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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
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Year of the horse
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今年もよろしくお願いします。

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by tototitta | 2014-01-01 17:25 | 日々日常 | ▲ TOP
『テッド』~私がクマにボロ泣きした理由
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お下劣なテディベアが喋るコメディとして(珍しく)大当たりしてる『テッド』 (2012) だけど、もしかしてボロ泣きしたのはワタシだけでしょうか。だって弱いんだもの、この手には。つまり、ささやかだけど真っ当に1本筋が通ってて血の通ったウェルメイドな映画なんだもの。

物語は少年ジョンとぬいぐるみテッドの出会いから始まる。そして少年からティーンエイジャーへ、やがて成人へと共に年日が過ぎる1人と1体のクマ(のぬいぐるみ)。『スターウォーズ エピソード1』公開日のカットで、ワタシはもう泣きそうだった。『SW』シリーズまともに観たことないのに!一瞬のフラッシュバックシーンに、2人(面倒なのでヒト扱い)の過ごした時代や歴史が詰まってる。


小ネタには固有名詞が沢山登場するのでいちいち可笑しいが、すべてがテッドとジョンの世界を物語るリアリティになってるのが素敵。『フラッシュ・ゴードン』が予想外に重要な使われ方だし、その他映画や他愛ない(むしろズッコケる)ポップカルチャーがごく自然に共有されてる。こういうものを観て育ったんだ、こういう話題が盛り上がるんだ、という内輪内言語として。ビールのお約束もすごく良かった(ミラ・クニスの反応含め)。

そんなネタの数々は、「いい年して大人になれないダメ男」の証明として表面上受け取られるのだけど(実際、多くはそういう描写に過ぎないと思うだろうな)、ガールズトーク同様男子トークとして大事な側面もあると思う。そしてそこがラストまで持っていく導線になってるから素敵。

クマのテッドとジョンは、『フラッシュ・ゴードン』でもビールでもマリファナでも全部共有する仲だし、他人から見て価値のないものでも2人にはある。ヲタク趣味という程でもなく、ただ自分たちの好きなものに堂々としてる。ジョンは別にSWのフィギュアを部屋に集めたりしない、テッドとその場を愉しみ心に残すだけ。ヲタクなら予めあきらめもつくだろうが、意外とこういうタイプは彼女にとって厄介かも。友情と同じように、他人の基準じゃなくて自分の積み重ねた価値だから。

そう、ジョンは立派な大人とは言えないけど、真っ当に育ってはいる人間なのだ。親友が居てステキな恋人もいて、自分の価値観を持ってる。それはテッドがいたおかげ。

好きな映画や趣味の世界って、ある意味他人にどう見られたいかを無意識にもアピールする材料な訳で、大抵は「自分が○○派である」表明みたいになりがち。映画で対照的なのは、ジョンの彼女に迫る上司(『スパイ・キッズ4D』のパパ!)。彼は部屋に自慢のコレクションを並べ、誰かに見せることで価値が成り立つ人間として描かれてる。

でも、ジョンは自分の趣味を表明する必要なんかない。長年常にテッドが居ることで、今更誰かの認可を必要としない。恋人にも。それは小さく閉じた世界かもしれないが、無邪気な自由でもある。テッドが居たから自信が持てた、という台詞があるけど、相棒の存在ってそういう自由を与えてくれるんだよね。

だから、この映画は“ダメ男が成長して大人になる話”みたいに一見思えるけど、そもそもそんなに成長する理由はなかったんじゃないかという気がする。『トイ・ストーリー』みたいに、テッドと別れて別の道を行く理由はない。そこが素敵。何せ、もともとジョンはミラ・クニスのような彼女に愛される男で、成長したから恋人が出来ましたって話ではないのだから。むしろ立場が危ういのはテッドの方で、ちょっと切ない。

そんな細やかな側面が伝わるから、泣かされてしまった。勿論、全く違和感ないテッドのぬいぐるみ感もスゴイし(経年による腹の辺りのすり切れ具合に萌える!細かい!)、伸びたTシャツとスウェットパンツが似合う男マーク・ウォルバーグ(といえば舞台はボストンなのだ)も素晴らしいハマリ役だし、取っ組み合いのシーンは名場面。でもぬいぐるみのあんな瞬間(エロではない)を観ると胸に刺さるよね…残酷トラウマシーンだよね。

*蛇足だけど、この映画の良さはホモソーシャルでありながら、女性を排除しないでみんな幸せになる幸福論を唱えてるからかもしれない。続編の話もあるみたいだけど、そしたら次は父親になるジョンとテッドの関係なんだろうなあ…。それも大変そう。


それにしても、2012年は『宇宙人ポール』(これも“本質は変わらない”無邪気さが素晴らしい)、今年はコレが映画館初めで、どっちもブロマンス映画にえらくボロ泣きしてる自分って。
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by tototitta | 2013-01-28 01:21 | 映画 | ▲ TOP
今年もよろしくお願いします。
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by tototitta | 2013-01-03 17:25 | 日々日常 | ▲ TOP
ダークナイト ライジング~わかってるようでわかってないノーラン~
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“もしもバットマンがガチだったら3部作”の完結編。『ダークナイト』は、「ブルース・ウェインが如何に痛い人か」を追求した意味でとても興味深く面白かったんだけど、それはやっぱり「ツッコミ役」ジョーカーの存在が大変ふるっていたからだよね、と再確認したのだった。

そもそもワタシにとってクリストファー・ノーラン監督の映画は、「(すべきことを)わかってるようでわかってないような」危ういバランスなので、大傑作を期待した訳でもないんだけど。それに、まるっきり駄目というほど駄目な訳でもなく。以下、箇条書きで感想を。

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【わかってないなあノーラン】

『ビギンズ』『ダークナイト』から話を継承してるのは良いんだが、何も、正直言ってダサかった修行時代とか一番どうでもいいエピソードを思い出させなくても。だって『ビギンズ』の頃はまだそんなに自覚的に作ってないというか、結構なトンデモ展開だったじゃないか。実際スケアクロウしか覚えてないし、スケアクロウ以外は忘れていいんでは。キリアン・マーフィーさえ居ればいいじゃん。

アン・ハサウェイはともかく、これキャットウーマンじゃないよね。ぜんぜん猫じゃないね!ラバースーツをミシンで夜なべして(@ミシェル・ファイファー)…とまでは言わないが、せめて1シーンでも貧乏臭い姿を見せてくれればヨカッタのに。

そもそもゴッサムシティって架空の街なのに、今回モロに星条旗とか国歌とか大統領とか出しちゃうのは…いかがなものか。ノーランは現実と地続きのゴッサムシティをやろうとしてて、それがマンハッタンなのも薄々解っちゃいたけど、ここまでやるともうゴッサムじゃなくなってる。しかも街の外の世界が介入してしまうと、違和感や矛盾が露呈しちゃう。リアルにすればするほど嘘臭くなるのだ。

ハリウッドに都合の良い核兵器、は今更まあ置いといて。

ノーラン劇団とはいえ、『インセプション』組とキャストが被りすぎ。さすがにケン・ワタナベ再登場はなかったものの、勿体ぶったマリオン・コティヤールはもういい加減に…イラッ。

でもゲイリー・オールドマンにモーガン・フリーマン、年寄りを手荒に扱いがち。但し、マイケル・ケインは自分が泣けば可愛く見えることをわかってる。乙女みたいに!

マッチョ&口輪付きの悪役ベイトに扮したトム・ハーディ。ぷよんとしたモチ肌露出は大事なポイントだが、あの血色良い唇を隠すとはわかってない!

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【わかってるノーラン】

でも、キリアンはメガネ男子ってのはわかってるノーラン。

さすがブルース・ウェインの女の趣味がブレない!とことんタヌキ顔に弱いな!

前半のクリスチャン・ベールは『ザ・ボクサー』からそのまま来たのかと思うほど、頬がこけて肌ツヤもなく不健康。おかげで凄く老けて見えたし、そこがちゃんと話にリンクしてる。スポーツ選手がトップコンディションを維持できなくなるように、無茶な夜警稼業もそろそろ肉体的限界、老いたなあバットマン…という伏線に繋がる。(ただ、やさぐれすぎたチャンベールが今にも下品な言葉使いしそうでハラハラ)

元80年代青春スター枠のエリック・ロバーツが前作に出てたけど、今回はマシュー・モディーンが同ポジションに。イイ感じに食えない顔。

ガチ・バットマンに引退などなし。引退宣言しても、何食わぬ顔で復帰するのがガチ(イーストウッド先生…)。「俺がやらねば誰がやる」ですから。

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【わかってるようでわかってないようでわかってるかもしんないノーラン】

全く個人的な願望&期待だけど、今回のキャストの噂が流れた頃、ジョセフ・ゴードン=レヴィットくん出演に小躍りしたものであった。というのも、もしジョーカーが引き続き登場するならば、ヒース・レジャーからそれを継ぐのはレヴィットくんしかいないだろ!と思ってから。だって初めて観た時、見た目や雰囲気がそっくりだったし。ああいうタイプにジョーカーやらせたら一番怖いもの(荷が重いでしょうが)。

それに、今作の展開を勝手に妄想してもいた。『ダークナイト』で普通じゃありえない末路を辿ったヒロイン=レイチェルが、キャットウーマンになって蘇るのだと。勿論、アメリカの石野真子ことマギー・ギレンホール続投で。あの魔性こそキャットウーマンに相応しい。猫っぽい妖しい動きは『セクレタリー』でも観てるし。いやあ、大火傷した地味なタヌキ顔をラバーマスクに包んだマギーさんなら大変ですよ、抗えませんよ。マギー最強!

その為の伏線(必然)として、あのような悲惨な目に遭ったのだと。「知らぬはアンタだけ」な例の手紙も、本人から明かされた方が痛いでしょ。でもって、ブルースもバットマンも更なるダークサイドに追い詰められるのだと。女怖ええええ…!ってのがキャットウーマンのキャラだと思うし、ガチで痛い話なんだから、そこまでやってくれないと。そんな風に勝手に期待していたのだが。

…勿論、『ライジング』は全然そういう展開にはならんかった。ジョーカーもレイチェルも登場せず、レヴィットくんは警察官でした。わかってないなあノーランたらもう!と地団駄&歯軋りもしたけれど、でもラストで全部水に流すことに。

そうか、そうなのか!ならばいいよ!レヴィットくんを使う理由も納得するよ!細かい事も不問にするよ!よっしゃ!と拳を握りつつ、清清しい気持ちで観終える事ができたのだった。

なので、ノーランはまた『スーパーマン』ガチ化とかしなくていいから、続きのレヴィットくんを早く見せて下さいな!あ、○○○ガールは当然ジュノ・テンプルだよね?そこんとこ、わかってるのかしらん。


*『ダークナイト』感想はこちら
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by tototitta | 2012-08-25 00:59 | 映画 | ▲ TOP
new year
(記/minaco.)

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とりあえず元気で、希望のある年でありますように。

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by tototitta | 2012-01-01 19:41 | 日々日常 | ▲ TOP
『ブラック・スワン』は『レスラー2』だった
(記/minaco.)

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【『ブラック・ワンダー』あらすじ】あたしはトウが立ったバレリーナのワンダー。赤悪魔バレエ団のファーガソン監督は、新しい7番役にあたしを大抜擢したの。ずっと夢に見た大舞台のプリマの座。そりゃあ周囲から妬まれたし、プレッシャーのせいで身体のあちこちを傷めつけてしまったわ。なのに監督から「お前にはワンダーがある。だが、もっと黒ワンダーを解放しなきゃ使えねえ」って怒鳴られてばかり。だから毎日競馬場に入り浸ったり、お酒に溺れてみたり、大金をスろうが賭け事なら何でもやってみた。もうワンダーボーイには戻れないわ。身も心も汚れるうちに、やがて気付いたの。ああ、あたしを育ててくれたリバプールのママンだけど、本当はあたしが赤悪魔バレエ団で成功するのが気に障るのね。「フン!あんななんか所詮ELすら出られない三流のくせに!」って追い払ってやったわ。でも、元7番の先輩が監督に弄ばれた末に捨てられてボロボロな姿を見ると、とても怖くなるの。あたしもいつかああなるかもって。だって、他所から来たばかりの新人チチャリートって子が、せっかく掴んだあたしの7番を狙ってるのよ。自由奔放に愛されて、いつしかあたしの代わりに主役を張ろうだなんて…キイイイイ。いいわ、思い知らせてあげる。ダークサイドを…真の黒ワンダーを…!

そんなダーレン・アロノフスキー監督の新作、『ブラック・スワン』(2010)はバレエもの。バレリーナといえば優雅で繊細で華やかで、まるで少女漫画みたいに乙女心をくすぐる存在……だが、ちょっと待て。もしこれをバレエ好きなマダムなんぞが連れ立って観に行ったら、ドン引く事間違いなしじゃないか。

前作のアメプロを舞台にした男臭いガチ映画『レスラー』から、別に作風が変わった訳じゃない。全く接点なさそうなプロレスと(ストリッパーと)バレエでも、実は共通点が多いんだった。身体を酷使する仕事、エースやプリマを頂点とした閉鎖的な縦社会、リング上も舞台上も孤独で過酷。

アロノフスキー先生は、そういったガチ稼業を題材にするのがお好きらしい。ボクサーが主人公の『ザ・ファイター』でも製作総指揮を務めてるし。きっと否応無しに生身の身体を張った、「痛みの伝わるプロレス」を見せたいんじゃないかな。ドラッグ中毒の恐怖を容赦なくこれでもかと見せつけた超ダウナー映画、『レクイエム・フォー・ドリーム』もそうだったもん。


最初のうちは、クローズアップが続く心理ホラー=メンタル・スプラッターと呼ばれるベルイマン映画風かとも思ったけど、やがてむしろこれはメンタルよりフィジカルだと気付く。トウシューズを支度するバレリーナは、コスチュームや凶器を仕込むレスラーに符合して、カメラが商売道具を手入れする職人を見つめるように捉えてる。そしてクライマックスのダイブ。スローモーション。諸々の相似に確信しちゃった。こ れ は 『 レ ス ラ ー 2 』 (或いは『裏レスラー』) だ っ た の ね !

そんなプロレス脳監督だから、バレエ映画を観に来た観客がドン引きしても無理はない。バレリーナの極端にデフォルメされた苦痛を、肉体を通して延々と伝えてゆくのみ。身に付けた白い服が徐々にくすんで真っ黒に染まるまで、ひたすら痛みのオンパレード。しかも爪先指先に尖ったアレコレなもんだから、先端恐怖症にはかなり辛いんじゃないかしら。

そうして、プロレスラーとしてミッキー・ロークの老いた肉体を曝したのに続き、ナタリー・ポートマンをバレリーナとして身体を張らせるアロノフスキー先生であった。どちらも役者自身が醸し出すイタさを強調してるのがミソ。子役から大人になるにつれ潰しの利かなくなってしまったナタリーさんだが、その「いびつさ」を前面に押し出し、ミッキーには届かなかったオスカーも獲得。人形みたいに整いすぎて何かツラい容姿が正にハマリ役であった。

おフランスの演出家ヴァンサン・カッセルも、落ちぶれプリマのウィノナ・ライダー(余りにオーラが無くてしばらく気付かなかった)も、その他みんなこれしかないってくらい絶妙な配役だけど、ベタすぎるとも言える。そもそもバレエ=「白鳥の湖」ってストレートすぎ。実は笑えるほどベタでコテコテな映画だと思うし、それがアロノフスキー先生の芸風なのかもしれない。

「ブラック・スワン」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
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by tototitta | 2011-10-31 00:10 | 映画 | ▲ TOP
赤毛の日
(記&画/minaco.)

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その日が現役最後の試合だとゆうのに、やはり何気なく、只のプレシーズンマッチかと勘違いしそうなくらい普通にプレイして、赤毛はピッチを後にしたんであった。きっといつもの赤毛的一ゲームがしたかったのでは。ガチの辞書に花試合の文字はなし。

本当は誰にも気付かれたくないかのように。ただ早く仕事を済ませて家に帰りたいとでも言うように。ファンはそれを知っていて、だからこそ精一杯大声で引き止めようとするけれど、名残惜しいまま見送るしかない。

腕にキャプテンバンドが無ければ、他に特別な事もなくプレイしてるかに見える。赤毛らしくブチかましたゴールも、ボールを持てば「シュートシュート!」とけしかけるOTも。珍しくFKを蹴ってみたけど、「ほらやっぱりFKは蹴るもんじゃない」なんて話してたのかもしれない。キャプテンバンドは手首までずり落ちながら、かろうじて主役が赤毛である事を主張していた。

ベーシックな赤毛のプレイ。右見て左見て、しっかりトラップして、正しいタイミングとスピードでパスを出して。味方の動きを熟知してピッチ広く見渡し僅かなフェイントで敵をいなして、コースを見つけボールを止めて、決して浮かせず真っ直ぐなミドルを撃ち込んで…。そんな風にちゃんと出来たら、フットボールは実にシンプル。でも、それをポール・スコールズより巧く出来る選手がいない。だからフットボールは複雑になる。

勿論、美しく流れるようなパスの合間に、もれなくアバンギャルドな難問をレフリーや我々に投げかけてくるのも赤毛。何故そんなタックルをするのか?何の為にイエローカードがあるのか?赤毛のファウル基準とは一体何なのか?どうしてそんなに痒いのか?何故冬でも雪が降っても半袖なのか?キャプテンバンド恐怖症なのか?プレスに答えたり写真を撮られたりすると魂が抜けるのか?赤毛ジョークとはどんなものなのか?そして何故、こんなに巧すぎるのに引退しなきゃならないのか?

未だに解けない禅問答である。そこに正解がある訳じゃなくて、赤毛とは何者か、赤毛らしいか否か、なのだった。時にフットボールや赤悪魔のセオリーすら超越した赤毛唯物論。赤毛の前に赤毛なし、赤毛の後に赤毛なし。

赤毛なきピッチに赤毛の代わりを探すなどナンセンスだけど、残された自分は試合を観る度いつまでも不毛な赤毛基準で比較し続けるだろう。そこに赤毛が居なければ、フットボールは随分と予定調和で味気ない世界になってしまう。カントナやキーンやギャリーが去ると、一つずつロマンの灯火も消えていった。やがてミラクルも消えて、残るは自由すぎる胸毛のみ。


赤毛最後の日に集められたロマンの欠片たち。ブラジル国王を従えるエリック・ザ・キングはOT王国を静かに見下ろし、キーンさんはいつもの険しい顔でウェルベックのゴールを眺め、バッティはグッドジョバーとしてブックをこなし、ギャリーは何も言わず赤毛の頭を叩き、元敵兵ヴィエラはやはりブーイングを浴びる。赤毛は自らマイクを握る事なく、所在なさげにインタビュウに答えた。

そして家族と共にピッチを一周すると、ゲストらが拍手を贈る中そのまま家路に着く。たったそれだけ。ハームタイムショウや花火もなし。祭りの余韻も人々の惜しむ声も、赤毛を呼び戻す事はできず。
その堂々たる赤毛ぶり。
正しく、100%ポール・スコールズらしいテスティモニアルではないか。
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by tototitta | 2011-08-12 23:41 | Manchester United | ▲ TOP
エドさんとジョーくん、その相棒
(記&画/minaco.)

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とうとうアムスでのエドさんテスティモニアル。

まずは、前座としてアヤックスとユナイテッドのU-13が対戦。ユナイテッドのGKを務めるのは息子ジョーくん。おおおこんな立派な美少年になって!と、幼い頃より陰ながら成長を見守ってきた親戚のおばちゃんのように感無量である。

ひょろっとか細い長身に父と同じ1番を付け、ゴールマウスに立つジョーくん。U-13でも本気の真剣勝負、健気で可愛いったらない。先制ゴールを許したジョーくんだが、すかさず味方に声を出す姿が父ちゃんそっくり。やがてユナイテッドが同点に追い付くと、ガッツポーズもまた父ちゃん譲り。なのに再び逆転ゴールを決められてしまい、途中交代で悔しそうに引き上げるジョーくんであった。

ベンチで迎えた父から優しく頭を撫でられても、記念すべき晴れ舞台の2失点にショボンとした様子。なあに大丈夫。その負けず嫌いの血があればきっと未来の赤悪魔守護神も夢じゃない。数年後には身長だって2mに伸びてるはずさ。それに、このままいけばひょっとしてアカデミーでポール監督の指導を受ける可能性だって有り得る。そうなりゃトップチームよりアカデミーのファンになっちゃうかも。


続いてはセミ・イベント、アヤックス1995VSオランニェ1998。ライカールト、ベルカンプ、ライツィハー、ダヴィッツ、コク、マカーイ、ゼンデン、ジオ、デ・ブール兄弟、ファン・ホーイ・ドンクに後頭部が若干寂しいクライファートまで揃いも揃ったり。今どきの小粒なオランニェに比べりゃ、当時のトータル・フットボールは断然ゴージャスだった。そして、この面々すべてと共にプレイしてきたエドさんの、誰よりも長くて偉大なキャリアを実感する。

若くしてアヤックスで欧州&世界一になり、ユーヴェへ移籍するもプレイスタイルの違いから本領を発揮しきれず苦難の時代。フルハムへ来て再び評価を取り戻すが、エドさんの背丈に対しクラブの器は小さかった。すると、シュマイケル以後悪夢のGK受難時代が続く赤悪魔がエドさんを獲得。その後の栄光は言わずもがな。惜しむらくは、せめてあと1年早くファーギーが決断してくれてたら、タイトルも今より確実に多いはず。

ワタシにとって、理想的GKの基準はシュマイケルかエドさんなのだ(ハリー・グレックさんはガチGKなので除く)。これまでも、これからも。身体能力がどれだけ優れてても、どれだけスーパーセーブを見せても、「GKに大事なのは攻撃力」と信じる自分はゴールキックすらまともに蹴れないカシージャスなど物足りない。多分エドさんならここで間髪入れず正確なフィードを送るのにとか、そこで安心のバックバスが出せるのにとか、いちいち比べ続けちゃうだろう。


そしていよいよメインイベント、アヤックスVSファーギー&レネ率いるドリームチーム(殆どユナイテッド)。普通にギャリーが、カイトを挟んでルーたんとギグスが、リオヴィダが、それにサハも帰ってきた。生憎ポールさんは自身のテスティモニアル優先か(さすがにw)。MUTVは代わりに日焼け著しい赤毛インタビュウを2回も流してくれた。

はにかむ愛娘がキックオフを務め、すっかりお元気そうな奥様アンマリーさんも見守る。ハーフタイムにミック・ハックネルが歌い、アヤックスファンもユナイテッドファンも、バナーを掲げスタンディングオベーション。お別れの寂しさよりも、温かい気持ちで一杯になる。何て良い光景だろう。この上ない幸せじゃないか。

短い試合が終わりを告げ、エドさんはグローブを脱ぎ淡々と感謝の挨拶を。ここでMUTVは中継終了…かと思いきや、何ともう一つプレゼントが。ジョーくんの蹴るPKを容赦なく止めたエドさん、それが本当に最後のセービング。

Big van der sar─そう呼ばれたエドさんは、本当に大きな大きな人でした。

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さて、残念ながらプレシーズン真っ最中のルートは不参加となった。

ああ、肝心な日に立ち会えないだなんて悔しいやら情けないやら。せっかくファーギーとハグする唯一の機会を棒に振るなんて、悔しすぎる。そんな不義理な男じゃないはずだろ。まるでギャリーのテスティモニアルにベックスが居ないようなもので、ここに相棒が居ないとは片方が欠けた夫婦茶碗じゃないか。

けれど前日、久々に更新されたルートのtwitter。そこに書かれた短い言葉。
100.000 times thanks for all the support and kindness!! Take care. Ruud.

これは、きっとエドさんへ向けたメッセージに違いない。そう信じる。

思い切り意訳すると、「これまで数え切れないくらい、お前には世話になった。助けてもらったし、思いやってもらったし、何もかも目一杯感謝してるよ。達者でな」─そんな心の込もった、愛のメッセージ。ワタシにはそう読み取れた。

誰に宛てたかなんて野暮な話。そりゃあ、エドさんにお世話になった数は極端じゃなくても100.000回を下らないさ。勿論じゃないか。アムスに行けなくても解ってる。バカだな、直接伝えろよ。今更照れるんじゃないよ。ああ嬉しくて泣けてくるじゃないかよ…。

やがてはコーチ業へ進む予定のエドさんだけど、いつか何らかの形で相棒と、いやジョーくんも含め一緒に居る所をまた見せてほしいと切に願うんであります。

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by tototitta | 2011-08-09 21:53 | Manchester United | ▲ TOP
『エリックを探して』~カントナ、その愛とロマン~
(記&画/minaco.)

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It all began with a beautiful pass.

しょぼくれたダメ男が夢を託す象徴に導かれ、やがて人生を取り戻してゆく-----そんな展開はウディ・アレンの『ボギー!俺も男だ』('72)や、『カイロの紫のバラ』('85)でも観た普遍的な映画のマジックなのだけれど、今回暗闇から現れたのは往年の映画スターとは一味違う、我らがエリック・カントナ。だからユナイテッドファンにとっては身につまされるような、正夢のような、ひょっとしてこれは自分の物語じゃないかすらと思えるような、特別な映画なんだ。

マンチェスターのしがない郵便配達人エリック・ビショップ。夫として父親として不甲斐無く惨めな彼が、もう1人のエリックのアシストのおかげで別れた妻や息子たちとやり直し、再び希望と仲間と家族の絆を勝ち得る小さなファンタジー。けれど、その一方で合わせ鏡のように、これはエリック・カントナ自身の物語でもあるのだった。

何故ならエリック・カントナのキャリアもまた、最高と最低を行き来するドラマティックなものだったから。唯一の居場所マンチェスターで頂点に君臨し、やがて過ちに何もかも失い、ドン底から復活して再び人々を魅了した物語がある。過剰すぎる個性、過剰すぎる愛。フットボーラーとして完璧なテクニックを備えつつ、人間としては極端にいびつなカントナをワタシは心から愛した。

エリック・ビショップが思いを馳せる「最後に幸せだった瞬間」の事を、我々はよく知っている。カンフーキック事件による9ヶ月の出場停止処分、その間の奉仕活動を終えた、王の帰還。キャプテンとして先頭に立つカントナを迎えるオールドトラッフォードの光景も、PKを決めた時の興奮も、後にNIKEがユニフォームのデザインを変え、「エリック、襟がなくてごめんね」とのコピーを付けた事も。

何故、負け犬エリックに伝説のエリックがパスを送るのか。映画ファンには唐突な妄想でも、ユナイテッドファンなら答えは必然、「キングだから」。キングは駄目人間を見捨てたりしない。民を愛し、民の為に尽くすのだ。いつだって「ギフトを捧げ」、「民も自分も驚かせ」、「ゴールより美しいパス」を誇る。「民の声を失うのが怖い」と王は言う。それ故に襟を立て胸を張り、芸術主義を謳いポエムをしたため、滑稽なほど尊大に振舞う。エリック・ザ・キングは民が求めるカントナを演じ続け、民も喝采を送り続け、最後は死を以ってその愛を永遠に刻む。そこには限りないロマンがあった。


そんな風に重なり合う2つのエリックの物語が、ヒシヒシと胸に沁みない訳ないじゃないか。あの試合、あのゴールと次々に甦る当時のシーンに。カンチェルスキス、ポボルスキー、コール、マクレア、アーウィン、若きギグスやバットやベックスやポールさんの映像に。各世代が身に纏うユニフォームのデザインに。部屋に飾られたカントナ、ベスト、ロブソン、サー・ボビー、バスビーズ・ベイブスの写真に。ワタシ自身の記憶にあるetc,etcに…。おまけに、エルビスの“Blue Suede Shoes”に合わせて踊るカントナ!おお、これぞ正にキングmeetsキングの瞬間がニクい!!

エリックがエリックに授けるフレンチ格言の数々(敢えてポエムと呼びたい)も、フィクションだけど嘘じゃない。まるで本人が振り返る自伝のよう。時にポカーンとしたり、たまに口応えするエリック親父に対して終始穏やかに諭すのはご愛嬌。下手くそなトランペットも、未だ軽快な身のこなしも、すべてキングの美学。カントナはカントナ自身を演じるのが一番巧い。

そもそも自ら企画を持ち込み、かのケン・ローチにこんな映画を撮らせてしまうのはカントナだけ。ありがとう、ケン・ローチ。さすが我々が抱くカントナへの愛を、その本質を解ってらっしゃる。『ケス』とはほぼ対極にあるけれど、これもまた間違いなく愛すべき真実だろう。

代表作「トロール漁船とカモメ」にまつわる台詞にニヤッと笑い、でも今の自分には「最も美しい思い出は最も辛い」という言葉が他人事じゃなかった。ギグシーやポールさんのハーフボレーの巧さはカントナ譲りだったけど、もはやユナイテッドにカントナとプレイした選手はギグシーのみ。それでも、映画の中でFCユナイテッドを支持するファンと同じように、ワタシの居場所もかろうじてまだそこにあると言ってもらった気がする。そんなキングの愛が沁みた。

「エリックを探して」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
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by tototitta | 2011-07-14 00:17 | 映画 | ▲ TOP
帽子いっぱいの赤毛
(画/minaco.)


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by tototitta | 2011-06-24 23:55 | Manchester United | ▲ TOP
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