが毎試合取り上げるのもいいが、この映画を観た方がよほどユナイテッドの事がよく解るのでは。これを踏まえて、2度とマンUなどと呼ばせない為にも。


【ツインタウン (1997/英)】

ウェールズを舞台に、双子?のバカ兄弟(リス・エヴァンス2役)がクレイジーな騒動を繰り広げる。兄弟の住むトレイラーハウスの傍らには、カントナの大きな看板。更に、重要な役柄である飼い犬の名前もエリック。ウェールズらしくラグビーの話題も多い。

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【ベッカムに恋して (2002/英)】

インド系のヒロインが憧れるのは、デヴィッド・ベッカム。ベックスのような右足を武器に、女子フットボールと恋と友情で頑張るスパイシーな女子映画。コーチ役のジョナサン・リース・マイヤーズが珍しく爽やかすぎて、きゅんきゅんします。偽ベックス&偽ヴィクトリアもチラリと登場。

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【ヴェロニカ・ゲリン (2003/英)】

ケイト・ブランシェットが実在のアイルランド人ジャーナリストを演じる。彼女はユナイテッドファン。取材中に負傷した入院先のベッドでもユナイテッド・ユニを着て、試合を見せろとせがむ。カメオ出演でコリン・ファレルが出てるのだが、街角のTVを観ながらカントナ談義をするシーンも有り。アイリッシュらしい頑固な信念が、やがて悲劇になってしまうのが切ない。

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【GOAL!1&2(2005&2007/米・英)】

もう忘れてると思うけど、FIFA協力で大風呂敷なフットボール映画がありました。しかも3部作と謳いながら、part3はDVDスルーのやっつけ仕事。
1作目はプレミアリーグが舞台ということで、ちょこっとユナイテッド・リザーヴも登場する。但し本物の選手ではなく、おシェイに似た感じのそれっぽい人達がちらっと映るくらい。むしろレアル・マドリーに移籍した2作目で、ベックスがあれれ?な登場をする方が見所か。


【エレクション (2005/香港)】

ジョニー・トー監督の香港ノワール映画。香港裏組織の皆さんは、プレミアをフットボール賭博にしておりまして、ユナイテッドに賭けた組員が大損してしまう。曰く、「あのGKは最低だ」…そうです、キ ャ ロ ル の こ と で す ! あのキャロルのアレのせいで、遠く香港にまで大変な災難を招いていたという…恐るべし!

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【ハートロッカー(2008/米)】

最前線で危険な爆発物処理を仕事にする主人公。戦場しか居場所のない男の姿を、マッチョなキャスリン・ビグロー姐さんが監督してオスカー受賞。駐留先でイラク人少年と交流する場面に重要なのが、フットボール。その時ベックスの名前は、アメリカ人兵士とイラクの少年にとって唯一の共通語。なのに、後の悲惨な展開が残酷すぎる。


【ジュリエットへの手紙 (2010/米)】

アマンダ・セイフライド主演のラブストーリー。イタリアのヴェローナを舞台にしたこんなロマンティックな映画に、何故かユナイテッドが。
ヒロインが旅先で出会った英国青年が、自己紹介する際に一言「マンチェスター・ユナイテッド」と触れています(字幕では省略されてるが)。ロンドンっ子なのに。多分、英国=フットボールの図式を端的に説明するのに、アメリカ人でも知ってるのがユナイテッドくらいだったのかな。

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~番外~
【心理探偵フィッツ (1993~1995/英)】

以前、NHKで放送された犯罪ドラマシリーズ。ジョン・コルトレーン演じる心理学者フィッツが暗くて、事件も陰惨で、特に「ヒルズボロの悲劇」で人生を狂わされた男が復讐するこの回はかなり救いがない。連続殺人事件が起きるのはサルフォード、犯人はリバプール・ファン。でもオールドトラッフォードでの試合シーンや、「女の子はみんなライアン・ギグスに夢中」といった台詞も出てくるくらい、フットボールが重要な背景になってる。
しかも犯人役はロバート・カーライル、捜査に当たる刑事にクリストファー・エクルストンという豪華キャスト。監督にはマイケル・ウィンターボトムの名前もある。

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【ジョージ・ベスト/伝説のドリブラー(1999/英)】

これも昔、wowowで放映されたドラマ。ご存知ジョージ・ベストの波乱万丈なキャリアを描いた伝記もの。お馴染みのエピソードばかりだが、残念ながらベスト役のジョン・リンチがぜんっぜん似てないのでかなり無理があった。ただ、ノビー・スタイルズ役がイアン・ハートだったり、デニス・ロウやパディ・クレランドさん、ハリー・グレッグさんらチームメイトの登場は多いので、そこは嬉しい。

最近も少年時代のベストと家族にスポットを当てたTVドラマがBBCで作られたが、やっぱり俳優でもベストほどの美男はなかなか居ないようで、惜しい再現具合である。いっそ息子が演ればいいじゃん…とも思うが、ハ○ちゃったしなあ。こうなりゃもう、ジュード・ロウが長髪ヅラでも被るしか…。

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ざっと思いつくだけで15本。未見なのも含め、これ以外にも色々あるはずです。英国映画ばかりでなく、フランスや香港までユナイテッドの登場する映画はワールドワイド!中でも、映画におけるカントナとベックスの貢献度?はさすがですなあ。ベックスのネタだけ登場する映画はもっと多いし(『ラブ・アクチュアリー』とか)。

今後もフットボール映画に限らず、いつどんな映画にユナイテッドの話題が出てくるか解らないので、ユナイテッドファンは油断なりませんね!
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by tototitta | 2012-10-14 01:38 | 映画 | ▲ TOP
ダークナイト ライジング~わかってるようでわかってないノーラン~
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“もしもバットマンがガチだったら3部作”の完結編。『ダークナイト』は、「ブルース・ウェインが如何に痛い人か」を追求した意味でとても興味深く面白かったんだけど、それはやっぱり「ツッコミ役」ジョーカーの存在が大変ふるっていたからだよね、と再確認したのだった。

そもそもワタシにとってクリストファー・ノーラン監督の映画は、「(すべきことを)わかってるようでわかってないような」危ういバランスなので、大傑作を期待した訳でもないんだけど。それに、まるっきり駄目というほど駄目な訳でもなく。以下、箇条書きで感想を。

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【わかってないなあノーラン】

『ビギンズ』『ダークナイト』から話を継承してるのは良いんだが、何も、正直言ってダサかった修行時代とか一番どうでもいいエピソードを思い出させなくても。だって『ビギンズ』の頃はまだそんなに自覚的に作ってないというか、結構なトンデモ展開だったじゃないか。実際スケアクロウしか覚えてないし、スケアクロウ以外は忘れていいんでは。キリアン・マーフィーさえ居ればいいじゃん。

アン・ハサウェイはともかく、これキャットウーマンじゃないよね。ぜんぜん猫じゃないね!ラバースーツをミシンで夜なべして(@ミシェル・ファイファー)…とまでは言わないが、せめて1シーンでも貧乏臭い姿を見せてくれればヨカッタのに。

そもそもゴッサムシティって架空の街なのに、今回モロに星条旗とか国歌とか大統領とか出しちゃうのは…いかがなものか。ノーランは現実と地続きのゴッサムシティをやろうとしてて、それがマンハッタンなのも薄々解っちゃいたけど、ここまでやるともうゴッサムじゃなくなってる。しかも街の外の世界が介入してしまうと、違和感や矛盾が露呈しちゃう。リアルにすればするほど嘘臭くなるのだ。

ハリウッドに都合の良い核兵器、は今更まあ置いといて。

ノーラン劇団とはいえ、『インセプション』組とキャストが被りすぎ。さすがにケン・ワタナベ再登場はなかったものの、勿体ぶったマリオン・コティヤールはもういい加減に…イラッ。

でもゲイリー・オールドマンにモーガン・フリーマン、年寄りを手荒に扱いがち。但し、マイケル・ケインは自分が泣けば可愛く見えることをわかってる。乙女みたいに!

マッチョ&口輪付きの悪役ベイトに扮したトム・ハーディ。ぷよんとしたモチ肌露出は大事なポイントだが、あの血色良い唇を隠すとはわかってない!

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【わかってるノーラン】

でも、キリアンはメガネ男子ってのはわかってるノーラン。

さすがブルース・ウェインの女の趣味がブレない!とことんタヌキ顔に弱いな!

前半のクリスチャン・ベールは『ザ・ボクサー』からそのまま来たのかと思うほど、頬がこけて肌ツヤもなく不健康。おかげで凄く老けて見えたし、そこがちゃんと話にリンクしてる。スポーツ選手がトップコンディションを維持できなくなるように、無茶な夜警稼業もそろそろ肉体的限界、老いたなあバットマン…という伏線に繋がる。(ただ、やさぐれすぎたチャンベールが今にも下品な言葉使いしそうでハラハラ)

元80年代青春スター枠のエリック・ロバーツが前作に出てたけど、今回はマシュー・モディーンが同ポジションに。イイ感じに食えない顔。

ガチ・バットマンに引退などなし。引退宣言しても、何食わぬ顔で復帰するのがガチ(イーストウッド先生…)。「俺がやらねば誰がやる」ですから。

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【わかってるようでわかってないようでわかってるかもしんないノーラン】

全く個人的な願望&期待だけど、今回のキャストの噂が流れた頃、ジョセフ・ゴードン=レヴィットくん出演に小躍りしたものであった。というのも、もしジョーカーが引き続き登場するならば、ヒース・レジャーからそれを継ぐのはレヴィットくんしかいないだろ!と思ってから。だって初めて観た時、見た目や雰囲気がそっくりだったし。ああいうタイプにジョーカーやらせたら一番怖いもの(荷が重いでしょうが)。

それに、今作の展開を勝手に妄想してもいた。『ダークナイト』で普通じゃありえない末路を辿ったヒロイン=レイチェルが、キャットウーマンになって蘇るのだと。勿論、アメリカの石野真子ことマギー・ギレンホール続投で。あの魔性こそキャットウーマンに相応しい。猫っぽい妖しい動きは『セクレタリー』でも観てるし。いやあ、大火傷した地味なタヌキ顔をラバーマスクに包んだマギーさんなら大変ですよ、抗えませんよ。マギー最強!

その為の伏線(必然)として、あのような悲惨な目に遭ったのだと。「知らぬはアンタだけ」な例の手紙も、本人から明かされた方が痛いでしょ。でもって、ブルースもバットマンも更なるダークサイドに追い詰められるのだと。女怖ええええ…!ってのがキャットウーマンのキャラだと思うし、ガチで痛い話なんだから、そこまでやってくれないと。そんな風に勝手に期待していたのだが。

…勿論、『ライジング』は全然そういう展開にはならんかった。ジョーカーもレイチェルも登場せず、レヴィットくんは警察官でした。わかってないなあノーランたらもう!と地団駄&歯軋りもしたけれど、でもラストで全部水に流すことに。

そうか、そうなのか!ならばいいよ!レヴィットくんを使う理由も納得するよ!細かい事も不問にするよ!よっしゃ!と拳を握りつつ、清清しい気持ちで観終える事ができたのだった。

なので、ノーランはまた『スーパーマン』ガチ化とかしなくていいから、続きのレヴィットくんを早く見せて下さいな!あ、○○○ガールは当然ジュノ・テンプルだよね?そこんとこ、わかってるのかしらん。


*『ダークナイト』感想はこちら
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by tototitta | 2012-08-25 00:59 | 映画 | ▲ TOP
ガチ映画『ウィンターズ・ボーン』
(記/minaco.)

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これは正しくガチ映画でした。米国アパラチア山脈のミズーリ州オザーク地方を舞台にした、『ウィンターズ・ボーン』(2010)。

主人公はそこに暮らす17歳の女の子で、父は失踪中、残された病気の母親と幼い弟妹の世話を一身に背負ってる。ある日、犯罪者の父を法廷に出頭させないと住む家を奪われるという窮地に陥り、過酷な父親探しが始まるのであった…。

観る前に多少アパラチア文化についての情報を入れておいたので、この物語の根底にあるメンタリティの重要さを納得できた。映画と共に、アパラチア文化やその風土に興味が沸くし、それ無くしては解りづらい面もあるかと思う。もしかしたら、全く別の観点から見ると、これを「スローライフってステキ!」「生きるって素晴らしい!」って映画にも出来ると思うんだ。「大草原の小さな家」みたいに、自然と共に生きる少女の成長譚とか、家族の強い絆や田舎暮らしの魅力みたいな。

でも、そんな夢想など粉々に打ち砕きかねないほど現実に則して、むしろ逃げ出したくなるような土着的カルマに焦点を当てた映画なのだった。過酷な環境で暮らす一族の掟、女たちの掟、男たちの掟、生き抜くための掟。ガチだ。ガチすぎる。アパラチア怖ええええ…と震え上がります。


実は、この映画を観る前日にたまたま『タイマグラばあちゃん』というドキュメンタリー映画を観たんである。2つに共通するのは、開拓民であること、山奥の厳しい自然環境、現代社会から取り残されたような暮らしぶり。

岩手県川井村タイマグラは、早池峰山麓の奥深くに位置し、日本で最後(昭和63年)に電気が通った地区。かつて入植した世帯も、ドキュメンタリー制作当時には通称「タイマグラばあちゃん」の1軒を残すのみ。新たに若い世代が移住してきたものの、生活はほぼ自給自足のまま。畑で大豆を育て、味噌や豆腐を作り、薪を割る。冬に保存食の味噌玉や凍みジャガイモをこしらえたりする様子が、淡々と映像に収められている。

当たり前の営みとしてそれを続ける、山の民独特の気質や誇り。そりゃあ勿論、アパラチアの場合は人口も全然違うし、全く違う意味での「生きる知恵」がある。それこそ「スローライフ裏表」ってくらいに。

恐らく『ウィンターズ・ボーン』に出てくるのはアイルランド系移民の一族で、バンジョーでヒルビリー音楽を奏でて歌い、馬を飼い狩猟をし、粗野な男達はドラッグ密造で生計を立て、うら若い娘も志願入隊するくらいしか村を出る選択肢はない。地元エキストラも含まれるんだろうけど、登場する人々は他の映画ではお目にかかれないような顔つきをしてる。タフで眼光鋭くて、でも疲れ果てたような、枯れきった冬の山肌のような。

否応なく容赦ない村の掟に立ち向かう17歳の女子も、やがてそんな村人の1人になるに違いない。まるで不幸なように見えて、でも同時に長く続く血脈を受け継ぐ者でもある。彼女が「あたしも一族の女だから」と言い放つ言葉に、紛れもなくガチな血が流れてる。ただ、いつかは弟妹世代が、叔父譲りのバンジョーで新しい音楽を奏でるようになるのかもしれない…。

しかしこの闘争心、失われないプライド。そして犬。ガチなアイルランド人をルーツに持つアパラチアの山の民もガチな訳で。むしろ、より一層閉ざされた環境故にガチ純度も高い訳で。つまり、キーンさんを更に10倍濃縮したくらいの、ガチさなのであった。ひいいい。
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by tototitta | 2012-03-13 00:15 | 映画 | ▲ TOP
ロマンティック・コメディ映画あれこれ
(記/minaco.)

寒い真冬に心温まる映画を観たいとき。今日はバレンタインデイという訳で、これでもロマン主義者のワタシがざっと思い出してみた、ロマンティック・コメディ映画あれこれ。

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『お熱いのがお好き』
昔々、今はなき名劇で観たっけ。マリリン・モンローは60年代が特に好き。砂糖菓子のようなヘアスタイル、♪ I Wanna Be Loved by Youの甘ったるい歌声。ガーターベルトにウィスキーの小瓶を忍ばせて、女装コンビと巡業する天真爛漫なブロンド歌手。これぞスウェィィトなロマコメ。

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『アパートの鍵貸します』
同じく60年代のシャーリー・マクレーンの可愛いこと!こちらもジェック・レモン主演の切ない片思い。テニス・ラケットを使ったスパゲッティは、『ひまわり』のオムレツや『クレイマー・クレイマー』のフレンチトーストと並ぶ、「男の料理」名場面。

『恋は邪魔者』
ユアン・マクレガーとレニー・ゼルウィガーで往年のロック・ハドソン&ドリス・デイを再現した、小粋なコメディ。歌って踊れて芸達者。「古き善きコテコテの様式美よもう一度」な作り方がとことん確信的で、待ってました!とツボ直撃。

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『スパイダーマン1~3』
アメコミ・アクション映画というより、むしろ無邪気さと甘酸っぱさが目一杯詰まったロマンティック・コメディの側面がたまらなく魅力的。サム・ライミのけれん味が大好きだ。舞台NYがもうひとつの主役で、中学生レヴェルの三角関係すら夢がある。そして、ウィレム・デフォーさんの頑張りはいつだって報われない。清清しいね。

『ローマの休日』
名シーン名台詞も名ツッコミ所もほぼ暗記しつつ、何度観ても鉄板な名作。でも、正直オードリーより断然モンローが好みです。

『ハリーの災難』
シャーリー・マクレーンをもう一つ。ナンセンスなブラック・コメディだけど、同時に秋の田舎の風景が美しく、小さなロマンスもあって、ヒッチコックの中でも外せない愛すべき1本。そもそも謎の死体が転がってても、村人がみんな長閑にあっけらかんと放置しちゃうのがファンタジー。

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『唇からナイフ』
モニカ・ヴィッティも大好き。愛が不毛なアントニオーニ監督作品とは大違い、怪盗モデスティ・ブレイズはとことんポップでラブリー。ゴージャスなお色気と衣装、サイケなインテリアが目の保養。テレンス・スタンプとの美男美女カップルの掛け合いも洒落てる。

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『月の輝く夜に』
シェールとニコラス・ケイジの年の差カップルなんて今なら勘弁願いたいクドさだけど、当時はロマンティックでいじらしかったのだ。シェール姐さんが無条件でキレイ、それだけでも一見の価値あり。

『麗しのサブリナ』
オードリー・ヘップバーンのサブリナパンツで有名。ウィリアム・ホールデンとハンフリー・ボガートというおっさん兄弟を両天秤にかけるとは…観た当時も無理な年齢設定に違和感あったけど、シンデレラ・ストーリーの定番。同じく、垢抜けない娘が洗練されてゆく『パリの恋人』でのフレッド・アステアは当時還暦くらいだけど…。

『絹の靴下』
ミュージカルにはロマンティックなラブコメが定番。鉄のカーテンの向こうから来た堅物女と、陽気で享楽的なアメリカ人がいつしか恋に落ちる。即ち、分厚い黒タイツから絹の靴下=シルク・ストッキングへの変貌。シド・チャリシーがバレエを踊るシーンのサーキュラースカートが流れるように優雅だわ。

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『プリティ・イン・ピンク』
80年代のジョン・ヒューズ映画にどっぷり漬かった訳ではないけど、これだけはリアルタイムで観た。輝けるモリー・リングウォルドは勿論、当時のブラット・パック組ならアンドリュー・マッカシー!恥ずかしながら『セント・エルモス・ファイア』で彼にときめいたものだった。屈託ない「王子様」キャラとはいえ、文系アイドルとしてここに極めたり。

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『パイレーツ・ロック』
(ワタシの求める)男のロマンがぎっしり詰まったアウトロー・ロマンティック映画。何度でも言うけど、このフィリップ=シーモア・ホフマンは最高にカッコいい。

『フォロー・ミー』
昨年末に「午前10時の映画祭」で観た、夢のある映画。若き人妻と彼女を尾行する探偵が、追いつ追われつ無言のロンドン街歩き。始終何か食ってるという設定は、その後の映画の元ネタなんだろうな。お洒落すぎない、多少の野暮ったさも70年代の魅力。当時のミア・ファローとキャリー・マリガンは似てる。「グレート・ギャッツビー」繋がりだし。

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番外:『こちらブルームーン探偵社』

懐かしの海外ドラマ、ブルース・ウィリスのデビュウ作にして出世作。大大大好き。対照的な男女がツンデレしつつ、観てる方をヤキモキさせる展開は、正にロマコメの見本と言えましょう。時にパロディ、ミュージカル、コスチュームプレイに楽屋オチなど何でもあり。極端にナンセンスへ暴走する脚本、その中で本領を発揮する役者の掛け合いが見もの。ワタシにとって、ブルース・ウィリスは未だにディヴィッド・アディスンかマクレーン刑事なのです。

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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント



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そんな感じで思いつくまま挙げてみると、好きなロマコメって出てる役者に左右されるものだと気付いたんだった。やはり丁寧な脚本で、役者が魅力的に見えないと成り立たない。観ててロマンティックな気分になれるのは、普通の人の物語だからこそなのだ。
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by tototitta | 2012-02-15 00:46 | 映画 | ▲ TOP
2011年の映画ベストイレブン
(記/minaco.)

今年も劇場であまり観られなかったんだけど、年末メモとして振り返っておきます。色々見逃してるのが多いなあ。寒くなると出不精なもんで。迷ってるうちに上映終了とか。最近では『マネーボール』も『ゴーストライター』も行けず終い。やっぱり「い つ で も 観 ら れ る と 思 う な 、行 け る 時 に 行 け」を教訓として胸に刻みたいと思います。

なお、一般的には昨年の封切り作も含むけど、あくまでこちらで今年公開された映画という事で。

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まずベスト5を順不同で。

『ソーシャル・ネットワーク』
ナウな題材だからって訳でなくて、映像や若手俳優含め一番新鮮な「旬」を感じた。結局、普遍的な青春映画ってのが魅力。同じく実在人物もの『アビエイター』や『J・エドガー』のディカプリオの演技に致命的に足りないものが、ジェシー・アイゼンバーグにはある。
イチ押しのマックス・ミンゲラくんがパッとしない役だったけど、準主役の『アレクサンドリア』を見逃したのが心残りです。

『エリックを探して』
ああ、あたしのエリック!

『リトル・ランボーズ』
少年達のいじらしさ、健気さにとめどなく泣かされた。そもそも『ランボー』観てランボー映画作りなんて反則だよ。

『ブルーバレンタイン』
ロマンティックで暴力的。非常にダウナーなんだけど、ベルイマン『ある結婚の風景』が大変ツボな自分には、ダウナー夫婦映画としてその系譜に続きます。それにしても、あの鷲のプリントTシャツは!

『ファンタスティック Mr.FOX』
これぞ野生の生きもののロマン!ロマン主義バンザイ!おー!

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そして、残りの6本(順不同)。

『ツリー・オブ・ライフ』
難解だとかポカーンだとか、宗教観や宇宙や恐竜だとか、何を今更。テレンス・マリックが新作作ってくれるだけで満足。比較できないポジション。

『マチェーテ』
我がロドリゲスの新作を2本も観られた今年。『スパイキッズ4D』も大好きだけど、とりあえずビバ☆トレホ(66さい)で。ロドリゲスは君を裏切らないぜ。

『シングルマン』
これぞミッドセンチュリーのロマン!ご飯3杯いける。

『MAD探偵 7人の容疑者』
特筆すべきは、今年ジョニー・トーさんの映画を色々観れたこと。噂通り面白い。一番良かったのは旧作『柔道龍虎房』だけど、『MAD探偵』も有り得るようであり得ない展開が可笑しい。特に嫁の存在が凄かった。

『ステイ・フレンズ』
冒頭から台詞を追うのに忙しいくらい、脚本がネタてんこ盛り。ハイカラで楽しい。それに、ダーマ(@ダーマ&グレッグ)がダーマっぽい役で出てたのも嬉しい!そうか、ラリー・フィンケルシュタインの老後も世話してるのか…なんて。しかし、歌うジェスティン・ティンバーレイクを知らぬままに映画俳優として1年に2本も観る事になるとは。しかも尻まで。

『インモータルズ -神々の戦い-』
ターセム、あなた実はプヲタだったのね?!と妄想しながらとても盛り上がった。ギリシャ神話とか教養のないワタシは、全能の神ゼウスさん=全能のプロレスラー三沢さんに置き換えて観ました。
つまり、ミッキー・ザ・レスラーは「三沢さん、ずるいぞ俺と戦え!」と因縁吹っかけてリングに担ぎ出そうとするんだけど、いかんせん三沢さんは他団体なぞ相手にしない。やがてノアの若手レスラーが勝手に参戦するのを見かねて、遂にリングに降りた時の脳内三沢コール!えげつない本気エルボー炸裂!(実際エルボーが必殺武器として登場します)燃えたね。『300』では燃えなかった心が燃えた。

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さて、最後に2011年の新作ではないけど、今年観て心に残った1本を。ドリュー・バリモアさん初監督作『ローラーガールズ・ダイアリー』(2010)です。

ローラー・ゲームという女子競技を舞台に、大げさに言えば「女子の生き様」を語る映画。主役は女子高生エレン・ペイジちゃんだけど、彼女の世代ばかりでなく、ローラーゲームの年増スター(ジュリエット・ルイス)、ミスコン主義の母親(マーシャ・ゲイ・ハーデン)という3世代の女性がフェアにリスペクトされ描かれてるのが素晴らしかった。型に縛られない現在形の女子も、その上の痛い青春を送った世代も、そのまた上の保守的ながら強い世代も、みんなそれぞれのやり方で闘ってる。だから1本筋が通ってるし、清清しい。

例えば、W杯優勝の日本女子代表や、現在wowowで観られる「ランジェリー・フットボール」競技の選手たちにも同じような爽快さを感じるんだった。コーチ監督は男性、でも主導権やモチベーションはあくまで女子自身。自由だし勇敢だし、ブレない。

昔の「東洋の魔女」や漫画「エースをねらえ!」にあったフォーマット、カリスマ指導者に身を委ねて導かれるって構図はもうない。だって、「岡、エースをねらえ」って言われなくても彼女達は自らエースを狙って掴み取るんだもの。W杯決勝で日本に敗れたUSA代表(ソロさんかっけー)も、そのプライドは負けてなかった。彼女達は「勝つ為にやってるんでしょ、勝たなきゃ明日なんかないでしょ」って腹が据わってるように見える。

そして時代によってやり方や環境が違っても、女子競技の選手達には脈々と信念が続いてるんだと思う。この映画のように。
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by tototitta | 2011-12-30 00:49 | 映画 | ▲ TOP
よいこのための『スパイキッズ』シリーズ
(記/minaco.)

スパイキッズ4D:ワールドタイム・ミッション 3D&2D(Blu-ray Disc)【初回限定生産】

SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D)



ワタシが劇場で初めて3D映画を観たのが、ロバート・ロドリゲス監督『スパイキッズ3-D』(2003)だった。当時は3D映画が盛んになるずっと以前で、むしろ3Dなんて時代遅れの色モノ扱いな訳で。映像技術だって現在の方式とは違う旧式3Dだったし、緑色と赤色のセロファンメガネを掛けて、いわゆる「とびだす映画」を観たものだった。しかもたった1人、貸切状態で。

そして今回の新作『スパイキッズ4D:ワールドタイム・ミッション』(2011)も、4D映画の初体験。つまり、ワタシは『アバター』とか『ハリポタ』じゃなくて、ロドリゲスによって映像新時代を体験させてもらってる事になる。

4Dと言えば4次元だけど、この映画は現方式3D+「匂い」付き。いや、匂いと言っても予め渡された匂い付きカードを、スクリーンに登場する番号順に各自「こすって指で嗅ぐ」仕組み。大昔にジョン・ウォータースが『ポリエステル』って映画で実践したのと同じく、非常にアナログな方法なんだった。
で、せっせとカードをこすって嗅ぎましたよワタシ。
今回も た っ た 1 人 、 貸 切 状 態 で !(泣)

ぶっちゃけ、匂いはほんのオマケで特に意味なんかないんだけど、そのムダさが素晴らしい。おかげで初の最新式3Dメガネ装着体験をして、3Dメガネonマイ・メガネがこんなに難儀だと知り、その上匂い付きカードまで。何せ他に観客がいないので、どうしたもんかと暗闇で必死に格闘する羽目に…。

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さて、よいこのみんなはメキシカン家族がスパイ一家として活躍するこのシリーズ、もうお馴染みだよね?一応おさらいすると、初代パパはマリアッチのバンデラス、ママは『シン・シティ』でもセクシーなカーラ・グギノ、その子供はお姉ちゃんカルメンにくるくる頭の弟ジュニ。便利な秘密兵器を作ってくれる叔父さんは、マチェーテことダニー・トレホさんだよ!リアル前科者だけど優しい人だよ!みんなロドリゲス・ファミリーだね。

今回は、同じスパイ組織のママで可愛いジェシカ・アルバさんが参戦するよ。主役は勿論子供たちだけど、お姉ちゃんと弟も新しい子に交代なんだ。前任スパイキッズはもう大人になっちゃったからね。でもご安心、カルメンとジュニもちゃあんと登場するから。嬉しいよね。ジュニはトレホ叔父さんと『マチェーテ』に出てたから知ってるけど、すっかり立派になっちゃって…登場シーンも無駄にカッコ良くて。あ、初代パパママは一瞬写真で見えるだけで、ジョジクル大統領も出て来なかったけど、もう退職&任期切れしちゃったから仕方ないかな。

そんな訳で、もしこれまでを知らなくても大丈夫。子供たちが世界の危機を救うのはおんなじだからね。それに、よいこのみんな大好きな下ネタが沢山あるのも変わらないよ!ゲロが飛び出したり、ワンコのお尻の穴からいろんなものが出てきたりね!だって、ロドリゲス映画はドリフみたいなものなんだ。くだらない下ネタやバナナの皮で滑るようなベタベタなギャグに、何故あの頃の子供たちが異常なテンションで反応したのか、ロドリゲスはそのスピリットをよくわかってるんだ。そんな子供たちのために、きっと誠意を込めて真剣にこのシリーズを作ってるんだよね。

ロドリゲスのテーマはいつも家族。『スパイキッズ』シリーズでも他のバイオレンス映画でも、それは一緒さ。「兄弟仲良く」とか「家族を大切に」とか、よいこにとって大事なことを伝えてるんだ。それだけじゃない。「子供には不可能なんかない」とジュニに言われて、つい目頭熱くなっちゃったよ。これ、ジュニが言うからこそ良いんだよね。例えサエなくても、小さくても、みんなで力を合わせれば何か大きなことができるんだって。そういやロドリゲス自身の長男はロケットくんって名前で、どこへでも飛んでいけるように、って名付けたらしいよ。

そう、映画作りだって同じじゃないかな。ロドリゲスは従兄弟のトレホおじさんや、古い仲間や大家族と一緒に映画を作ってきたんだ。そして、長年連れ添った後離婚してしまった奥さんのエリザベスさんが、今でもちゃんとプロデューサーを務めてるし。更に言うと、チカーノ(メキシコ系アメリカ人)のロドリゲスにとって、メキシコ人そのものも家族。だからこそ、ハリウッドで悪役扱いされてたメキシコ人をヒーローにしてギャフンと言わせたんだ。みんな、ファミリーによるファミリーのための映画なんだね。

そんな『スパイキッズ』シリーズを、よいこのみんなに是非観てほしいな。匂いを指でこすって大騒ぎしながらね。そして学校や家でスパイごっこを真似したり、下らないいたずらしたり、ゲロ袋を投げたりして、大人をギャフンと言わせてほしいな。だって、真っ当にとっても正しい子供向け映画なんだから。
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by tototitta | 2011-12-03 01:22 | 映画 | ▲ TOP
『ブルーバレンタイン』~動物プリントTはやばい
(記/minaco.)

ブルーバレンタイン [DVD]

バップ



どうでも良いけど、最近観るハリウッド女優さんの中ではミシェル・ウィリアムズとか、キャリー・マリガンのような丸顔系が好みのタイプです。肉質が柔らかそうで生々しい感じ。逆に『トワイライト』のお嬢さんとかキーラ・ナイトレイみたいなガリガリ三日月顔は苦手だな。

で、予告編の只ならぬ雰囲気にも惹かれ、ミシェル・ウィリアムズ主演の『ブルーバレンタイン』(2010)を観た。

何が只ならぬかとゆうと、男女の恋愛ものでありながら非常にダウナー系なこと。観るならいっそ思い切りダウナー映画を欲する時もある。若い夫婦のどんよりした現在と、出会った頃の瑞々しい過去が交互に進行する物語なんだが、オープニングからしてデート向けのメロドラマとはとても思えない渋い映像なのだった。

まるでヌーヴェルバーグかギャング映画か、はたまたカラックスかと思うよなタイトルバック。"BLUE VALENTINE"って大きなフォントが暴力的でもあり、これだけで度肝を抜かれる。穏やかな陽光の中、幼い娘と汚い父親の他愛もないやり取りにも何故か緊張感漂う。映像のトーンや音楽の使い方はちょっとグランジ世代のダルさが特徴で、とても現代的。疲れきった生活感とロマンティックな青春がコラージュされ、ザッピングされ、観る側の想像が行間を埋める。

夫婦がこうなってしまった原因が何なのか、いつどこにあったのか、別にコレといったきっかけを提示してない。どちらかに非がある訳じゃないし、娘を大事にしてるし、家庭を守ろうとお互い努力もしてるけど上手く行かないのが現実で、だからこそ身につまされる訳で。発散しきれないストレスに息苦しさが募るのみで。台詞で言わない部分にこそ、本質を読み取れる訳で。

愛の不毛…といえば、この監督はベルイマンのダウナー系夫婦映画の傑作『ある結婚の風景』を観てるのかなあ。きっと脚本を丹念に練り上げ、妥協無く俳優を酷使して撮影されたんだろう。多かれ少なかれ身につまされる話だけど、どこか'80年代のヤンキー系少女漫画風味漂うのがミソ。


それでもとにかく、夫を演じたライアン・ゴズリングはやばい。役者バカとゆうか、毎度偏執的に役作りするおかげでどんどん変態じみてきてる。若かりし青春時代は気の良い優男としてまあイケメンと言えるんだが、現在の姿はハゲ散らかしてヘンな眼鏡して、ヤニ臭い体臭も匂いそうなオッサンぶり。妻ミシェル・ウィリアムズがそれほど激変してないのに比べ、アンタやりすぎ!ってくらい強烈なインパクトである。

但し、特筆すべきはハゲ頭よりも何よりも、着てるTシャツの動物プリントであった。これはやばい、やばすぎる。だって、旦那が大阪のおばちゃん愛用豹柄プリントみたいなキッツいTシャツ着倒してるんですよ。そりゃ百年の恋も醒めるわな、って説得力有りすぎでしょう!他のどんな事も許せても、動物プリントだけはアウトだろ。男女関係の変移をこれほど端的に表すアイテムはない。むしろそれが破局の要因と言っても過言じゃないかも…ってくらい見事なチョイス。

そんな風に冷徹なリアリズムを突き詰めた演出なのだが、ラストは抽象的象徴的な映像美で締めくくられる。映画が終わる時、独立記念日の花火と共に儚ない記憶のコラージュが散ってゆく。暗闇に浮かぶ幻の残像が美しすぎる。
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by tototitta | 2011-11-19 01:00 | 映画 | ▲ TOP
『ブラック・スワン』は『レスラー2』だった
(記/minaco.)

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【『ブラック・ワンダー』あらすじ】あたしはトウが立ったバレリーナのワンダー。赤悪魔バレエ団のファーガソン監督は、新しい7番役にあたしを大抜擢したの。ずっと夢に見た大舞台のプリマの座。そりゃあ周囲から妬まれたし、プレッシャーのせいで身体のあちこちを傷めつけてしまったわ。なのに監督から「お前にはワンダーがある。だが、もっと黒ワンダーを解放しなきゃ使えねえ」って怒鳴られてばかり。だから毎日競馬場に入り浸ったり、お酒に溺れてみたり、大金をスろうが賭け事なら何でもやってみた。もうワンダーボーイには戻れないわ。身も心も汚れるうちに、やがて気付いたの。ああ、あたしを育ててくれたリバプールのママンだけど、本当はあたしが赤悪魔バレエ団で成功するのが気に障るのね。「フン!あんななんか所詮ELすら出られない三流のくせに!」って追い払ってやったわ。でも、元7番の先輩が監督に弄ばれた末に捨てられてボロボロな姿を見ると、とても怖くなるの。あたしもいつかああなるかもって。だって、他所から来たばかりの新人チチャリートって子が、せっかく掴んだあたしの7番を狙ってるのよ。自由奔放に愛されて、いつしかあたしの代わりに主役を張ろうだなんて…キイイイイ。いいわ、思い知らせてあげる。ダークサイドを…真の黒ワンダーを…!

そんなダーレン・アロノフスキー監督の新作、『ブラック・スワン』(2010)はバレエもの。バレリーナといえば優雅で繊細で華やかで、まるで少女漫画みたいに乙女心をくすぐる存在……だが、ちょっと待て。もしこれをバレエ好きなマダムなんぞが連れ立って観に行ったら、ドン引く事間違いなしじゃないか。

前作のアメプロを舞台にした男臭いガチ映画『レスラー』から、別に作風が変わった訳じゃない。全く接点なさそうなプロレスと(ストリッパーと)バレエでも、実は共通点が多いんだった。身体を酷使する仕事、エースやプリマを頂点とした閉鎖的な縦社会、リング上も舞台上も孤独で過酷。

アロノフスキー先生は、そういったガチ稼業を題材にするのがお好きらしい。ボクサーが主人公の『ザ・ファイター』でも製作総指揮を務めてるし。きっと否応無しに生身の身体を張った、「痛みの伝わるプロレス」を見せたいんじゃないかな。ドラッグ中毒の恐怖を容赦なくこれでもかと見せつけた超ダウナー映画、『レクイエム・フォー・ドリーム』もそうだったもん。


最初のうちは、クローズアップが続く心理ホラー=メンタル・スプラッターと呼ばれるベルイマン映画風かとも思ったけど、やがてむしろこれはメンタルよりフィジカルだと気付く。トウシューズを支度するバレリーナは、コスチュームや凶器を仕込むレスラーに符合して、カメラが商売道具を手入れする職人を見つめるように捉えてる。そしてクライマックスのダイブ。スローモーション。諸々の相似に確信しちゃった。こ れ は 『 レ ス ラ ー 2 』 (或いは『裏レスラー』) だ っ た の ね !

そんなプロレス脳監督だから、バレエ映画を観に来た観客がドン引きしても無理はない。バレリーナの極端にデフォルメされた苦痛を、肉体を通して延々と伝えてゆくのみ。身に付けた白い服が徐々にくすんで真っ黒に染まるまで、ひたすら痛みのオンパレード。しかも爪先指先に尖ったアレコレなもんだから、先端恐怖症にはかなり辛いんじゃないかしら。

そうして、プロレスラーとしてミッキー・ロークの老いた肉体を曝したのに続き、ナタリー・ポートマンをバレリーナとして身体を張らせるアロノフスキー先生であった。どちらも役者自身が醸し出すイタさを強調してるのがミソ。子役から大人になるにつれ潰しの利かなくなってしまったナタリーさんだが、その「いびつさ」を前面に押し出し、ミッキーには届かなかったオスカーも獲得。人形みたいに整いすぎて何かツラい容姿が正にハマリ役であった。

おフランスの演出家ヴァンサン・カッセルも、落ちぶれプリマのウィノナ・ライダー(余りにオーラが無くてしばらく気付かなかった)も、その他みんなこれしかないってくらい絶妙な配役だけど、ベタすぎるとも言える。そもそもバレエ=「白鳥の湖」ってストレートすぎ。実は笑えるほどベタでコテコテな映画だと思うし、それがアロノフスキー先生の芸風なのかもしれない。

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by tototitta | 2011-10-31 00:10 | 映画 | ▲ TOP
或いは強烈にダウナー系『メアリー&マックス』
(記/minaco.)

メアリー&マックス [Blu-ray]

Happinet(SB)(D)



いきなり余談ですがワタシも昔、文通してました。雑誌のペンフレンド募集コーナーとゆう当時のベタベタなきっかけで始まり、小学生~ハタチくらいまで続いた。そのくらい長い時間の中ではお互い変化してゆくもので、特に彼女の方は途中から韓国や中国大陸を放浪し始め、旅先からエアメールが届くようになる。結局一度も会う事なく、暮らす環境も対照的なのに、不思議といつも繋がってるような気がする友達だった。どうしてるかなあ、まさみ。


でも映画を観てる間はそんな事を思い出す余裕もなく、殆ど泣きっぱなし。コンプレックスや不安定な感情や孤独に苛まれない人が観たら、ああ良い話だね、って映画かもしれないけど、どこか身に覚えのある人が観ると相当に辛いものがあります。その時ワタシは、『メアリー&マックス』(2009)で言うところの中盤辺りに居た。

オーストラリアに住む8才の女の子メアリーと、ニューヨークに1人暮らしする40代男マックスが手紙をやり取りする、20年もの長き時間の物語。ふと思うのは、この2人の関係がかなり偶然に左右されてること。

メアリーがアメリカ人へ手紙を出そうと思い立ちマックスを見つけるのも、マックスからの返事がたまたま運良く見つかるのも、お互い同じTVアニメが大好きなのも、お互い友達を求めてるのも、そしてメアリーがマックスからの大事な小包を受け取るのも、偶然がなければどうなっていた事か。実話を元に作られた物語だと言うけれど、本当に、これら偶然がなかったら酷く悲惨な事になってたはずだもの。

ともあれ年齢も環境も離れた2人には、少しだけ接点があった。メアリーが自分の身の回りの話やお薦めのチョコを取り留めなく手紙に託すと、マックスはタイプライターで延々と身の上話を語り、お薦めのレシピを返す。お互い打ち明け話をしながら、思い出したように追伸の中で相手に答えるのが不器用さの現れかもしれない。何しろ友達なんて1人も居なかったのだから。

メアリーの家族や同級生、マックスの隣人たちもまた、コミュニケイションが不器用なだけで、彼らを拒絶してる訳ではなかった。醜悪に見える関係性は多少いびつなだけで、やや一方通行だっただけ。

それに、コンプレックスを消せばなりたかった自分になれるなんて望んでも、実は問題はそこじゃなかった。環境や周りの人の問題でもない。そもそも病だったり容姿だったり心の弱さだったり、誰もみんな不完全な人間だから、この世界は不完全だから。まずはそれを受け入れなきゃ。

映画はそう伝えているけれど、描かれる現実はとても身につまされる。信頼関係が壊れてしまったら、2度と修復できない可能性だってある。メアリーもマックスも偶然のおかげで救われただけかもしれない。そのくらい、人は脆いのも確かなんだ。メアリーがいなければ、きっとマックスは孤独なままだった。マックスがいなければ、メアリーも孤独なままだった。宝くじに当たるように、偶然の出会いはむしろ奇跡と言った方がいい。

クレイ・アニメの柔らかな質感や、セピア色とモノクロに分けられた2つの世界は繊細で温もりあるものだし、2人の声を担当したフィリップ・シーモア=ホフマンとトニ・コレットの演技もさすがの説得力。淡々とした手紙の声には痛みや諦念が滲みつつ、決して哀れじゃない。文面は対等だけど、やはり大人のマックスの方が孤独の年季が違うのだし、そのささやかなプライドを静かに表現してるシーモア=ホフマンは素晴らしいよ。
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by tototitta | 2011-10-04 00:25 | 映画 | ▲ TOP
『エリックを探して』~カントナ、その愛とロマン~
(記&画/minaco.)

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It all began with a beautiful pass.

しょぼくれたダメ男が夢を託す象徴に導かれ、やがて人生を取り戻してゆく-----そんな展開はウディ・アレンの『ボギー!俺も男だ』('72)や、『カイロの紫のバラ』('85)でも観た普遍的な映画のマジックなのだけれど、今回暗闇から現れたのは往年の映画スターとは一味違う、我らがエリック・カントナ。だからユナイテッドファンにとっては身につまされるような、正夢のような、ひょっとしてこれは自分の物語じゃないかすらと思えるような、特別な映画なんだ。

マンチェスターのしがない郵便配達人エリック・ビショップ。夫として父親として不甲斐無く惨めな彼が、もう1人のエリックのアシストのおかげで別れた妻や息子たちとやり直し、再び希望と仲間と家族の絆を勝ち得る小さなファンタジー。けれど、その一方で合わせ鏡のように、これはエリック・カントナ自身の物語でもあるのだった。

何故ならエリック・カントナのキャリアもまた、最高と最低を行き来するドラマティックなものだったから。唯一の居場所マンチェスターで頂点に君臨し、やがて過ちに何もかも失い、ドン底から復活して再び人々を魅了した物語がある。過剰すぎる個性、過剰すぎる愛。フットボーラーとして完璧なテクニックを備えつつ、人間としては極端にいびつなカントナをワタシは心から愛した。

エリック・ビショップが思いを馳せる「最後に幸せだった瞬間」の事を、我々はよく知っている。カンフーキック事件による9ヶ月の出場停止処分、その間の奉仕活動を終えた、王の帰還。キャプテンとして先頭に立つカントナを迎えるオールドトラッフォードの光景も、PKを決めた時の興奮も、後にNIKEがユニフォームのデザインを変え、「エリック、襟がなくてごめんね」とのコピーを付けた事も。

何故、負け犬エリックに伝説のエリックがパスを送るのか。映画ファンには唐突な妄想でも、ユナイテッドファンなら答えは必然、「キングだから」。キングは駄目人間を見捨てたりしない。民を愛し、民の為に尽くすのだ。いつだって「ギフトを捧げ」、「民も自分も驚かせ」、「ゴールより美しいパス」を誇る。「民の声を失うのが怖い」と王は言う。それ故に襟を立て胸を張り、芸術主義を謳いポエムをしたため、滑稽なほど尊大に振舞う。エリック・ザ・キングは民が求めるカントナを演じ続け、民も喝采を送り続け、最後は死を以ってその愛を永遠に刻む。そこには限りないロマンがあった。


そんな風に重なり合う2つのエリックの物語が、ヒシヒシと胸に沁みない訳ないじゃないか。あの試合、あのゴールと次々に甦る当時のシーンに。カンチェルスキス、ポボルスキー、コール、マクレア、アーウィン、若きギグスやバットやベックスやポールさんの映像に。各世代が身に纏うユニフォームのデザインに。部屋に飾られたカントナ、ベスト、ロブソン、サー・ボビー、バスビーズ・ベイブスの写真に。ワタシ自身の記憶にあるetc,etcに…。おまけに、エルビスの“Blue Suede Shoes”に合わせて踊るカントナ!おお、これぞ正にキングmeetsキングの瞬間がニクい!!

エリックがエリックに授けるフレンチ格言の数々(敢えてポエムと呼びたい)も、フィクションだけど嘘じゃない。まるで本人が振り返る自伝のよう。時にポカーンとしたり、たまに口応えするエリック親父に対して終始穏やかに諭すのはご愛嬌。下手くそなトランペットも、未だ軽快な身のこなしも、すべてキングの美学。カントナはカントナ自身を演じるのが一番巧い。

そもそも自ら企画を持ち込み、かのケン・ローチにこんな映画を撮らせてしまうのはカントナだけ。ありがとう、ケン・ローチ。さすが我々が抱くカントナへの愛を、その本質を解ってらっしゃる。『ケス』とはほぼ対極にあるけれど、これもまた間違いなく愛すべき真実だろう。

代表作「トロール漁船とカモメ」にまつわる台詞にニヤッと笑い、でも今の自分には「最も美しい思い出は最も辛い」という言葉が他人事じゃなかった。ギグシーやポールさんのハーフボレーの巧さはカントナ譲りだったけど、もはやユナイテッドにカントナとプレイした選手はギグシーのみ。それでも、映画の中でFCユナイテッドを支持するファンと同じように、ワタシの居場所もかろうじてまだそこにあると言ってもらった気がする。そんなキングの愛が沁みた。

「エリックを探して」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
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by tototitta | 2011-07-14 00:17 | 映画 | ▲ TOP
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