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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
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<   2010年 03月 ( 12 )   > この月の画像一覧
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黒ルート出現
(記/minaco.)

【#28 / Borussia Monchengladbach × HSV】

HSVは俺にとって新しい、そして最後の頁だけど、俺はまるでお別れツアーをしにマドリーから来た訳じゃないんだ。今シーズン中にタイトルを獲りたいし、多分それはELになるな。
少し前、Bild紙に語ったルート。ここが最後の頁になるであろうけど、だからってキャリアはまだまだ終わらない。あと2、3年はここでやりたい。──そんな話をしてた。

けれど、どうだろう。
正直なところ、合わない靴を履いてるみたいに見える。ワタシには。

よく、若い選手がいきなりビッグクラブへ移籍したものの、実は分不相応じゃないのって時に「靴が大きかった」と言う。でも今のルートは、「足のサイズより小さい靴」を履いてるんじゃないかな。

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日曜はブンデス第28節、ボルシアメンヘングラードバッハ(BM)とアウェイで対戦。HSVに来て以来、最悪の試合だった。

結果から言うと、1−0の敗戦。その1失点にまたもやルートが絡んでしまう。点を獲るべきFWなのに。早くも63分、飛行機恐怖症からやっとドイツへ戻ったゲレーロさんと替わり、ベンチには下がらずそのままトンネルを出て行った。久しぶりに観る、黒ルートだった。


前半BMの得点はFKから。その瞬間、ルートがオウンゴールしたかに見えた。彼はセットプレイの守備に入るのだが、ゴール前でこぼれ球に詰めるブラウヴェルスを阻もうと思い切り飛び込んで、脚を出しクリアしようとしたんである。あああ、まさか2試合連続で失点献上?!

だがリプレイで確認すると、確かに僅か先にブラウヴェルスが触ってる。とはいえ、これでチームは険悪な雰囲気に。ゼ・ホベルトはヤケクソでボールを蹴り出し、前半終了すると皆がイヤ〜な顔で引き上げる。

後半開始、監督はピトロイパを投入。キックオフに臨むルートは、明らかに眼つきが据わって黒化していた。そりゃあハーフタイムを思うと、やり切れない。チャンスを逃すばかりか、自分のせいで失点したような気持ちだろう。ならば、自分が獲り返すしかない。その為なら何でもする。

やがて、そのチャンスが巡ってきた。HSVのカウンター、トロホフスキーが頭で繋ぐと、ルートはやや角度のない右サイドから強引にシュート。惜しくもGKにクリアされ、そこに詰める味方もなく。猛烈に激怒する。副審にブツブツ文句を言いながら、しかし本当は誰にブチ切れてるのか。八つ当たりか。

ラッバディア監督はルートのドス黒さにドン引いたのか、すぐ交代を決断する。ある意味ここからが面白い見所だったのに、誰も荒くれ馬の手綱を握れないので困ったものだ。ベンチに眼もくれず、トンネルへと消える22番の背中をカメラが追う。

余程腹に据えかねたのだろう。これ程の黒ルートはユナイテッド最終シーズン、またはユーロ04の敗戦以来かな。一体何に対して、誰に対してか知る由も無いが、相当リミッター振り切れてヤバかったのは確か。

もうとっくに若手じゃないのに、33歳のれっきとしたベテランなのに、ルートは未だに負けを受け入れられない。負け慣れてない。多分、このクラブは彼には小さすぎる。ならば、小さな靴に足を合わせるべきか。否。靴をデカく広げるしかないのよ。でもかなり難しい。
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by tototitta | 2010-03-31 20:56 | Ruud van Nistelrooy | Comments(2) | ▲ TOP
第三十二話『ワールド・オブ・エレガンス』
(記/なるほ堂、監修/minaco.)

【#32 Bolton 0 - 4 Man Utd】
お知らせ:日頃よりご愛顧いただき、有り難うございます。予告した『Hargre刑事、復活スペシャル!』のクランクイン延期により、今回はFMトトチッタよりラジオドラマ『ワールド オブ エレガンス』をお送り致します。どうぞご了承下さいませ。

ひとつの試合──
それはいつも新しい予感に満ちている。煙草に火をつける様に、さりげなく僕らのゲームを始めよう。ブルガリアンファッションの赤い悪魔がお届けする、ワールド・オブ・エレガンス──ディミタール・ベルバトフ(声/細川俊之)です。

<番組テーマ曲/Jean-Michel Caradec『ラブ・ワールド ~愛の世界~』>


撫でるような日差しが春の目覚めを誘う、英国ボルトンの街角。花を探していたんだ。君に贈る花をね。でも君は来ない。腿が痛い? いいさ、判っているよ。君は僕と2トップを組む事を、怖れている。ウブだね、ルーニーボーイ。僕はただ、この風に漂う桜の淡色にも似た、君の寂し気な額を、僕の贈る薔薇の花「ベルバトフのばら(ベルばら)」で埋め尽くしたい……それだけさ。

もしも、もしもね──夢の中でしか恋人に触れる事が許されないのなら、このボルトンの街、リーボックスタジアムの柔らかい芝に寝そべって、誘われるままに眠りに落ちよう。けれど、野暮だね……腕章を巻いた執事長ギャリーは、そんな僕を許さない。

「ボルトン・ワンダラーズが参りました」──そう告げたギャリー。

ボルトン・ワンダラーズ、略して「BWF(Bolton Wanderers Footballclub)」
それは、頭突き、エルボー、ヒップアタックなどを得意とする、巨漢スーパースター揃いのプロレス団体。トップを務める長身の主は……エル・サントの弟子だろうか、エル・マンデル。そして彼らのディーバ、ライオン君。ごきげんよう、お早うからお休みまで、僕の暮らしを見つめて御覧、ライオン君。

お願い、何も言わずに帰って──そう甘く囁く、ライオン君の濡れた唇。でも、君の眼はそう言ってないね。欲しいんだろう? 僕が、僕の「勝ち点3」が。でも無理だね。僕はX指定のスーパースター。奪うのは、いつも僕。さあおいで、夜明けには未だ間がある。

ではここで、一曲お聞き頂きましょう。細川俊之で「愛は芳醇な香り」を、どうぞ。


どうしたんだい? それで責めているつもりかい? 僕は城主、門番はエド。ようこそ風雲ベルバ城へ。もっと攻略して御覧よ。おっと、いけないね。遊びが過ぎるのが、僕の悪い癖さ。今宵の僕は、センチメンタルな1トップ。僕に激しくクサビを打ち込む、城の庭師のスコール爺。彼はいつも僕を試そうとする。僕の、柔らかな「ポスト」をね。

応えてあげるよ、スコール爺。ヒール、足裏、バックへッド、僕は何も隠さない。さあ、赤い悪魔のマドモワゼルたち──僕が触れたボールという名の愛を受け止めて御覧、君の胸で、脚で、その心で。

あっ、いけないよ、ボルトン・ワンダラーズ。僕の美しさに眼が眩んだんだね。自分で自分を傷つけるなんて。懐中の銀時計は前半37分を指していた。僕は怖い、貴女の心を乱してしまう、この罪作りな僕が。

ハーフタイム、雨も無いのに湿りを帯びたシャツを脱ぎ、一人、寝間着に着替えた僕。カウチソファー、プロデュースしたマイワインをグラスに泳がせながら、ブルガリアヨーグルトで、この気怠い時間をやり過ごす。寂しいよ、ルーニー、ワンダー、おベルたん。僕と今季カップルを組み、愛を囁いた恋人たちの姿はそこに無い。心に甦る、美しかった思い出。でも思い出は語るものでは無く、作るもの……貴女と、この憂い溢れる午后に。さあ行こう、僕らのワールド・オブ ・エレガンス──後半戦が始まる。

でもその前に、ここで一旦、僕の出演したCMを。


─────────────────────────────

帰りたい──
何処へという事は無いけれど、そう思う時があります。遠い故郷へ、あの甘い季節へ、あの苛立ちを知らない日々へ。それは例えば、どフリーのシュートの場面で、腰がヨレヨレと砕けてしまったような時。

貴女が僕に宛てた手紙、その文面が濡れていたね。

「あんなのを外して、貴方はそれでもストライカー? それとも50代の、映画俳優?」

でもね、ご免よ。君と僕の恋物語を綴る本に、「ノーマルなシュート」の頁は無い。貴女の心とゴールネットを揺らすプレイ、それはいつでもアブノーマル──それが僕のワールド・オブ ・エレガンス

ははは、僕からは逃げられないよ、ボルトン・ワンダラーズ。見詰めて……さあ、もっと僕を見詰めて。愛を怖れて固くなった君のつぼみ、僕が手解きしてあげるよ。君は僕の掌で踊るプリマドンナ。ほうら、あっというまに2点も取ってしまったね。見たかい? アウトサイドで流し込んだ2点目、僕のアブノーマルなテクニックを。

君の瞳が語っているね、「春の陽気に誘われて、ピッチに変態が現れた」ってね。仕方ないね、恨んでもいい。狂おしいほどに、その罰を受け入れよう。だって今宵、君の大切な物を、二つも奪ってしまったんだから。でも御覧よ──潤いを忘れたリーボックスタジアムの緑に咲いた、有り触れたゴールでは決して開く事の無い薔薇の花を。僕のばら、ベルバトフのばら、ベルばら、それは僕の儚い愛の証し。受け取って欲しい……貴女に。

さよならだ。恋人たちを引き裂く、試合終了を告げる霧笛が聞こえるだろう。優しい時間を有り難う、ボルトン・ワンダラーズ……BWFのレスラーたち。ヴィダの逆エルボーに流血し、リングアウト負けしたエル・マンデル。ギブソンに、赤い悪魔による三点目、つまりスリーカウントを奪われてしまった君たち。プロレスラーとしても、フットボーラーとしても、僕らの方が上手だったね。勿論、愛の狩人としても。

覚えているかい? 試合開始直前、赤い悪魔たちのパス練習の時。約30メートル先にミスしたエヴァンスを見つけたスコール爺は、その蹴った球を見事エヴァンスの頭に直撃させ、更に彼はその戻ってきた球を、約40メートル先の、エドウィンの背後にあるゴールバーに直撃させた。筋肉馬鹿には出来ない芸当さ。

泣いているんだね……ワンダラーズのコイル監督。いや、こいる師匠。君の相方に慰めてもらうと良い。きっと彼はこう言うだろう。

「はいはいはいはいはいはい。そうだよな、しょーがねーや。ほーほーほーほーほーまぁどっちでもいいや。関係ねー関係ねー関係ねー」

のいる師匠。

では、長らくお付き合い下さりありがとうございました。テレビの中で、このブログの中で、僕に出会ってしまった貴女。長いようで短い、短いようで長い僕たちの逢瀬、一時の別れも辛くはないね……一緒に過ごした思い出があるから。さあ、今夜の貴女を自由にしてあげる。そして、いつかまた何処かで──ワールド・オブ ・エレガンス
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to be continued...
(※一応、元ネタはこちら


次回、第三十四話『テリーの災難』、
どうぞご期待下さい。
(タイトルは予告無く変更される場合があります)

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このドラマはフィクションです。実際の人物・団体・
実在する宗教法人とは一切関係ありません。
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by tototitta | 2010-03-29 21:16 | Manchester United | Comments(0) | ▲ TOP
初めてのPK
(記/minaco.)

【#27 / HSV × FC Schalke 04 】

いつしか6位まで降りちゃったHSV。第27節は2位シャルケ04をホームに迎え、重要な試合が続きます。今では3位どころか、これ以上順位を下げてEL出場権さえも失わない為の…。


美しい屋根に囲まれ、白い紙吹雪が舞う満員のノルトバンク・アレナ。ルートはこの日もペトリッチと2トップで先発した。無精髭が更に濃くなり相当気合も入るらしく、のっけからいちいちリアクション激しい。こっちに寄こせ、あっちへ出せと始終味方に命令する。

しかし、くれーー!と叫んでも通じないんである。縦一本ロングボール任せなHSVにこれといった連携は無く、守備もファウルでしか止められず。試合の流れはブツ切れ、ロゼナールは自陣でボールを失い、不安すぎる展開だ。

そんな中サイドで敵を削り、何故かスローインまでするのがルート。ボールの無い所で倒され、或いは自分がやられた振りしてカードを出させ、オーバーヘッドシュートは失敗したけれど、地道なガツガツぶりがやがて40分にゴールを生む。

FKからGKが弾いたのを、すかさず右足ボレーで合わせた先制点。駆け寄るチームメイトに人指し指を立て、「よっしゃ1点獲ったぞ!」と激を入れる。ああ頼むから今日は守りきってくれ。

するとチームは急に積極的となり、ルートにも若干余裕が生まれ、前でボールを繋げるようになる。惜しむらくは、前半が残り少ない事。このままの流れで追加点が欲しかった。

後半にもゼ・ホベルトから絶好のカウンターでルートが持ち込み、シュートするが枠を外す。ルートが決められないとチームはまた元通り、中途半端な攻撃からカウンター喰らう。挙句クリアミスを突かれ、クラニーに同点とされてしまった。

─────────────────────────────

さて、問題なのはこの後。左サイドでルートがボールを奪われてから。自分が奪われたものは必ず自分で取り返しに行く。追いかけてスライディングタックルをお見舞い。それがいつものルート。

ところが、この時はフォローが誰もなく敵にパスを繋がれ、サイドを猛然と追う羽目になる。最終ラインまで追い続け、ペナルティボックスまで来てやっとマタイセンが参加するが、構わずなおもルートは相手に足を引っ掛けて倒す。ホイッスルが鳴り、当然PKである。
    何故、自陣のペナルティボックスで
    センターFWが
    PKを献上するのか。
初めて観たよ、こんなシーン。まず有り得ないだろ。ルートのキャリアにおいてもPKは何度ももらったが、与えるのは初めてだろう。ドイツに来てまさかPKを蹴るより先に、与えるとは。彼は「ああやっちまった…」と頭を抱え、ワタシも同じく頭を抱えた。オーマイガッ!

ラキティッチによるPKは一度やり直しがあったものの、虚しく逆転される。自分で自分の得点をフイにしちゃった。その後ピトロイパのゴールで追いつき、決定的ピンチも寸での所で助かり、2−2のドローに終わるHSV。

負けなくて幸い…なのかしら、このドタバタ劇。ルートの無謀なディフェンスは、やはり1週間に8失点もする守備陣が不安なのかもしれんが裏目に出た。とはいえ、例えばリスクも構わぬタックルかますポール師匠に「もっとベテランらしく」などと諭してもナンセンスなように、ルートにも「そんな事までしなくても」と言ったって無理だ。

だって、すべては勝ちたいからだし、その勝者のメンタリティをチームに見せるのもまたルートの役目じゃないか。
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by tototitta | 2010-03-28 20:01 | Ruud van Nistelrooy | Comments(2) | ▲ TOP
第三十一話『ヴィディッチ・コード〜神の子と悪魔』
(記/なるほ堂、監修/minaco.)

【#31 Man Utd 2 - 1 Liverpool】
お知らせ:日頃よりのご愛顧、有り難うございます。予告されていた『ハグレ刑事 慎重派』は、主演俳優の「復帰には未だ、慎重を期したい」との判断により、予定を変更して、プレミアム洋画劇場『ヴィディッチ・コード』をお送りします。どうぞご了承下さいませ。
『ヴィディッチ・コード〜神の子と悪魔』

製作年 : 2010年  上映時間:90分+5分
製作国 : 英国  ロケ地:マンチェスター、オールドトラッフォード撮影所
監督 : A・ファーガソン  
主題歌:鬼束ちひろ「月光」
♪I am God's child. この腐敗したCL圏外に落とされた
 How do I live on such a ANFIELD? こんな順位のために 生まれたんじゃない


《解説》
スペイン異端審問団に由来する秘密結社「リガプル修道会」の狂信者たちと、赤い悪魔崇拝者たちの熾烈な戦いを描いたベストセラー小説を映画化した超大作宗教ミステリー。主演は「24 -TWENTY FOUR- 」のダレン・フレッチャー。カメオ出演に「悪魔たち天使たち」のアンディ・ガルシア。
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《あらすじ》
昨年10月25日。マージー河畔のアンフィルド神殿内で発見された、一つの遺体(ネマニャ・ヴィディッチ)。大学でプレミア宗教史の教鞭を執る私(拙ブログ筆者)は、故人の孫娘(オドレイ・トトゥ)の言葉、「これで三度目なのよ」を受け、調査を開始する。

すると、彼女の言う通りバークレイ・プレミア美術館の所蔵品の中に、昨年9月13日、同現場で発見された最初の遺体(ネマニャ・ヴィディッチ)が描かれた絵画と、昨年3月14日、マンチェスターで発見された2つ目の遺体(ネマニャ・ヴィディッチ)が描かれた絵画が。まさか三試合連続退場なんて、あり得るのだろうか。

だが、ヴィディッチのそれぞれの遺体には、秘められた暗号、即ち「ヴィディッチ・コード」が隠されていると考えた私は、やがて彼が、赤い悪魔を崇拝する秘密結社「赤悪魔騎士団」のメンバーである事を突き止める。遺体の奇妙に曲がった鼻、それは彼がスティーブ・ブルース以来、代々赤い悪魔の守護役を担ってきた家系である事を表していたのだ。そして、様々な妨害を経て、ようやく当時の犯行現場の写真を入手した私は、そこに犯人側から見たスコアと、犯人の記したメッセージが残されていた事を発見する。

2 - 1(08/09 H): GLUTTONY(=大食)
4 - 1(08/09 A): GREED(=強欲)、SLOTH(=怠惰)、LUST(=肉欲)
2 - 0(09/10 H): PRIDE(=高慢)、ENVY(=嫉妬)

被害者の血で書かれたメッセージの数は、各犯行で犯人の得た「得失点数」を表すのだろう。まるで映画「セブン」ではないか。「ダヴィンチ・コード」ネタでは無かったのか。すると、そんな私の元へ赤悪魔署を退職間近の老刑事(G・ネヴィル)と、スコットランドヤード出身の若手刑事(D・フレッチャー)が。彼らも同じ犯人を追っているらしい。

刑事たちから情報を得た私は、大英図書館で或る男と会った。障害を抱えた片足を引き摺る、風采の上がらないその男は、ミルトンの「失楽園」を開き、犯人のメッセージをこう説明した。

大食とは、余りある勝ち点獲得で肥え太った悪魔の大食。
強欲とは、なおかつタイトルを増やさんとする悪魔の強欲。
怠惰とは、守備を怠る塩悪魔(当時所属)の怠惰。
肉欲とは、その頃に婦女暴行疑惑の掛かっていた某若手悪魔の肉欲。
高慢とは、大物選手を放出しても勝てるという悪魔の高慢
嫉妬とは、現にそれでも勝ち続ける赤い悪魔への嫉妬。


そして男は言った、「もう一度、犯行が行われる」「奴らが執着するのは、数字だ」。何故この男が、犯行一味と赤悪魔騎士団の両方に詳しいのかは謎だ。ともあれ事件を解く鍵は、この「7つの大罪」に隠されているに違いない……それを念押す様に、去り行く男の背中には「7」と記されていた。

だが、犯人の行方は容易に掴めなかった。なぜなら「CL圏外」という、我々に縁遠き未知の闇に身を沈める者たちを、その眼中に入れることは困難だった。しかし、事態は思わぬ形で動いた。

3月21日、午後。ジョン・ドゥよろしく、マンチェスター赤悪魔署の正面玄関より自ら出頭してきた犯人。それは「リバプールの救世主」を騙るカルト教団「リガプル教」の教祖ベニテス容疑者であった。彼は静かに、一枚の看板を指した。

吾、再び来て世をさばく 聖書

教祖ベニテスは、マンチェスター赤悪魔署の正体が、過去3年間、プレミアの表裏を支配してきた秘密結社「赤悪魔騎士団」であることを知っていた。「貴様の単独犯行か?」との刑事の問いに、彼は教団の賛美歌「汝、一人で歩くものに非ず」で答えた。即ち、我々リーガプールは常に複数犯である、と。

容疑者に促され、オールド・トラッフォードの荒野へ赴いた刑事たち。すると、丘の向こうより砂塵を上げて、一台の宅配車が。

「ギャリー、箱の中身は何なんだ!」
「落ち着くんだ、フレッチャー! ……ああ、何てことだ!」

老刑事ギャリーが、届けられた箱を開くと、そこにはヴィディッチの生首が……と思ったら、それはサッカーボールだった。宅配のドライバー(H・ウェブ主審)は言った。

「前置きが長過ぎる。さっさと試合しろ」

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戦いが始まった。老刑事長ギャリー率いる赤悪魔署と、ベニテスを狂信する秘密結社「リガプル修道会」の十一人の使徒たち。その中には、ヴィディッチ連続殺害事件の実行犯である、「神の子」を自称する聖トレスの姿も。

狂信者らの目論見は、開始5分で達成された。聖トレスのゴール、それは彼らの7つ目の得失点獲得であり、それは「楽園(=CL出場圏内)」から追放された彼らリガプル教徒らの「WRATH(=憤怒)」を表していた。

だが、戦いは終わっていなかった。なぜならば、悪魔でありサイボーグであるが故に甦ったヴィディッチは、今回未だ生きていた。

赤い悪魔が同点に追いついた後、その勝利を決定づけたのは、警察犬パク☆チー号であった。普段はベンチ脇に繋ぎ置かれているが、一度ピッチに放たれれば、そこに潜む「危険物」を嗅ぎ分け、それを何処までも追跡する忠犬である。

彼のお手柄は、決して偶然ではなかった。狂信者たちはパク☆チー号の背中に、彼らを戦慄させる「神の最も忌み嫌う数字──13を見た。それこそが、日頃「幾ら優秀でも、警察犬に射撃(シュート)まで期待するのは無理だよ」と囁かれるパク犬を、敢えてこの大一番で起用した悪魔王ファーギーの深謀であった。ちなみにこのゴールは、この「ヴィディッチ連続殺害事件」が開始されて以来、両者計13点目」のゴールでもあった。オカルト。

例え勝ち越し点を得ても、現場で捜査指揮するギャリー刑事長に油断は無かった。なぜなら彼は以前、リフォーム業者として市井に紛れた在家信者の策謀により、自宅プール下へリバプールグッズ一式を埋められた経験があるからだ。帰路に5人組の狂信者に襲われ、車ごと引っくり返されそうになった事もあった。これマジよ。

その恨みも込めて、対面で目障りな使徒ロドリゲスの後頭部を、靴裏で狙うギャリー。彼の場合、同時にギャリーの忌み嫌う、テヴェスと同郷のアルゼンチン人であった事も災いした。

そんなギャリーを懐柔せんと、笑顔を作って纏わりつく聖トレス。あたかも「汝の隣人を愛せよ」とばかりに。だが、この「神の子」を騙る小僧は、元を正せばマドリードの路地裏に巣食うチンピラである。無理に振りほどけば大仰に倒れること明白なその魂胆を見切り、ギャリーはただそれにピッチへの唾棄で答えた。

信仰の虚を暴かれた彼らに、もはや反撃の力は無かった。偽りの神の子は、「急にボールが来たから……」と空振りし、投入されたバベルの塔やユダヤ人も無力だった。

戦いは終わった。赤い悪魔は勝利し、ヴィディッチは生き延びた。荒野には「聖戦」に敗れた教祖の、お定まりの文句が虚しく響いた。

「これは審判ら悪魔に与する者たちからの、我々への迫害である」

その言葉、未だ「リガプル教」を信仰する教徒らに、どう響いただろう。老刑事ギャリーは思った──目を覚ませ。君らが教祖と信じる者の導く先は天国でもCLでも無い。その先にあるのは、ただの終末……集団自殺行為だ。

だが、同時にギャリーには判っていた。彼らの邪教に盲信する理由は、何より信仰を失う恐怖にあるのだと。かつて彼らの地に存在した「ワンダー教」も、完全に滅亡した今、救済を求めて彷徨える魂に、何処に安息の地があるのだろう。

フットボールの世界とは、なんと遣り切れぬ世界なのか。長いキャリアの中で、沢山のクラブと、その信者たちの「死」を見届けてきた老刑事ギャリー。傷つき疲れた男の、これが最期のリバプール戦?──いや、違う。彼は一旦外しかけた腕章を、もう一度たくし上げて言った。

「“フットボールは素晴らしい、契約延長する価値がある”──後半の部分は賛成だ」

【完】

………………………………………………………………………………

《ユーザーレビュー一覧》
チョイ悪おやじ三人組、登場! (投稿者:なるほ堂)
評価:☆☆☆ (0人中0人が参考になったと評価しています)
伝統を忘れたリバプールに当てつけるかの様に、ファーギーは、
ユナイテッドの誇るレジェンド達を、続々とピッチへ。あからさ
まな采配の意図が痛快!

《ユーザー得点》
☆☆☆(勝ち点3)

to be continued...


次回、第三十三話『Hargre刑事、復活スペシャル!』、
どうぞご期待下さい。
(タイトルは予告無く変更される場合があります)

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このドラマはフィクションです。実際の人物・団体・
実在する宗教法人とは一切関係ありません。
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by tototitta | 2010-03-26 22:01 | Manchester United | Comments(6) | ▲ TOP
今週のやや凹むHSV
(記/minaco.)


【#26 / Leverkusen × HSV 4-2 アウェイに散る】

勝てば上位へ近付き、負ければ一気に遠のいちまうとゆう、HSVにとって大きな試合でした。3位レヴァークーゼンとの直接対決。ええ、ブンデスで来季CL出場権を掴むには、最低でも3位(予備予選から)が条件なので。

ところが、現実は厳しかった。ワタシにとって初TV観戦なのに…ああ結果は4-2の完敗。最近まで無敗を続けてた相手はさすがに型を持っていて、力の差を見せ付けられる。今のHSVは優勝争いに参加できるチームじゃない、とゆう事実を直視するのは辛かった。

HSVは立ち上がりこそ敵陣でボールを繋げたものの、やがてキースリンクに得点されると、後はずっとレヴァークーゼンのペース。先発してペトリッチと2トップを組んだルートは、殆どの時間中盤に下がって攻撃の起点を作ろうとする。前に全くボールが入らないので致し方なし。

少しでもパスを繋げ、マイボールにする為DFと競り合った。敵のCBには元宿敵ヒーピアがいて、お互いエルボー撃ち合ってFKを得たり(こぼれ球をゼ・ホベルトが同点)。実況解説は「得意なペナルティボックスにルートが居なくてどうする」などと言うけど、これもまた彼のプレイスタイルなんだよ。

但し、他にフィニッシャーがいなかった。後ろから自分で攻撃を即しゴール前へ走るのを観ると、ルートが2人いればいいのにと歯痒い。結局シュートすらないまま、70分でベンチに下げられる。

まだ2-1の時点でルートを下げるとは、ラッバディア監督は自ら「参りました」と降参したようなものだった。どうせ負けるなら深手を負わないように、とゆう事か。その後、更に得点と失点を繰り返したが、もう観てらんない。スコア以上にチームの格の差を感じる。

とはいえ、ワタシは決して不甲斐無いとか怒る立場でなく。ただ、頼りにしてくれるHSVサポをガッカリさせたくない。小心者なので、ボールを持つ度聞こえてきた「ruuuuuuuuud!」の声(あれはブーイングじゃないよぅ)に向かって、「お役に立てず申し訳ございません」とワタシがひたすら謝りたくなるんであった。

さて、ドルトムントが勝利した事により、これでHSVは5位へ転落しちまった。今季、目指すはELタイトルだけか。EL優勝クラブにも来季CL出場権くれればいいのにねえ。

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【EL 2nd leg / RSC Anderlecht × HSV 4-3 やばかった】

ギリギリだったけど、アウェイゴールの差で何とか勝ち抜け。何ですか、また4失点て…。ハイライト映像で知るのみだが、フル出場できたんで良かった。お次の対戦相手は、スタンダール・リエージュに決定。願わくば、決勝でリバポーと当たりたいな。

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【付記】

ヒーピアさんと過去の対戦、ちょうど2003年のリバポー戦の映像がユナイテッド公式 で観られます。明日もこのくらい気持ち良く勝てますように!
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by tototitta | 2010-03-20 19:05 | Ruud van Nistelrooy | Comments(0) | ▲ TOP
第三十話『Best Supporting Actor』
(記/なるほ堂、絵と監修/minaco.)

【#30 Man Utd 3 - 0 Fulham FC】
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今月9日、イラク戦争を題材にした映画『ハート・ロッカー』の、全6部門でのオスカー獲得で幕を閉じた、第82回アカデミー賞授賞式。全く以てつまらない舞台演出と、「アバター、アジャパー」的な失笑で、結果キャスリン・ビグローのガタイの良さだけが記憶に残ったハリウッドのコダック・シアターであったが、その会場外、レッドカーペットに集まった赤悪魔署シリーズの熱心なファンの声は、ただ一つ──

「ベルバトフは呼ばれてないの?」

そこで我々取材班は、役名『ベルバトフ』で知られる名優アンディ・ガルシア氏の姿を求め、彼が新作映画の長期ロケに入っているというイングランドのマンチェスター、オールド・トラッフォード撮影所へ。以下、本日の撮影が終わったばかりのガルシア氏のインタビューをお送りする。


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──名匠アレックス・ファーガソン監督の元での撮影は如何ですか?

彼に呼ばれたのは光栄なことだね。クランクインしてもう2年になるけど、良いシーンで使ってもらって、感謝しているよ。たまに役者の演技が気に入らないと、監督、誰彼構わず小道具を投げるけどね(笑)。

──現在撮影中の映画のタイトルは?

当初の台本では『Stretford Endにほえろ!』だったんだ。でも、撮影が佳境に入ってきた所で主演俳優が事故で亡くなり、今後は主役を変更して、タイトルも『ハグレ刑事 慎重派』になるようだね。まあ実質的には、『ウェインズ11』なんだけどね。僕も出演した映画『オーシャンズ11』みたいな。

──どのような作品なのでしょうか?

毎回七万人のエキストラを動員した、『ガンジー』もびっくりのスペクタクル巨編さ。イングランドはおろか、欧州全土を縦断してロケーションしてる。一言で言えば、アクション映画なんだろうけど、ロマンスあり、SFあり、オカルトありの、盛りだくさんだよ。実は、演じてる自分たちにも、結末が未だ判らないんだ。

──超大作ですね。

でも、僕らの衣装は3着しか無いんだよ(笑)。

──ガルシアさんの演じられる役は?

ディミタール・ベルバトフという名前の、29歳のブルガリア人の役だよ。何か訳あり的な憂いを帯びた男で、ひとり古城に棲んでいる。まあ、主役が交替になっても、僕は変わらず助演俳優さ。それに満足しているよ。

──共演者の顔ぶれも豪華とか。

いわゆる大物俳優では、『ウェインズ・ワールド』のウェイン・ルーニー。『ダーティ・ギャリー』のギャリー・ネヴィル。『赤毛連盟』のポール・スコールズ。それと「ジャックナイフ」ことライアン・ギグス……『ジャック・ライアン』と言った方が、映画ファンにはお馴染みだろうね。

それから、ホラー映画『キャリー』のキャリック。スコットランドの伝説の勇者『ハイランダー』のダレン・フレッチャー。次回作『鹿島アントラーズ物語』の主演が決まっているパトリス・エヴラ。『ヴィダミネーター』のネマニャ・ヴィディッチ。ミュージカル映画『ドリームガールズ』のリオ・ファーディナンド。『天空の城ラピュタ』でロボット兵を演じたオベルタン。『冬のパクチソナタ』の韓流スター、パク様。『シャイニング』の双子。『ハグレ刑事』シリーズのハーグリーブスも、もう少しで撮影参加の予定だ。

──ガルシアさんほどのベテラン俳優が20代の男性に扮し、アクションシーンまでこなすのは大変では?

ああ。この映画は全編ノースタントで、勿論CGなんて使っていない。だから、撮影の度にボロボロだけど、まあ楽しんでやっているよ。そうそう、ガナーズ事務所の子役アイドルたちと共演した場面は、3Dカメラで撮影したんだ。きっと、キャメロン監督の『アバター』も驚く出来だと思うよ。

──役作りとして、何か特別なことはされていますか?

それは僕よりも、ウェインに聞いた方がいいね。彼は、かつて同役を演じた名優サー・ボビー・チャールトンへのオマージュとして、敢えて役作りの為に髪の毛を抜いているらしい。デ・ニーロ並だよ。僕はそんな特別なことはしないけど、役に入るにあたっては、いつも控えめに演技する様に心がけている。助演が主演を喰ったら、作品の方向性がおかしくなるからね。

──パフォーマンスが大人しいのも、その為でしょうか? 人によっては脱いだりする方もいらっしゃいますよね。

僕は裸はNGなんだ(笑)。若い頃に散々脱いだもんだから、今はエージェントに止められていてね。まあ、今季のファーガソン監督の演出プランに則って、常にスポットライトがウェインに向く様に、気を付けているよ。

──当初主演を務めていたワンダー・オーウェンさん(『ワンダーとダイヤと優しい奴ら』『洋服の青山』主演)は、日本でも人気ですが、彼の出番はもう無いのですか?

あったとしても、CGだろうね。それか、そっくりさん。


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──今日の撮影シーンを振り返って下さい。

今日の筋書きは、ロンドンの老舗高級デパート『ハロッズ』の警備員たち、演じるのは劇団フルハムロードに所属する無名俳優たちだけど、彼らをフットボールで打ち負かすというシーンだったんだ。ちなみに、演技は全部アドリブなんだけど、結果、「アウェイでのスコアを、そのままお返しする」という、監督の描いた台本通りに進んで良かったよ。

──撮影中は色々とトラブルがあったとか?

ヴィダミネーターが鼻からオイル漏れしたり、フレッチャーのシュートを、敵GK役の劇団員が、予定外のマトリックスで防いだりね。たまに無名俳優たちが分をわきまえない事もあるから、大変だよ。まあ、このチャンスに名匠ファーガソン監督の目に留まりたいという気持ちも判るけどね。

──ご自身も、どフリーのヘディングを外して、思わず顔を覆うシーンもありましたね。

あれは、ワイヤーを釣り上げる特殊効果班と息が合わなかったんだ(笑)。この歳で、ワイヤーアクションは難しいよ。本来ならばNGシーンとしてカット願いたいんだけど、この作品は毎回アルトマンもびっくりの「90分、長尺1カット撮り」だから、仕方ないんだ。

──しかし、その後は大活躍を演じられました。

本当は「ファーストテイク」で決めたかったけどね(笑)。でも、久しぶりに良い演技を披露出来て、満足しているよ。ただ、これからも僕は控えめな路線で行くよ。あまり僕が前面に出ると、作品が「成人指定映画」になってしまうからね。

──ところで、今作で暗黒卿ダース・ベッカム役を演じられた俳優さんが、別映画の撮影中に大怪我を負われたとか。

心が痛むよ。この仕事は、本当に危険と隣り合わせなんだ。まあ、彼の俳優キャリアのハイライトシーンとも言える、オールド・トラッフォードでの出演場面を全て撮り終わった後だったのが、不幸中の幸いだね。

──今後の撮影予定は?

次の週末に劇団リーガプールを呼んで、ヴィダミネーターの復讐編を撮影する。その後予定通りに進めば、5月にマドリッドの撮影所に建てられた、サンチャゴ・ベルナベウとかいうハリボテの巨大セットでクライマックス場面を撮って、クランクアップの予定さ。

──完成が待ち遠しいですね。

ああ。この時期になって映画の出資者たちが揉めているのは気掛かりだけど、作品はきちんと仕上がるはずだ。日本のファンも楽しみにしていて欲しいね。ちなみに僕の日本語版吹き替えは、細川俊之さんだ。

──来年度のオスカー獲得も期待出来そう?

うん。このジャンルでのオスカー獲得は、日産横浜マリノス以来になるのかな(※)。でも、このまま台本通りに撮影が進めば、アカデミー賞、カンヌ、ゆうばり映画祭のトレブル達成も夢じゃないよ。主演男優賞はルーニーが総嘗めするだろうから、僕も何かで助演男優賞くらいは欲しいね。ライバルはスコールジーだろう。ちなみにガナー・喜多川氏を演じた俳優は、ラジー賞の有力候補だ。(※1987年に日産が獲得したオスカー

──では、最期にファンの皆様にメッセージを。

いつも応援ありがとう。今作に参加している俳優たち、あまりにも皆が役に成り切って演じているものだから、たまに「映画撮影というのは僕一人の錯覚で、ガチでみんな本物のサッカー選手で、実は自分ひとりだけ俳優が混ざっているんじゃないか?」と思ってしまうくらいだよ。ははは、有り得ないけどね(笑)。だから、きっと今作は僕にとって、かつての『ゴッドファーザーPART III 』や『ビバリーヒルズ・チワワ』を越える代表作になる事は間違いないだろう。皆もスクリーンで、僕に会えるのを楽しみにしていてくれ。

──ありがとうございました。

いえ、こちらこそ。

to be continued...


次回、第三十二話『ヴィダミネーター 復讐編』、
アンディ・ガルシア氏の名演に、どうぞご期待下さい。
(タイトルは予告無く変更される場合があります)

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このドラマはフィクションです。実際の人物・団体・
実在するアンディ・ガルシア氏とは一切関係ありません。
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by tototitta | 2010-03-17 18:22 | Manchester United | Comments(6) | ▲ TOP
トマトケチャップ皇帝
(記/minaco.)

やりましたよー。EL決勝トーナメントにてRSC アンデルレヒトを迎え、3−1の勝利。ルートはノルトバンクアレナで初先発&フル出場&ゴール!

この日は1トップを務め、人一倍ユニを汚してた。CKからマタイセンが先制し、40分エリアくんの折り返しからルートが追加点。出てきたGKに強引に突っ込み、角度の無い所から決めた。ゴールするには、相手より一瞬だけ早くボールに触ればいいんだ。

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さて、先週の話だけど、レアル・マドリーのゴンサロ・イグアイン君がスペインの番組「La Sexta」に語ったエピソードがちょっとした話題になってた件。それによると加入当時、彼はルートにこんな事を言われたそうで。
ゴールってのは、ケチャップのボトルみたいなもんだ。どんなに押してもちっとも出て来ない時もある。でもやがて、叩いただけで一気に出て来るんだよ。

3カ国得点王の実績を持つストライカーからアルヘンの若きストライカーへのアドバイスとは、「ゴールはケチャップ」だと。
    『マスコミはトロール漁船に集まるカモメだ』
    『翼よ、あれがパリの灯だ』
    『芸術は爆発だ』
    『山椒魚は悲しんだ』
    『サラリーマンは気楽な家業ときたもんだ』
    『だるまさんがころんだ』
    『これでいいのだ』
    『ゴールはケチャップだ』
こうして様々な名言と並べてみると、いささか寺山修司的前衛か?
まあさすが、フリットにケチャップたっぷり付けて食すのが大好きなオランダ人。あるよね〜。粉チーズもそうだけど、なかなか出てこないと思ったら急にドバっと出ちゃうんだよね〜。

──いや、そんな生活感丸出しの「あるあるネタ」じゃなくて。もしかしたらケチャップのCMコピーに…使われる訳もなくて。もうちょっとキレイな例えはできんのか…。

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偉そうに言ってるけど、少なくともユナイテッド時代のルートは試合に負けた日、自分を責めノイローゼで眠れなくなる人である。
とてもじゃないが「こんな日もある」などと割り切れない人である。
むしろ周りに当り散らし相当迷惑な人である。
あの因縁のガナーズ戦でPKを失敗した時だって、その後PK練習ばっかして悶々と悩み続けた挙句、やっと「…なんだい、ちゃんと蹴れるじゃん自分」と気付くまでしばらく掛かったという話。

きっと彼は、イグアイン君にかつての自分を見てたんだろう。大きなお世話だが。
つまり、右も左も解らぬ若い頃の自分(イグアインの年頃、彼はまだ大学生で2部のセミプロ選手だったけど)に言ってやりたかったんじゃなかろうか。

そういや、以前は「ゴールはメインディッシュ」とも言ってたルート。どうしていつも食い物に結び付くのか。それはきっと貧乏性だから。眼の前に料理があれば全部平らげなきゃ気が済まない。ブラバント農民は飢えてるから貪欲に執着し、喰う為に働く。

要するに、底の方にへばり付いたケチャップを「出ない」と諦めず、意地汚く「出るまで無理矢理押してみた」のはルート自身である。ケチだねえ。すると、意外にも「ヤケクソで叩いたら出ちゃった」…そんな実体験に基づいて彼はこの論理を導き出したと思われる。いつもその繰り返し。

今喰えなくてもいつかは喰える、と最初から思えたら気が楽なのに。イグアイン君に言ったのはそうゆう意味だろうけど、でもそこまでケチャップに執着してるのはルートなのだ。

昔、ギグスがこう評した事がある。
    「あいつのメンタルは特別で、もしチャンスを逃しても引きずる事はないだろう。次のチャンスを狙い、ゴールする自信があるんだ。その自信が周りの選手にチャンスを作ろうと思わせる」
実は引きずってるんだけど、だからこそ「ケチャップ」だと言い聞かせる。そうやって恐れを信念で武装し続けると、やがて妙に説得力を持ち、人には自信に映るのかもしれない。

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ああ、ケチャップだけでこんなに語ってしまった。
今夜は3位レヴァークーゼンと直接対決。これに勝って勝ち点差を縮めたい、いや縮めねばならぬ大大大一番でございます。やっとTVで観られるよぅ(泣)
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by tototitta | 2010-03-14 18:35 | Ruud van Nistelrooy | Comments(2) | ▲ TOP
(マンチェ)スター・ウォーズ ep.2〜ベックスの帰還
(記/なるほ堂、絵と監修/minaco.)

【CL 決勝T1回戦 2st Leg:Man Utd 4 - 0 AC Milan】

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遠い昔、遥か銀河の彼方で……


邪悪なる『銀河帝国軍(レアル・マドリッド)』の目論む、
新たなる宇宙要塞、『第2デス・スター(=第二の銀河系スター軍団)』の建設。
だが、惑星『マンチェ星(スター)』『反乱同盟軍(ユナイテッド)』が、
その野望を打ち砕くべく、立ち上がった。

手始めに、惑星ミランの高級国営ホストクラブ『AC美蘭・三四郎』を強襲し、
2対3で、敵地での勝利を飾った同盟軍。
だが、その戦いの最中、美麗なる敵ホスト軍団の中に彼らが見たのは、
かつて、アミダラ・ヴィクトリア女王との悲劇的な出会いにより、
フォースの暗黒面に堕ちて銀河帝国へと出奔した元ジェダイの騎士、
ダース・ベッカム暗黒卿の現在の姿だった。

敗走の途上、ベッカム卿は彼の暗黒の心を激しく揺さぶった、
我が身と頭髪を削って戦う若きジェダイの騎士、ルーニー・スカイウォーカーの姿を
思い起こしていた。

運命の女性クリスチャーノ・レイア姫を奪われながらも、
邪悪なる銀河皇帝ペレス会長の暗黒面への誘惑を断ち切った、勇者ルーニーの言葉。

「ぼくはジェダイだ、かつてベックスがそうであったように」



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第一景:惑星マンチェ星(スター)の反乱同盟軍基地

C3PO(G・ネヴィル)は、悔やんでいた。昔日、修行漬けの日々を送っていた『ジェダイ養成所』での夜に、暇を持て余した少年たちが始めた、下らない会話──

「皆はこの中で、どの娘がいい?」

思春期の彼らの視線の先には、当時売り出し中のアイドルグループ、スパイスガールズのグラビアが。すると、皆が思い思いに指差す中、少年ベックスは言った。

「僕は、ヴィクトリアちゃん!」

皆は少し引いた。ギャリーもまた「お前、趣味悪いなあ」と言いかけたが、静かにその言葉を呑込んだ。それが友情だと信じた。あまつさえ、仲人までしてしまった。人生に明確な岐路があるとしたら、恐らくあの時を指すのだろう……。

その傍らに、賢者ヨーダ(R・ギグス)の姿があった。瞑想する彼の脳裏に、先人の言葉が浮かんでいた。

「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史は大きく変わっていただろう」

しかし、賢者には判っていた。歴史に「もしも」は有り得ない。それに、もしもヴィクトリアの鼻がもう少し低かったとしても……整形した、ただそれだけのことだ。すると、そんなヨーダにR2D2(P・スコールズ)が言った。

「ピポピポピー」

翻訳すれば、彼の言葉はこうだ。

「今だって別に、左程美人というわけでは無い


反乱同盟軍基地の玄関チャイムが鳴ったのは、その時だった。

「こんばんは! ホストクラブ『AC美蘭』です! 出張ホストにやって参りました!」

しかし、レオナルド店長率いるそのラインナップに、暗黒卿ダース・ベッカムの姿がないのを見るや否や、反乱同盟軍基地に集った7万人全員が言った。

「チェンジ!」

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第二景:出張ホスト軍団『AC美蘭』、襲来

ユナイテッドの「チェンジ」のオーダーを受け付けなかった『AC美蘭』は、その報いを受けた。ピッチを支配するポール師匠のフォース。嫌がらせの如く、男娼ピルロに付きまとうイウォーク族のパク様。そして、その名の通りに宙を舞ったルーニー・スカイウォーカー。イケメン・ボリエッロは封じられ、ある意味イケメンのロナウジーニョは、その無防備なバックを、ドSのギャリーに責め立てられた。

しかし、それでも暗黒卿は、その生命維持カプセル──いわゆる「ベッカムカプセル」から出てこようとはしなかった。ナニのナニ気ないパスが勝敗を決しても、しかし現れたのは日焼けしたオランダ人。正に、感じの悪いダース・ベッカムである。

【参考動画】


ピッチ上、身も心も切り刻まれる男娼たち。なぜ、我々はこんな酷い目に遭わなくてはならないのか。思えば自分たちもまた、『銀河帝国軍』の魔手により、カカー王子を暗黒面に落とされた恨みを持つ、いわば反乱同盟軍の同志のはずだ──。

その通りだった。彼らはダース・ベッカム卿の、「敵としてでもいいから、ただ一度でも故郷に帰りたい」という邪心を叶えるために、利用されたのだ。

そして、いよいよその時は訪れた。遂に闘いの場に姿を現した、かつてのジェダイ、ダース・ベッカム卿。彼の纏う黒衣──それは、かつて師オビ・ワン・ファーギーより受けた傷を隠す為と、愛を見失ったが故の自傷行為の代替行動である、全身の刺青を隠す為。ちなみにベッカム卿の、息子たちにブルックリン、ロメオ、クルースというDQNネームを付けるという一連の児童虐待もまた、自傷行為の代替である。

だが、反乱同盟軍サポーターの反応は、ベッカム卿の予想と反するものだった。

「There's only one David Beckham!」

かつてと同じ様な温かい声援に、思わず涙ぐむベッカム卿。だが、そのチャントが止むや否や、彼らから送られたのは、

「BOOOOOOO!」

一旦喜ばせておいて、正に外道。いや、それで良いのだ。ディビッド・ベッカムは判っていた。敵として再び舞い戻り、若き騎士たちに「ユナイテッドを裏切った者」の死に様を伝える、それこそが、この日の自分の役割だと。そしてまた、その仕事をやり遂げ、この場所で散ることこそが、己が騎士として成仏する為の、唯一の方法と──。

7年ぶりに彼が足を踏み入れたピッチには、既に勝敗決したにも関らず、まだ居残っていた二人の旧友の姿。それはかつての師からの贈り物。戦闘前の記者会見では「別に特別なことは無いね」と、つれないことを言いながら、しかし師オビ・ワン・ファーギーは、かつての教え子の気持ちを判っていた。

再会した旧友たちの間に、言葉は無かった。長い空白の時を埋める言葉など見つかるはずも無く、ただ、何も言えなくて──

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『挿入歌』



=1番(歌唱:Gネヴィル)=

綺麗な刺青(スミ)入れたんだね 知らなかったよ
となりにいつもヴィクトリアなんて 信じられないのさ
こんなに素敵なサポがお前 待っててくれたのに
「どんなクロスでも打ち上げて」 そう言ってくれたのに

時がいつか 二人をまた
初めて会った あの日のように導くのなら
二人して(右サイドで)プレイすることの 意味を諦めずに
語り合うこと 努めることを 誓うつもりさ

「ユナイテッドは(キャリアの)スタートだったの。ギャリーにはゴールでも」

涙浮かべたベックスの瞳に 何も言えなくて
まだ愛してたから…


=2番(歌唱:ベックス)=

(ファーギーに)もう二度と来ない方が いいと言われた日
やっと解った事があるんだ 気づくのが遅いけど
ブルックリンの子育てひとりで 背負ってたあの頃
俺の背中と話すファーギーは 俺よりつらかったのさ

時がいつか 二人をまた
初めて会った あの日のように導くのなら
ギグスのように スコールジーのように 恩を忘れずに
ユナイテッド以外の 愛などないと 心に刻もう
短い試合の終りを告げる 笛の音しか聞こえない
もうこれ以上 苦しまないよ
オールド・トラッフォードに そっと

「さよなら…」


─────────────────────────────

エピローグ

戦いに倒れたベッカム卿、いや、偉大なるジェダイの騎士ディビッド・ベッカムは、その果たせなかった夢を継ぐルーニー・スカイウォーカーに、こう言った。

「お前は正しかった。お前の勝ちだ。師に伝えてくれ、私にも善の心が残っていたと」

肉体が滅び、霊体となったベックスは、静かに天上へと登っていった。G・ベストやカントナたちの待つ、永遠の『セブン・レジェンド』の場所へ。その時、夜空に微笑むベックスの向こうに、小さな閃光があった。それは邪悪なる『銀河帝国軍』の要塞『第2デス・スター』が、クリスチャーノ・レイア姫もろとも自爆した、その輝きだった。しかし、そんなのは誰の眼中にも入らなかった。

天に迎えられる道すがら、ベックスは地上より声を聞いた。それは、このスタジアムに君臨する、もう一つの騎士団『レッドナイツ(赤い騎士)』たちの声であった。

それはかつての、
「Love Beckham,Hate Victoria」
ではなく、
「Love United,Hate Glazer」

それはかつての、
「ベックス、勝ってくれ!」
ではなく、
「ベックス、買ってくれ!」

古い戦いは清算され、今、惑星『マンチェ星(スター)』には、新しい戦いが始まっていた。その時、彼の携帯電話が鳴った。

「あんた、何処にいるのよ! 子供たちを学校に迎えにいく時間よ!」

それは妻、ヴィクトリア女王からだった。ベックスは、拾った金と緑のマフラーを締めながら、妻に何事かを伝えた。すると女王は事も無げに、こう言った。

「そんなに欲しけりゃ、買えばいいじゃん」


=FINE=


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このドラマはフィクションです。実際の人物・団体・
実在するACミランとは一切関係ありません。
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by tototitta | 2010-03-12 18:16 | Manchester United | Comments(6) | ▲ TOP
第二十九話『赤悪魔ちゃん、気をつけて!』
(記/なるほ堂、監修/minaco.)

【#29 Wolves 0 - 1 Man Utd】
お知らせ:番組『Stretford Endにほえろ!』の終了に伴い、本日はプレミア童話シリーズより『赤悪魔ちゃん、気をつけて!』をお送り致します。どうぞご了承下さいませ。なお番組の最期には、皆様へ素敵なお知らせが御座居ます。どうぞ最期まで、お楽しみ下さい。
赤悪魔ちゃんは、マンチェスターに住むユナイテッドファンの女の子。今日よりも少し前の、ある日のこと、赤悪魔ちゃんはお母さんから、イングランド中部のウォルバーハンプトンに住む病気のお婆さんに、葡萄酒とお菓子を届けるよう言われました。

言いつけ通り、ウォルバーハンプトンの森に差し掛かった赤悪魔ちゃん。するとそこに、ひょっこりと狼(ウルブス)が。でも、赤悪魔ちゃんは日頃から、マンチェスターの大人たちが「ウルブスなんて弱小w」と言っているのを聞いていましたから、べつだん、怖いともおもいませんでした。

「赤悪魔ちゃん、どちらへ?」
「病気で弱っているお婆さんのところへいくのよ。ユナイテッド公式のメガストアで購入した、赤悪魔ワインと赤悪魔サブレを届けに」


すると、悪計を巡らせた狼は言いました。

「赤悪魔ちゃん、もったいないなあ。ウェンブリーの方から、カーリング杯決勝戦の歓声が聞こえるよ。あっちはきっと楽しいだろうに」

赤悪魔ちゃんが耳を澄ますと、確かにロンドンの方角から、ヴィダへの怒号とルーニーを讃える大声援が。なんて楽しそうなんでしょう。赤悪魔ちゃんは、お母さんに「寄り道はいけないよ」と言われたのも忘れ、ウェンブリーへと足を伸ばす事にしました。

ウェンブリーに辿り着いた赤悪魔ちゃん。カーリングの大会らしく、つるつると滑るピッチ上で繰り広げられた闘いは、見事にマンチェスターが勝利。満員のスタンドで「ユナイテッド! ユナイテッド!」と叫びながら、赤悪魔ちゃんは、主将を勤めたエブラさんがカップを掲げる姿に、前日に見た光景のデジャブを覚えました。

【比較画像】
Carling Cup Final(2月28日)
FUJI XEROX SUPER CUP 2010(2月27日)

その頃のこと。お婆さんの家に先回りした狼は、眠っていたお婆さんを一呑みにすると、更にお婆さんに化けて、赤悪魔ちゃんが来るのを待ち構えていました。そこへ、何も知らない赤悪魔ちゃんが。ああ、たいへん。そこはお婆さんのホームではありません。ウルブスのホームですよ、赤悪魔ちゃん。

「あら、お婆さんのお目めは、なぜそんなに大きいの?」
「おまえが良く見えるようにね」

「お婆さんの耳は、なぜそんなに大きいの?」
「ウルブスサポーターの声援が良く聞こえるようにね」

「元ユナイテッドのシルヴァン・ブレイクは、なぜベンチスタートなの?」
「守備が固くなるようにね」

「前回のユナイテッド戦では、なぜ主力を10人も休ませたの?」
「プレミアに残留できるようにね」

「でも、どうして未だ降格圏付近を低迷しているの?」
「どうしても、こうしてもないね」

「狼とは名ばかりで、所詮嘘つきな狼少年なの?」
「今は辛抱の時だね。将来、ビッグクラブの一角に入るためのね」 

「ははは。おばあちゃんのお口は、なぜそんなにビッグマウスなの?」
「それは……ユナイテッドを一飲みにするためさ!」


ついに本性を現した狼に、赤悪魔ちゃんは、丸呑みにされてしまいました。誰か、たすけて。このままでは90分後には、狼の胃の中で消化されてしまいます。

するとその時です。たまたま家の前を通りかかった森の狩人たち、その名も『赤悪魔猟友会』の目に、お婆さんのベットで大きなイビキをかいて眠る、狼の姿が入りました。

「ボス。あの狼の大きなお腹は、一体どうした事でしょう?」
「きっと、勝ち点3が詰まっているに違いない。お前たち、奴の腹をドリブルで切裂き、その中へ沢山ゴールを積め込んで、2部リーグの奈落に突き落としてやれ」


狼に襲いかかる狩人たち。戦いが始まりました。

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「ふうっ、危ないところだった」

90分後。そこには、なんとか仕留めることに成功した狼の死骸が。こうして、ハル・シティの虎と共に、プレミア絶滅危惧種に指定されていたウォルバーハンプトンの狼は、かつて世界にたくさんいた他の狼たち──千代の富士(ウルフ)、拝一刀(子連れ狼)、松田優作(甦る金狼)、ガッツだぜ(ウルフルズ)、鋤柄昌宏(男は狼)らと同様に、地上から姿を消したのです。

決して一筋縄ではいかない狩りでした。サイドバックというよりもサンドバックに近かったブラウン。遠目から誤射してばかりのギブソン。驚くほど使えない豆ディウフ。過労死寸前のベルバさん……やはり名うての猟友会員たちの中でも、とりわけゴールハンターであるルーニーとワンダーの穴は痛かったようです。もしも狼の牙がもっと鋭かったら、また、もしもポール師匠の鼻血が止まらなかったら、ほんとうに危ないところでした。

「さあ、勝ち点3をいただくか」

ギャリー猟友会会長は、ギグスから借りたジャックナイフで、狼の腹を切裂きました。すると、どうでしょう。そこから飛び出してきたのは、勝ち点だけではありません。そう、元気な赤悪魔ちゃんです。森の狩人たちは驚いて言いました。

「ょぅι"ょ」

よかった、よかった。危ういところで救われた赤悪魔ちゃんと、赤悪魔猟友会の狩人たちは、石野真子の「狼なんか怖くない」を唄いながら、みんなでマンチェスターのお家へと帰っていきました。お婆さんは間に合いませんでした。

=FINE=



その頃、赤悪魔署──

殆どの刑事が出払い、無人のはずの署内ロッカールーム。しかし、その中に誰かの気配を感じた非番のマカロニ刑事(マケダ)がドアを開くと、そこには鍵の掛かったロッカーをこじ開けようとする初老の男性の姿が。

「あんた、オーウェンって名札に書いてあるでしょう。そこは、殉職したワンダー・オーウェン刑事のロッカーですよ」

「おや、それは失礼しました。オーウェンとは、つい私の事かと

彼は物腰の柔らかい、人情味溢れる表情で続けた。

「ところで君は……赴任当初は血気盛んだが、老刑事の篤い人情に触れ、徐々に刑事とは何たるかを学び、成長していく若手刑事の役かな?」

そんな意味不明の問いにマカロニ刑事が戸惑っていると、そこへ捜査を終えた赤悪魔署刑事たちが帰ってきた。彼らは一様にロッカールームの人物に驚き、そして「おかえりなさい」と迎えた。先輩刑事たちに、「一体、何者なんですか」と尋ねるマカロニ。新米刑事が知らないのも無理はない。彼の名は、

Owen Hargreaves
──人呼んで「ハグレ刑事 慎重派」

笑顔の刑事たちの中にあって、「いったい、今まで何処に行っていたんですか?」と、少し涙ぐむリオ婦警に、ハグレ刑事は頭を掻きながら答えた。

「いやぁ。ついまた、はぐれてしまって

これまで何度も仕事中に「脚が痛い、腰が痛い」などと言っては、その度に仲間からはぐれていたハグレ刑事。愛飲の養命酒や池田模範堂のムヒも効き目なく──

2007年7月膝蓋骨腱炎ではぐれる。
2007年9月太腿肉離れではぐれる。
2007年10月膝蓋骨腱炎ではぐれる。
2007年12月背中に痛みではぐれる。
2008年7月膝に痛みではぐれる。
2008年9月膝蓋骨腱炎ではぐれる。


と、彼の刑事としてのキャリアは、正に復帰してははぐれる、その繰り返しだった。しかし「ほんと、復帰に慎重派なんだから」と、連日入り浸る高級バー「さくら」のママにもいよいよ愛想を尽かされそうになると、ついに18ヶ月ぶりに職場第一線への復帰を決意したのだった。

「あ、お久しぶりです、課長。そろそろ私の出番かと思いまして」

しかし、「大丈夫かね。またすぐに、何処か痛めるんじゃないの? ウチの課も、使えない刑事を置いとく余裕はないんだよねぇ」と、怪訝そうなギャリー課長。するとそこへ、赤悪魔署のファーギー署長の姿が。

「まあ、そう言うな。こうして戻ってきてくれたんだ。心強いじゃないか」

「ハッ、署長の仰る通りで! 頼むよ、ハグレさん〜」

………

いつの間にか、夕闇に包まれた赤悪魔署。
その署長室には、ボスに呼び出されたハグレ刑事の姿。

「また仕事をして貰うぞ。取りあえず、リザーブリーグからだ」

ボスの期待は大きい。人情はだしの「純情派」の裏で、ピッチに蔓延る悪党たちを人知れず抹殺し、彼らの野望をその必殺の右脚で闇に葬るのが彼の仕事。ハグレ刑事──またの名を「必殺仕事人」。

「へい、任せて下さい。元締め……いや、ボス

我々は知っている。

「はぐれ刑事」と「必殺仕事人」は、同一人物なのだ。


to be continued...


……という訳で、次回より「追悼・藤田まことさん」として、新番組『ハグレ刑事 慎重派』をお送りします。第一話「さよなら、安浦刑事とワンダー刑事。おかえりなさい、ハグレ刑事」に、どうぞご期待下さい。(タイトルは予告無く変更される場合があります)

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このドラマはフィクションです。実際の人物・団体・
実在するウォルバーハンプトンFC、
『はぐれ刑事 純情派』とは一切関係ありません。
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by tototitta | 2010-03-08 16:56 | Manchester United | Comments(4) | ▲ TOP
ワンダー刑事追悼SP『New Wonder Paradiso』
(記/なるほ堂、監修/minaco.)


「俺、この決勝戦でゴールを決めたら、W杯に行けるんだ」
──ワンダー刑事、最期の言葉



映画『Stretford Endにほえろ!』の監督を務める私は、夜遅く帰宅した折、留守中に母から「ワンダーが亡くなった」という電話がかかっていた事を知らされた。その名を耳にした途端、私の脳裏には、マンチェスターでの、彼との思い出が甦るのだった。

当時、心の支えである鹿島アントラーズが不調に陥り、現実世界との折り合いが悪くなっていた私は、その様な際の常として、都合の良い映画や過去のフットボールの妄想の世界に引き蘢っていた。そこで私は、童顔の老ストライカー、ワンダー・オーウェンと出会った。彼は私に言った。

「妄想を出ろ。ここは邪悪の地だ」
「誰の台詞? リネカー? シアラー?」
「誰の台詞でもない。私の言葉だ。フットボールは、お前の見た映画と違う。フットボールは、もっと困難なものだ」


ワンダーは最期に、こう言った。

「行け。もうお前とは話さない。遠くで、お前のブログを読みたい」

彼に言われた通り、妄想の世界を離れた私は、再び襟を正してPC卓に座り、現実の世界に向かって、ワンダー・オーウェンを主役にブログを書き始めた──。

そして今日。ワンダーの葬儀に出席するために、私は再び赤い悪魔たちの棲む世界に戻ってきた。駐車場に姿を変えようとしている、荒れ果てたオーウェン邸の前を、葬儀委員長ギャリー・ネヴィルを先頭に、粛々と葬列が行く。ギャリーの抱える遺影には、カーリング杯表彰式の、未だ診断結果を知らぬワンダーの笑顔。その眩しい笑顔は、まるでまだ彼が生きているかの様な……いや、そんな詮無い思索は止めよう。そして葬儀副委員長ライアン・ギグスの手には、ワンダーの遺品、光り輝くカーリング杯が。

ダービーマッチでの決勝ゴール、そしてカーリング杯での同点ゴール……この2つのゴールをユナイテッドにもたらす為に、ワンダーの生涯はあったと言っても過言では無い。黙して目瞑る私の胸に、彼の姿を追ってPCのキーを叩き続けた日々と、在りし日の彼の勇姿が甦る。オールド・トラッフォードのベンチに座るワンダー。ピッチ脇でアップして、またベンチに戻されるワンダー。何の実績も無い新人と同列に、途中投入される元バロンドール受賞者、ワンダー。

懐かしいマンチェスターの町を進む葬列。故人と縁ある私もまた、いつしかその中の一人だった。振り向けば、列の中には懐かしい人たちの顔。いつもベンチ脇に陣取る、熱心なインド人兄弟たち。「さぶ!」仲間だったおベルたん。ヨリを戻したヴィダとリオ。長く消息不明だったオシェイ。背広仕事もすっかり板についたオーレ校長。自慢の赤毛も、少し白髪の混じったポール師匠。アンディ・ガルシア。そして列の最後尾、また一人若者を葬(おく)った老ファーギーが、寂しそうに呟く。

「またワシより先に若い奴が逝きやがって・・・」

葬儀、いわゆる『ワンダー忌』は滞り無く終わった。私は再びこの地を離れるべく、踵を返した。ワンダーと入れ替わるように、今日、鹿島アントラーズの「次の『史上初』を見つけに行く旅」が始まるのだ。だがそんな私を、ワンダー・ウーマンこと、ワンダーの未亡人が呼び止めた。

「ワンダーが、これを貴方にと……」

私は一巻のフィルムケースを手渡された。急ぐ旅ではあったが、故人への思い断ち難く、私の足は夢の劇場『シアター・オブ・ドリーム』へと。誰も居ない、普段はユナイテッドの熱狂的サポーターが陣取るエリア「Stretford End」の椅子に座った私。そして、夢の劇場のスクリーンに映し出されたのは──。

BGM↓


リバプール相手にハットトリックし、「嗚呼、オーウェンを手放した俺たちは、なんて馬鹿だったんだ!」と、レッズサポを悔しがらせるワンダー。

ガナーズ事務所を粉砕し、ガナー・喜多川・ベンゲル氏に、「我々の選手は、ただ小さいだけだった。小さくても本物なのは彼だけだ」と言わしめるワンダー。


……それは、『Stretford Endにほえろ!』の、お蔵入りとなったはずの没テイク集だった。この連載を記す際、私は出来るだけ早くワンダーの活躍を皆様に届けようと、事前に様々な彼の活躍を想定し、メモしていた。だが、試合を終える度、そのメモは殆ど顧みる事無く、屑篭に捨てられた。ぶっちゃけ、全てが徒労であり、無駄だった。しかし、決して現実では無い映画が、時に現実を越えた真実として人の心に響くように、私がワンダーに夢見た瞬間の一つ一つは、いつも私の心を震わせ、励まし、勇気づけた。夢の劇場のスクリーンに、私の心の中だけの真実……いや彼の復活を共に祈ってくれた読者の皆様の心にも、きっと在ったはずのワンダーの映像は続いた──

「俺とワンダーでは勝負にはならない。もし残留しても、俺の出番は無かっただろう。ユナイテッドを去って本当に良かった」と、テベスを脱帽させるワンダー。

「ユナイテッドの背番号7番と言ったら? そりゃワンダーだよ。その前の7番、さあ誰だっけ? カントナかな?」とサポーターに言わせるワンダー。

そのゴールで、ユナイテッドをプレミア4連覇に導くワンダー。

ウェイン・ブリッジに「寝取ったのが君ならば許したのに」と愚痴られるワンダー。

CL決勝の地マドリッドで、邪悪な銀河帝国を滅ぼし、全宇宙の王に君臨するワンダー。

三陸沖津波を蹴り返すワンダー。

凱旋門賞で万馬券を当てるワンダー。

再び、洋服の青山のフレッシャーズスーツを着るワンダー。

プレゼンターとして、ルーニーにバロンドールを授与するワンダー。

南アフリカの平原を元気に走り回るワンダー。

そしてルーニーとともに、高々とW杯優勝杯を掲げるワンダー。



=FINE=



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このドラマはフィクションです。実際の人物・団体・
実在する存命中のワンダー、来季の復活に向けて奮闘中の
マイケル・オーウェン選手とは一切関係ありません。
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by tototitta | 2010-03-06 20:57 | Manchester United | Comments(4) | ▲ TOP
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