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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
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敵に勝つ
(記/なるほ堂)

「見事だな・・・。しかし小僧、自分の力で勝ったのではないぞ。
そのモビルスーツの性能のおかげだという事を忘れるな!」
(ランバ・ラル)
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勝 自分に勝つ 敵に勝つ──彼らに満男が号令した言葉。相変わらずのその書き文字のとぼけ塩梅は兎も角、流石はジーコ魂、齋藤先生のじょっぱり魂、そして江戸時代に最も百姓一揆が多かった南部藩領民の「抵抗者」の遺伝子、それらを継ぐ者である。さすればその大会の頂点に、終止に渡り「勝つ事」を第一とした広島皆実が立ったのは必然であろう。その意を知る、鹿所縁の鹿島学園、鹿児島城西の活躍と共に。

常在戦場。対戦相手は己より歓喜を略奪する敵なのだ。昨今の、強敵の読みを「とも」へと、敗北を「良き経験」へと置き換える風潮は、人間の原初の欲望を歪曲する所行だ。むしろ試合とは「死合」である。例え世が平和でも、いざ「競いの場」となれば別話。敵を敵として見据え、己を律してその敵に勝り、勝たねば成らぬ……そう、奴らを血の海へ。お昼時に何気なくラーメン屋の暖簾を潜っても、その折既に我々は「ラーメン戦争」に巻き込まれている。鬼気迫る調理場に、いかに「ラーメンは戦いの道具ではないはずだ」と宣うても。また、道すがらの野良猫に「可愛いね〜」と撫手を差し伸べても、逆襲されて手傷を負う──それが世の現実なのだ。いつだって 生きる事は戦いさ(『家なき子』)。


さて、かつて神はかく語りき「ロナウドが日本にいれば」。当時は我ら仔羊とて、その言葉には身も蓋もなき思いを覚えたもの。だが、いやはや神の隻眼には畏れ入る。その深慮、五臓六腑に染み渡る。今日、それは非現実なお伽噺ではない。大迫勇也。かつての神の言葉は、かの怪物に比較しても差し支え無き才がいずれ日本に……しかも鹿の地に現れるとの予言だったのだ。顔はフンテラール似だが。

連邦のモビルスーツは……もとい、城西の9番は化け物か? 今大会にて幾度、その思いを抱いた事か。決勝に至る途上にて、敗れた敵将がその才に握手を求めたともこぼれ聞く。その心情、感激たるや理解するに余り在る。あの脚こそが日本サッカー界の育成者たちが長年求めていた物だ。

さすれど、未だ彼は最高になりうる「素材」に過ぎない。冒頭のランバ・ラル大尉の言葉は、決勝までの道程に於いて、その戦いにぶりに想起した言葉。決勝には、彼とその仲間たちの所謂「若さ故の過ち」が見て取れた。勝者は広島皆実。三年前、我らが盛岡商の前に8強で涙を飲んだ折は、未だ1年生たちだった彼らが今、容作る歓喜の輪──大迫が連邦のガンダムならば、さしずめ広島の将はシャア・アズナブルであろう。

「戦いとは常に2手3手先を行うものだ」「当たらなければどうということはない」
「モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差では無いという事を教えてやる」

その戦いたるや、実に見事だった。

しかし、思いは大迫勇也から離れない。愚者は優れた才、素材を見れば、すわ海外でと口にする。一足飛びの海外移籍が原石の未来を損なう事を既に歴史が証明しているに関わらず。その点、大迫の選択は正しい。中田の平塚に於ける、朴智星の京都に於ける日々が後を作ったのだ。彼は将来自力で家を建て、家族祖父母と一緒に暮らす夢を持っていると聞く。今はその土台作りの時。甘言に惑わされる事無く、先ず今は鹿の地で大人の戦士としての心を養わねば成らぬ。FWに最も大切なもの、あらゆる天賦に勝るもの、それは足に魂を込めることだ。そしてその魂が、その才の伸び代が鹿の枠を越えたならば、その時は快く相応しい地へと送り出そう。話はそれからだ。

今、我々は鹿の地で君を待つ。「チームが勝たなかったんで意味はない」という君、準優勝メダルを途中から外した君──その美しい姿に言葉を贈ろう、振り向くなよ、振り向くなよ、と。それこそが高校サッカーのテーマ。敗北は心に刻んでも、もう振り返ってはならない。歌おう。

振り向くなよ 振り向くな 振り向くな大迫 
男は涙を見せぬもの
ただ明日へと 明日へと 永遠に──

(途中で曲が変わってしまったが、気にしない気にしない)。

─────────────────────────────

さて、次世代の息吹に関し、もう一題。岩手のサッカーの物語は、いよいよ次のターンが始まる。
師への恩返しとは、その期待に応える立派なプレイヤーに成長する事で終わりではない。師の生き様をなぞり、自身も師となり弟子を育て、師の思いを次に継いでこそ真の恩返しになるという。良いこと言うな、マギー審司。満男もその道を行く。オガサFCがいよいよ始動した。

その新年の初蹴り、子供らを見守る満男、その傍らには師・齋藤先生の姿。更には、目ざとい県内サッカーオタの情報に拠ると、そこにかの某天才中学生が参加していたとか。我らの周囲、俄に騒然である。ワクワクが止まらない。

なお本日、現在彼を擁するSSCヴェローチェ盛岡JYは、全日本ジュニアユースフットサル大会にて準優勝を果たした。【岩手日報

勝つ──その思いは続いて行く。
我ら、それを見守る者たちの思いも、また。
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by tototitta | 2009-01-13 19:44 | サッカー全般 | ▲ TOP
もんじゃを食べながら、ストライカーの未来を考えた。
(記/なるほ堂)

多分、骨格の違いなのだと思う。所謂日本人ストライカーの「シュート力不足」、それには、とかく精神面の問題が取り沙汰されるが、僕は人種固有の「肉体の構造」にこそ要因が有るのだと思っている。

欧米人の骨盤回りは、元々、脚を前に蹴り出す様に出来ている。
一方、日本人(黄色人種)は、地面を下に踏みしめる様に出来ている。

これは短距離走法の比較に於いて聞いた話だが、アジア人の相撲や柔道での重心安定性と、その一方の、勝手に脚が前に出て倒れる曙を思えばご理解いただけるだろうか。

これはサッカーにも関わる話。つまり、我々の人種にとって、シュートは一流外国人ストライカーの様な「一次動作」ではなく、一瞬の予備動作(腰を引き、上体を僅かに伏すなど)の後の「二次動作」であり、それ故に必然、蹴るまでに時間を要し、その「遅れ」がDFに付け入れられる隙を産むのだ。ちなみに、ボールがバー上空に行ってしまうシュートは、大概が急いで予備動作を省いた故に、準備不足の上体が後方にのめり、脚ばかり前に行った結果に映る。

予備動作が無駄に費やすのは時間だけではない。走る前、反転する前、ドリブルを方向付ける為に小さく蹴る前、そしてシュートを打つ前──それぞれに晒すモーションが違うのも、予備動作を要する者の欠点。それによって、密集したシュートエリアでは、DFに容易にプレイ選択を読まれ、GKにはシュートのタイミングとコースを読まれてしまう……ボクシングで云う「テレフォンパンチ」という奴だ。

「来る!?」と思った時には、既に来ている、蹴られている──守備者にとって、これほど厄介な敵は居ない。エルメスやシャア専用MSと対峙した際のジムの様なものだ。例えばカカ’、ロナウ丼、そしてルーニー。カカ’はエルメスというよりディオールだが、嫁が……それはさて置き、他にも増して彼らは「動き出し」の際、目に見える予備動作が無く、直結した「選択と実行」が異常に速く、更にその時間的、体勢的な余裕を「ポジション作り」に宛てる。ドリブルを選択した際は「道」を、シュートの際は「より蹴り易い場所」を、各々ポジションは彼らにとって探すものではなく、拓くものだ──腕で相手を制し、スピードで相手を制し。

彼らを見る度に悟る……我ら黄色人種には無理なのだ。「基本性能」が違いすぎる。偶然に空いたスペースで、その余裕の中で素晴らしいシュートを撃つ和製ストライカーに「世界」を夢見ても、その時めきは錯覚なのだ。アジア最高の選手にして、しかしあらぬ方向に飛んで行くパク☆チーのシュート、あれが限界なのだ、と。

今後、日本人の骨格に見合った、「違うタイプ」のテクニシャンは幾らでも出て来るだろう。ストライカーにしても、かつてカズが「信念の力」でそれを賄った様に、我らが興梠や竜太、浦和の原口など、並外れたセンスや高度なボールコントロール技術といった「別の方法論」で、その「差」を埋める選手は続々現れるに違いない。だが、どんなに世界が求めてもライアン・ギグスの再来が叶わぬ様に、骨格の違うアジア人に、ファン・ニステルローイやゲルト・ミューラーの様な天性の脚、天性のゴールマシンの資質は叶わぬのだ。

──以上が、これまでの持論。だが、この持論は撤回させていただく。

大迫勇也。

その衝撃を、彼が先々に越えて行くだろう偉大な和製ストライカーの故事にちなんだ言葉で表せば、こうだ。

「あれには本当にびっくりした」
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by tototitta | 2009-01-08 18:59 | 鹿島アントラーズ | ▲ TOP
Always look on the bright side of life
(記&画/minaco.)

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今年の全国高校サッカー選手権の応援リーダー(?)、満を侍して満男登場 であります。
すごいぞ日テレ。選手権中のTVに満男が度々出てくるかと思うと楽しみですよ。*大会公式サイトにはインタビュウ動画もアップされてます!

恒例のキャッチフレーズは「勝 敵に勝つ 自分に勝つ」(by満男)となりました。
ほんとは「勝」とだけ書いたんだけど、担当者に「小笠原さん、短すぎますよ~!」と泣きつかれて、仕様がないから彼なりにもうちょっと長くしてみた…と想像します。

しかし、いかにも満男らしい。高校サッカーだろうがJリーグだろうが代表だろうが、プレイするなら目指すのは試合に勝つこと以外に何がございましょうか。スバラシイ!

今なら「怪我に勝つ」とも加えておきたいところですが…。手術も無事済んだようで、何よりです。大丈夫、彼ならきっと勝てるはず。

どうせならこっちでゆっくり養生して、じゃじゃ食って、熊さんで盛商の試合でも応援してはいかがでしょう。寒いけど。

そして、この件で心を痛めてらっしゃる鹿ファンの方には、この曲をどうぞ。
CMに出てくるフットボーラーは、いずれも靭帯の大怪我から復活した選手。中には現在微妙な人もいるけど、ちゃんと復活できるという証明だと思う事にして、完治するようワタシも祈ってます。

Always look on the bright side of life - by Eric Idle


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by tototitta | 2008-10-11 22:24 | 小笠原満男 | ▲ TOP
満男はいいよ
(記/なるほ堂)

立ちはだかる膨大な仕事、月末の九州行きの算段も悩ましく、そんな時に限って風邪引く我が身が恨めしい。折角買った自転車も、ずっと車庫で雪解けを待っていたバイクも、情けないご主人様を待ちぼうけ。面を上げて窓の外を見れば、雪解けの山々に春の山菜が呼んでいる……。
しかしそんな最中にも、産まれたばかりの甥っ子の写真と↓を眺めれば、訪れる心地よき平穏。


第26節 9/22 アルビレックス新潟 ○−1
第27節 9/30 サンフレッチェ広島 ○−0
第28節 10/6 ヴィッセル 神戸 ○−2
ナビスコ杯 10/10 19:00 ガンバ大阪 ●−1
ナビスコ杯 10/13 15:00 ガンバ大阪 ○−2
第29節 10/20 ジュビロ磐田 ○−1
第30節 10/27 大分トリニータ ○−0
天皇杯 11/4 水戸ホーリーホック ○−0
第31節 11/10 横浜F・マリノス ○−2
第32節 11/18 柏レイソル ○−0
第33節 11/24 浦和レッドダイヤモンズ ○−0
第34節 12/1 清水エスパルス ○−0★
天皇杯 12/8 ヴァンフォーレ甲府 ○−1
天皇杯 12/22 Honda FC ○−0
天皇杯 12/29 川崎フロンターレ ○−0
天皇杯 1/1 サンフレッチェ広島 ○−0★
……………
いばらきサッカーフェス 2/24 水戸ホーリーホック ○−0
ゼロックス杯 3/1 サンフレッチェ広島 ●−2 PK3−4
第1節 3/8 コンサドーレ札幌 ○−0
ACL 3/12 クルンタイバンク ○−1
第2節 3/16 東京ヴェルディ ○−0
ACL 3/16 ナムディン ○−0


ギレン・ザビならこう言うね。
「圧倒的ではないか、我が鹿軍は!」
無論、油断大敵──「奢る平家」の倣いもある。前述のザビ家は倒れた。かの発言はいわゆる「負けフラグ」である。そもそも、やたらCM()が面白い印象しかなかったクルンタイバンクをはじめ、与し易い相手が続いた事も自覚せねば……。

とは言え、肝心の選手監督たちに「奢り」など一切伺えない以上は、我々の立場に於いては大いに我が世の春を謳歌したいもの。冬が厳しい分、無性に春に心躍る北国の民の性なのだ。



さて、
第2節の岩手対決、県人飯尾一慶擁するヴェルディを倒した後に、気になるニュースが。
『鹿島強化部長が岡田監督に小笠原推す』(nikkansports)
鈴木満取締役強化部長、岡田代表監督に仰って曰く──、
「満男(小笠原)はいいよ」

無論、鹿の過密日程の折、皆様の中には「鹿の強化部長としてはどうなの?」ってのもあるとは思うが、是非は兎も角、「貸し渋り」などしない所は鹿島らしい処。
「代表に取られる」ではなく、「国民全体のサポートで成り立つリーグで培った力を代表に還元する」「代表で学ぶ機会を与えて頂く」というスタンス。それが鹿の有り様。

それに、恐らく鈴木満取締役強化部長としても「今の満男のプレーが大好きだから、もっと皆に見てもらいたい!」という、裏表無き心あってのことと推察。それくらい、今の満男は良い。何れにせよ以前、イタリアにて苦闘する満男に宛てた言葉「30歳まで引き取らない」 を翻し、帰還を許してくれた部長から、今この評価。感慨深いものがある。

また、同記事内で部長曰く、
「ファウルやタッチラインに出さずに、自分のボールにできるのは今野満男ぐらい」

ここからも単なる鹿部長としての「我田引水」な発言ではない事が伺えるが、同時にこの評価、東北人として誇らしい。恐らく彼らをそう足らしめているものは、我らの祖先から連なる「狩猟採集民族としての血」であろう。そう、例え獲物を為留めても、獲物が崖下に落ちては狩りは失敗なのだ。

スマートでなく映る彼らの様なプレーは「激しさ、荒々しさ」と称される事が一般だが、僕は彼らのプレーにこそ「美しさ」を見る。決して飾らず、言葉少なく、しかし山に生きた者の末裔としての体幹の強さと、目前の獲物を屠るが為に妥協無く挑む様は、同じ山河に囲まれて生きてきた同郷の一人として強く心揺さぶられる。その後、我ら東北の民は北の蛮族とされ、武力にて否応なく「農耕文化圏」に組み込まれ、寒冷で稲作に不適な地であったにも関わらずそれを強いられた結果、幾度も飢饉に襲われてきた。その祖先の虐げられっぷりは、岩手の百姓の血筋としてはバイブルである『カムイ伝』をお読み下されば御理解いただけると思うが、そのような中でも生き続けた山人の精神と、また更に培われた反骨精神に由来するプレーが、今こうして世の人々を畏怖させている事は感慨に堪えない。

ともあれ、僕自身もこれまでも常に「満男(小笠原)はいいよ」と言い続けてきたが、今その中でも最上級の「いいよ」という思いがある。鹿の「お父さん」として、「お母さん(本山)」と一緒にチームを牽引する満男。現ポジションの最高峰P・スコールズに、限りなく近づいている。代表の話題の喧騒に巻き込まれても、今なら上手くやれるだろう。今は何も心配していない。

藤原道長が鹿党ならば、こう詠むか──
「この世おば わが世とぞ思う 満男の 欠けたることも なしとおもへば」
鹿に関しては、選手たちが結束して一戦一戦乗り越えていけば良い。「一線」の方は乗り越えなくていいが()。僅かな心配と言えば選手たちの怪我と、個人的に言えば浦和レッズファンの兄夫妻が産まれた甥っ子に「間違った名前」を付けないか、だ。飛行機恐怖症の件は、今の所心の棚に封じ込める事に成功している。



<特報>
盛岡商業高校斎藤重信先生が県教委のアシストを得て、留任が決定しました! 監督として、だけでなく先生として。

・夢再び 斎藤盛岡商高サッカー部監督続投『岩手日報』2008/03/19
・「後進につなぐ責任自覚」斎藤監督に聞く『岩手日報』2008/03/20

「教師で無くなったら、監督は後進に譲るほうがいい」
「サッカーの練習は1、2時間。選手にとっては他の学校生活の方がはるかに長い。目が行き届く教師でなければ、選手の個性を引き出す監督は務まらない」

──そんな先生の思いが叶った形です。大型車もまた増えました(笑)。
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by tototitta | 2008-03-21 15:33 | 小笠原満男 | ▲ TOP
第87回全国高校サッカー選手権決勝『友情の話』
(記/なるほ堂)
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1月14日(土) 第87回全国高校サッカー選手権 決勝
流通経済大学付属柏高校 4 - 0 藤枝東高校
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42年前。「彼」がその男に出会ったのは、奇しくも静岡県藤枝のグラウンド。
順天堂大学サッカー部の合宿で、2人は共に新1年生だった。

その時、練習の走り込みで全身痙攣を起こして帰された男の姿を彼はよく覚えている。その後の新入生歓迎会で「どじょっこふなっこ」を歌って以来、男の渾名は「どんじょ」になった。

卒業すると「彼」は千葉県の教育委員会に入り、「どんじょ」は郷里の農業高校で体育教師となった。何年か後、青森国体で再会した時、「どんじょ」は彼に言った。
「(遠野農業のサッカー部は)弱いけど、選手たちは一生懸命やって、教えてておもしれえんだ。へたくそなんだけど、おもしれえよ」
「実習でも牛のケツに手突っ込んで子どもを引っ張り出して……」
教員生活の楽しさ、サッカー部監督のやり甲斐を熱く語る「どんじょ」に、彼は思った。

「自分も現場に出よう」


市原緑高校を皮切りに、習志野、流経大柏で指導歴を重ねる内、宮沢ミッシェル、廣山望、玉田圭司といった名選手を育てあげ、彼はいつしか高校サッカー界の名将の一人となった。また「どんじょ」も同じく、選手権の常連監督として「東北のドン」と呼ばれ、寒さ厳しい田舎の自宅に選手を住まわせながら、小笠原満男を育てた。環境の違う2人だったが、2人はただサッカー選手をではなく、共に「人」を育てた。

交流は続いていた。今では有名になった、「どんじょ」が自ら購入したバスのハンドルを握っての関東遠征、その最初は千葉の高校で指導をする彼を頼ってであった。今彼はこう言って笑う──、

「うちのサッカー部は盛岡商業サッカー部の関東出張所だよ」

05年の冬、遠野高校に敗れて全国大会出場を逃し、新人戦にも敗れた「どんじょ」が再起の場として選んだのも、雪の無い流経大柏のグランドだった。新チームは着くや否やの試合で、0対7で敗れた。

「どんじょ」が喉頭癌に侵された──92年、本人からそれを打ち明けられるや、懸命に名医を捜し求め、自分の仕事も押して毎日病床を見舞ったのも彼だった。結果、かねて彼の紹介で盛商サッカー部が千葉の定宿としていた「始関旅館」の元女将が見つけてくれた名医の執刀により、奇跡的に声帯は一本残った。

いつしか2人は還暦も近づき、古い仲間でサッカーをやっているのも2人だけになっていた。18歳で出会って以来、互いに刺激し合い乍ら、助け合い乍ら──共に今やこの世界に知らぬ者のいない地位と功績を築いた2人だったが、選手権の頂点だけは縁遠かった。高校サッカーの監督たちの顔ぶれも大分若返った。

06年11月、今度は「どんじょ」は心臓冠動脈血栓で倒れた。慌てて見舞った彼だったが、術後の「どんじょ」の気持ちは既に直前の選手権にあった。彼は親友にこう言った。

「今回だけは(選手権の指揮を)やめとけ」

だが、どんなに大変な時でも周囲を気遣い、そしていつも前向きな「どんじょ」は、やはりいつものように答えた。

「大丈夫、大丈夫」


明けて07年1月、高校選手権。流経大柏の合宿所には盛商サッカー部のBチーム、応援部隊が寝泊まりしていたが、それは遂に大会最終日前夜まで続いた。1年前に自分のチームに0対7で敗れたチームが、自分たちの選手権出場を阻んだ千葉代表の八千代高校をも敗り、決勝の国立競技場に立っていた。彼は病を押して指揮を執る「どんじょ」の姿をTVで見ていた。会場に行ったら大泣きしてしまうから、現場には行けなかった。そして90分後、自分をこの高校サッカーの世界へといざなった親友は、一足先に夢を叶えた──。


それから1年、高校選手権決勝。
国立競技場の、彼は昨年親友が座っていた場所にいた。「夢は叶う」という、親友であり盟友である「どんじょ」が全国に発信したメッセージを彼もまた受け止めていた。ピッチでは、盛商とは兄弟の様な関係であった流経大柏サッカー部の選手たちが躍動していた。盛商のライバル遠野高校と同様に、その胸には「今年は自分たちが」という思い。

満員のスタンドには「どんじょ」の姿があった。その姿を、実況中いくら選手の名前を間違えようとも、「肉親の死」みたいな涙を誘う話は決して漏らさない日本テレビはしっかり捕らえた。昨年度優勝監督は、親友が育て上げた選手たちと、そして2人が42年前に出会った合宿地、静岡県藤枝市の選手たちによる決勝戦を笑顔で眺めていた。

流経大柏──小柄な体躯をスピードやドリブルといったスペシャリティではなく、身につけた完璧な技術で賄う新しいタイプのFW大前。鈴木隆行ばりの貪欲なファイトが異彩を放った上条。そして全く隙の無いプレス。対する藤枝東に為す術は無かった。得点ではなく、もはやシュートの本数が誉められる様な一方的展開。しかし、共に文武両道の両校の戦いは選手権決勝に相応しい、清々しい試合だった。

終了の笛が鳴った時、かつて「どんじょ」の情熱に駆られてこの世界に身を投じた彼は、その経緯と重なる様に、「どんじょ」を追う様に夢を叶え──気がつくと日本一の監督になっていた。真摯な友情がくれた贈り物。昨年親友が立ったお立ち台の上、インタビュアーは言った。

「最年長初優勝、本田裕一郎監督です」

この日、彼は40年来の親友である斎藤重信が昨年為した記録を1歳更新してみせた。
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最後に。
斎藤重信は昨年著した本の中で、本田裕一郎をこう語っている。
「(順天堂大学当時)田舎者の私にとって、静岡出身の本田はちょっと人種が違うという感じでした。彼は多才で、話もうまいし、歌もうまい、人を惹き付ける何かを持っていました。人によってはちょっと気障と感じる事もあるのですが、見かけと違って人に気遣いのできる信頼の置ける男です」


(敬称略)

<参考文献:「夢は叶う」斎藤重信著/「じょっぱり魂」吉沢康一著>
本エントリーは昨年度優勝・斎藤重信監督(盛岡商業)と、本年度優勝・本田裕一郎監督(流経大柏)お2人の、40年以上も続く不思議で、そして素敵な友情を皆様にもお伝えできたらと、そのエピソードを上記参考文献より一部引用、また参考とさせて頂きながら、まとめたものです。なお、皆様にも是非、両書のご購読をお勧めします。

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by tototitta | 2008-01-15 15:07 | 高校サッカー(岩手) | ▲ TOP
第86回全国高校サッカー選手権 岩手県代表 遠野高校#2
(記/なるほ堂)

▼「勝利のカッパ」も登場
遠野応援席に存在感たっぷりの「あいつ」が帰ってきた。スタンドで一言も話さないのが伝統というカッパの「カリンちゃん」だ。遠野高生も
「池で捕獲してつれてきた」
「太平洋を泳いで駆けつけたのではないか」

と詳細は知らない様子。昨年11月の県大会決勝以来の登場だが、水野梓真君(2年)は「今日のカッパはいつもより動きがいい。心強い応援要員だ」と歓迎する──

【2008年1月3日付け『岩手日報』紙面より】(赤字/なるほ堂)

上は、緒戦に勝利した時の地元紙記事。恐らく河童を「実在するもの」という前提で書く新聞は東京スポーツと岩手日報くらいだろう。勿論僕もその存在、信じて疑わない。例えかつてこれと同じ外見の物の中に自分が……うわ何をqあwせdrftgyふじこlp。

失礼。では、今日の試合。

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1月5日(土) 第87回全国高校サッカー選手権 準々決勝
遠野高校 0 - 2 高川学園
前半30分 村上(高川) 後半23分 金城(高川)
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●河童、故郷へ帰る──
河童のカリンちゃんの帰る場所が、池なのか太平洋の向こうかは判らないが、遠野高校イレブンは今日、故郷の岩手・遠野への帰路についた。3年連続の国立はならなかったが、岩手県勢としては「4年連続の8強」という立派な結果を残して。

サイドを簡単に割られ、何度も決定的なピンチを迎える──それはいつもの事。正直、遠野のサッカーにはこの舞台に立つチームとして足りないものが沢山あるが、しかしそれを埋めるものもちゃんとある。だが、この日ピッチ上にあった「差」は、それでは埋まらなかった。

高川学園は「ポゼッションサッカー」を唱えるだけあって、選手のボールの持ち方が実に「安定」していた。それが遠野側に「いつもなら中盤で奪えるボールが、奪えない」という戸惑いを生んでいた様にも見えた。奪いに行ってはかわされ、その度に攻守全体が不安定な状態に陥った。また、これは遠野のいつもの弱点なのだが、ファールトラブル(累積警告)で重要な選手を欠き、それで守備ブロックが崩れてしまう現象が一昨年に引き続き繰り返された。売りである「激しい当たり」故に仕方ないかもしれないが、そこはやはり今後「全国で最後まで勝ち残るチーム」になる為には埋めなくてはならぬ点だろう。



●「勝者は常に諦めない」──
それは毎試合、遠野高校控え室のホワイトボードに書かれる言葉。高川高校の監督にも「遠野の方が走りで勝っていた」という言葉を頂き、その姿勢は最後まで貫いたと思う。けれど、今彼らが置かれているのは「諦めなかったのに、敗れた」という現実……。
だが、「勝者は常に諦めない」──それはこの1試合の為の言葉ではない。確かに今日は敗者、しかしそれは負けた今こそ心に刻む言葉だろう。そうやって、もっと強くなっていけばいい。

そう思う反面、やはり僕は盛岡人。県央の民として県南のライバルが今、次に繋がる「教訓」を得たことに怖れもある。全国の皆さんはテレビで岩手の冬の風物詩「わんこそば大会」の映像をご覧になった事もあるだろうが、実はあれは県央と県南で、別々に年一度開催されている。
「全日本わんこそば選手権」(県央/盛岡市開催)
「わんこそば全日本大会」(県南/遠野市に隣接する花巻市開催)

共に「全日本」を冠し、共にルーツを譲らない。その思いは、「サッカーが強いのはどっち?」という問いに於いても一緒だ。県代表としての遠野高校は勿論応援するが、こうしてリセットされた以上、僕は盛岡商業高校の勝利こそを祈る。

何より警戒は、今回敗れた遠野高校には1、2年生が多い事。
MF吉田吏玖選手とFW川原峻選手は共に1年生ながら、発揮したその能力の高さには驚いた。また、再三堅守を見せたGK植松健太郎選手と、この日出場停止によりスタンドから悔しい思いで敗戦を見つめた浦田祐輔選手も未だ2年生。共に来年、盛商の前に大きく立ちはだかるだろう。

更に、その向こうにはもっと強力なライバルたちが居る。今回遠野高校が対戦したチームのレベルは、皆一様に高かった。昨年の盛商のサッカーではもう全国では通用しない。無名校も含め、高校サッカーはどんどん成長している。時が立つのは速い。だけじゃないテイジンのカトリーヌも一年見ぬ間に随分と大きくなった。だが、我々は信じてる。我々がまだ貪欲に夢を抱いている以上、夢は叶うはずだ。



●「全国大会へ出て、優勝旗を全員で返しにいこう」──
その言葉で始まった今年度の盛岡商業高校の戦いは県予選決勝で終わった。開会式での前年度優勝校による優勝旗返還。3人だけの寂し気な赤白ジャージに涙が滲んだ。その後、主将としての最後の役割を立派に果たした諸橋遼亮選手はこう言った。
「優勝旗を返して、これで終わったんだなと実感した」
その傍ら、林勇介選手は悔しさを滲ませて言った。
「国立は戦う人が来る所で、試合に出られない自分たちが来る場所ではない」

そして──
その姿を見送ると、齋藤重信先生はすぐに1、2年生の待つ関東の合宿地へ飛び、いつもの表情でこう仰った。
「負けた後こそ、鍛えがいがあるってもんだろう?」

* * * * * * * * * * * * * * *

また始まる、彼らの新しい戦いを見守っていこうと思う。
とりあえず今日、ようやく僕の「2007サッカーカレンダー」は終わった。
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by tototitta | 2008-01-05 19:59 | 高校サッカー(岩手) | ▲ TOP
第86回全国高校サッカー選手権 岩手県代表 遠野高校#1
(記/なるほ堂)
──────────────────────────
1月2日(水) 第86回全国高校サッカー選手権 二回戦
遠野高校 1 - 0 江の川高校
後半40分 藤嶋(遠野)
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昨年、全国を制した盛岡商業高校監督・齋藤先生は仰った──
「夢は叶う」
しかし、その偉業は彼らにとってむしろ「夢が遠のく」ような出来事だったのかもしれない。快挙に湧く岩手にあって、「いや、俺たちの夢は叶ってないぞ」という悔しさ。自身の「夢」の前に立ちはだかる、「日本一の高校」という巨大な山。
だが、その山を越えて彼らは全国の舞台へと辿り着いた。
「夢は叶う」という言葉を、自分たちのものとする為に。

●河童は怖いのだ──
遠野高校にとっては選手権初戦。ロスタイムに虎の子ならぬ「河童の子」の1点を奪っての勝利。結果的には昨年から続く、岩手県勢の「選手権連勝記録」を守った形だが、江の川高校の丁寧なサイド攻撃に大いに苦しめられた試合だった。

遠野のサッカーの特徴は、中盤での激しいプレス守備。攻撃はそこで奪ったボールをFW個々のアグレッシブな縦突破に頼るのみで、味方のフォローは極めて少ない。判り易く言えば日韓W杯時の日本代表。もっと端的にいえば「縦ポンサッカー」。

県下の宿敵・盛岡商業に勝つ為の戦術なのだが、必然的に得点力は低く、ましてや今回の様に優れたGK相手だと苦戦は必至。彼らの「強い相手の足下をすくう」スタイル、その真価が発揮されるのはこれからか。

江の川高校は実に良いサッカーをしていた。TVの向こうに見るそれは、一般的な言い方をすれば遠野よりも優れていた。だが、若干リアリズムを欠いていた様にも。終盤は脚を痙攣させる選手が4、5人居た。果敢に人数をかけて攻撃する事で、むしろ自分たちの脚を殺してしまった。それが最後の失点に結びついたのだろう。そこに、「打倒盛岡商」というテーマを持ち、ひたすら信念を持って「リアリズム」で勝ち抜いて来た遠野高校との差を感じた。

それにしても遠野の選手は「強い」「激しい」「何も怖れない」
そのサッカーは盛岡商とはまた別の形で、国見高校が雌伏の時にある今、日本サッカーの進むべき道の「一つ」を顕している。スタンドから声援を送る、愛らしい河童の「カリンちゃん」の姿に騙されてはいけない。岩手の河童の正体は↓だ。

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──怖いのだ。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


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1月3日(木) 第87回全国高校サッカー選手権 三回戦
遠野高校 2 - 1 近大和歌山
前半26分 藤嶋(遠野) 前半32分 宮本(近大和歌山)
後半15分 大上(遠野)
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●河童は捕まらない──
圧倒的な攻撃力を誇る相手に、最後は10人になりながらも堂々と逃げ切った遠野高校イレブン。その姿、例え「河童捕獲許可証」を持っても、未だ誰も使えられない河童の如く──。

近大和歌山、背番号8浦島君の突破と、遠野河童ディフェンスの戦い。なんとも民話めいた対決だが、その激突は浦島君の圧勝だった。強豪・前橋育英高校を倒して来た近大和歌山の強さは本物。昨年の覇者・盛商よりも強い……正直この試合、両校の差はブラジルと日本くらいあったかもしれない。ご覧になった方はご同意頂けると思うが、10回戦えば9回負けるレベル。

しかし遠野高校は勝った。数少ないチャンスを決めてみせた得点場面も、最早「河童の仕業じゃ」としか、説明できない。敢えて探せば、遠野のFWの長所「待っていても、どうせ俺たちにフォローは来ない」という開き直り、そこから生まれる積極果敢さが生んだ得点か。前線のローンウルフ・大上(おおかみ)君のケレン味の無さは心地いい。

だが、近大和歌山の攻撃は速く、そして分厚く、遠野のそれに劣っていたとは思えない。
ならばやはり……敢えて言おう、これが「サッカー強豪県・岩手」の底力なのだ。攻撃の質量に圧倒されても、しかし勝ちを掴み獲る──それは強敵ひしめく岩手県下で、切磋琢磨される中で培われた「本物の逞しさ」。

フルタイム通してのピンチの連続、だが不安に思う我々を他所に、遠野選手は自信に満ちていた。もう何年も盛商ウィングに「抜かれ馴れ」している遠野守備陣は、今更この試合で何度サイドを突破されても「河童の屁」だったのだろう。

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「それくらいじゃ負けないよ……。
それくらいじゃ負けないから、僕たちは岩手県代表なんだよ」

──テレビに映る河童のカリンちゃんの瞳も、そう言っているようだった(この部分、妄想)。同時に、自分の中で未だに見つけあぐねていた「何故、県大会決勝で盛商は敗れたのか」──その答えも見つかった試合だった。この逞しさを、遠野はあの悔しさの中から培った。この逞しさが、盛商には無かった。でも、今悔しさを抱えてテレビを見ている盛商イレブンは、必ずやこれを更に越えるだろう……。

ともあれ、これで遠野高校はベスト8進出、しかし岩手県勢としては信じられない事に、これはまだ「ノルマ」の内だ。何より、彼らはまだ夢を叶えていない。
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by tototitta | 2008-01-03 22:23 | 高校サッカー(岩手) | ▲ TOP
『宿命』は続く──岩手クラシコ’07
(記/なるほ堂)

盛商【0-0 延長1-1(PK2-3)】遠野

勝利をほぼ手中にしながらも間際に追いつかれ、遂には敗れた昨年度覇者。呆然としながら「一体何が起こったのか?」と立ちすくむ応援席。眼前に広がる不可解……こんな時、昔の人たちはこう云ったという。
「カッパの、カッパの仕業じゃ……」

──今回に関しては、それこそが事実だ。



「やはり遠野が決勝に来たか……」
高校サッカー選手権岩手県予選決勝のカードは、今年も盛岡商業高校遠野高校。今季、遠野の実力に疑問囁かれ、また盛岡市立高校ら新興勢力の躍進著しくも、しかしこの対決に他が割って入るのは尚早か。五年連続の「岩手クラシコ」──ただの高校サッカーの対決ではない。これは地域と地域の自尊心の対決なのだ。

盛岡遠野──同じ南部藩にありながら宗家・盛岡南部氏の領地と、遠野南部氏の領地(←ご指摘を頂き、訂正しました。07/11/19)。
歴史文化や住民気質すらも異にする両者は、さながら「バルセロナとマドリッド」の如き積年のライバルでもある。無論、住民同士がいがみ合っているわけでは無いが、
「(他県民から見て)一緒にされたぐね」
という自尊心、そして
「おまいらだけには負げね」

という潜在的な対抗心は、今なお根強い。(後述するが、サッカースタイルも全く違う)

故に我ら岩手県民は、これまでの何十年にも渡る両校の県代表争いに、
「高校サッカーを越えたもの」
を重ね見て来た。だからこそ、クラシコ。
(ことに遠野側の方にその意識、強いとも聞く。地域実情を考えれば、それも然りだろう。)

更にこの両地区──、
伝説を探れば「鬼と河童」。馬で申さば「チャグチャグ馬コとオシラサマ」。選挙の区割りも「岩手一区と岩手三区」。更に広く、各々を有する「県央、県南」で区分すれば、偉人を挙げれば「石川啄木と宮沢賢治」。そして今を代表する「先生」ならば──
「齋藤重信先生と小沢一郎先生」
であろうか。

奇しくも同じ今日11月4日、志半ばに座を去った二人。
例え文化を異にしながらも、しかし重なりあう必然──いわば「宿命」が、脈々とこの両地区には存在するのだな。帰ってからテレビを見てビックリしたよ、小沢さん。

……何れにせよ両地区の因縁の深さ、いささかご理解いただけただろうか。否、言っている僕も良く分からないので、前置きは以上で済まそう。



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盛岡南公園球技場、到着は試合開始一時間前──。
満男も羨む様な、既に「満員」のスタジアム。「林君に豚の顔(※)なんか投げるんじゃないよ。鹿オタの八つ当たりなんだから」というMinacoを訳あって家に残し、一人観戦。(※/フィーゴの故事参照)

盛商ベンチにはV2祈願の千羽鶴、一方の遠野ベンチには千羽カッパが揺れる。
アップ中の「赤」と「青」を見遣る。昨年と変わらぬ風景乍ら少し違うのは、方や「全国覇者」であり、もう一方はそれを複雑な思いで見ていたであろう、一昨年の「全国四強」。正月の盛商優勝時には殊勝なコメントを寄せていた彼ら遠野選手たちだったが、しかし内心では悔しくて溜まらなかったはず。それでこそ健全だ──「県勢初の国立」という自慢を、翌年に「県勢初の優勝」で返されたのでは。
「セリエAを制覇したら、ライバルがCL獲っちゃった──そんな昨季のインテルとACミランみたいなもんか。青と赤だし」「いや、そんなもんじゃないだろう」……そんな声も。

空は快晴、久方の陽気。盛岡市民として盛商応援席に陣取り、アップする「彼」に視線を送る。
僕の気持ちを察したのか、山口百恵が歌う──
「こんな小春日和の穏やかな日は……もう少し 林君のファンでいさせて ください」
明日にも浦和へ嫁ぐ彼、である。もしも敗れれば今日が今生の別れだ。
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そして試合は始まった。
高い位置から攻める盛商、その裏に仕掛ける遠野。「組織の盛商、個人技の遠野」も今は昔──近年盛商が個人技を身につけ、結果に於いて一歩先んじると、遠野はそれに対抗する様にフィジカルに磨きをかけて来た。決して同じスタイルを取らないのが、ライバルのライバルたる所以か。

なおも続く、分厚い攻撃vsカウンター、組織戦術vs個々の激しさ……詳しい試合内容はニュースサイトに譲るが、両校の意地が散らす火花凄まじく、ゲーム中の遠野のPK失敗など、もう見ていてたまらないほどの好ゲームだった。確かに「これが近年全国トップレベルの結果を出している両校の対決に相応しいサッカーか?」と問われれば、お世辞にも頷けないゲームではあったが、しかしそこに垣間見える「勝負にかける心」は、何処に出しても恥ずかしくないもの。こういう戦いを経験せぬまま幾らサッカーが上手くなっても、しかしそこには人としての成長も無く、また見る者に感動を与える力も得られないだろう……そんな試合。そして、勝者は遠野。



以下、全国の皆さんが知りたいだろう「何故、盛商が敗れたのか?」を僕個人の分析で記す。
  • 前線の選手に、昨季の様なスピードが無かった。
  • 故に、細かい繋ぎやテクニックで攻撃を仕掛けたが、結果的にダイナミズムに欠けた。
  • そうなればフィジカルに長けた遠野の術中。盛商には焦りが拭えなかった。
  • 昨季あれほど全国を席巻した盛商の運動量……しかし盛商選手の方が先に足が痙った。
  • 遠野選手の仕上がりが勝り、逆に盛商は怪我、調整不足が伺えた。
  • これは言いたくないが、正直審判の細かいジャッジには疑問があった。

勝負の流れに於けるアヤは14番の途中交替と、針を打ちながらも起用し続けた10番にあったのかもしれない。勿論有能な選手が豊富に入部する私学と違い、「林君の一枚看板チーム」にならざるを得なかった今季故に、彼を最後まで外せないのは100%理解できるが、同じ東北、秋田出身の落合監督ならば……そんな思いも片隅に。

しかし、以上は「言い訳」に過ぎず、語るべきはやはり──
「遠野は強かった」
の一点であろう。我々は忘れていたのだ。
「河童は、実は凶暴なのだ!」
失ったプライドを奪い返すが如き、気迫……彼らの削りは、凄まじかった。守備に追われても河童の屁。「岩手県は盛商だけじゃない!」「奴らに、これ以上いい思いをさせるな!」「散々苦汁をなめさせられた齋藤先生に、有終の美を飾らせてなるものか!」「誰でもない、俺たちが引導を渡す!」……勝手に代弁して申し訳ないが、ともあれあれ程の「信念」を持ったファイトは、近年W杯ですらお目にかかれないものだった。

それに、過ぎた事にクヨクヨしてはいけないのだ。齋藤先生の残された言葉から、我々は学ばなくては、語り継がなくては。要は敗北から学び、それを次の力に変える労を惜しまぬ事だ。それこそが全国制覇をもたらした、先生の「情熱」だ。

先生の著作には若かりし頃、即ち先生がロマーリオそっくりだった頃(『夢は叶う』内写真参照)から、失敗を幾度も重ね、しかしそれらを常にプラスと捉え、糧にして来た歴史が綴られている。必読。そこにあったのは、最近便座を上げるのすら億劫になっているモノグサな僕にとって、思わず背筋を伸ばさずには居られない情熱の数々であった。これで終わりじゃない。先生が退任されても、僕ら盛岡市民の心に灯った明日への情熱は消えない。

しかし、もう一つだけ心残りを。
決意の丸坊主で、一人別次元の強さを見せてくれた諸橋主将。彼の腕章姿をもう見れないのが寂しい。敗れたとはいえ、君は歴代に恥じないキャプテンだった。僕の知る「背番号6」で、最高の選手。これは高校サッカーとか岩手だけの話じゃない。君にもう一度会いたい。君はもう一つ上のレベルに行ける選手だし、行くべき選手。それが認められないなら、日本サッカー界のスカウトの目は、全員節穴だ。その日を待つ──ただし、どうか着るユニフォームを間違わないでくれ(涙)。



勝利に湧く、遠野応援席を眺める。
盛岡に齋藤先生の物語がある様に、遠野には遠野の素晴らしいサッカー物語がある。今度はそれを全国の皆さんが知る事となるならば、それもまた喜びだ。
「この攻撃で、全国でどうやって点を取るつもりなのか?」「一昨年と同じく、例え勝ち上がっても退場者続出で力つきるのでは?」……そんな思いは一旦脇に置いておこう。おめでとう。今は素直に祝福を。なぜなら、これこそが盛商のサッカーを強くして来た源だから。

お互いのすぐ近くに、全く違う思想を持った、絶対に負けられぬ強力なライバルが居る──それらが切磋琢磨する事によって岩手の高校サッカーはここまで来たのだ。正にレアル・マドリッドとバルセロナ──我々は、なんと幸福なのだろう! 負け惜しみでも何でもなく、今日の敗北はむしろ昨年「叶った夢」に、続きがある事を示しているのだ

これからも「両翼」が羽ばたき続ける岩手は、もっともっと高く飛べる。強くなれる。ビートルズとストーンズ、栃錦と若乃花もそうだったじゃないか……古いか。ともあれ、そうでなくては、強くはなれないのだ。余談だが、最近の鹿島がタイトルから久しいのは「ベルディとジュビロの体たらく」のせいなのだ。だから、盛商卒業生である山本脩斗は梃入れとして今季ジュビロ磐田に行くのだ。そうなんだ、そうなのよ。全ては鹿島の為に……まあ、今はそう思わせてくれ(涙)。


されど正直に申そう。生粋の盛岡人としては未だ心整理付かず……例え県代表として応援は出来たとしても、果たして昨年度の様な興奮の中で遠野高校を追いかける事ができるだろうか? 県民一丸、それは可能だろうか? 

「今こそ……」
その時だった。
遠い県南方面から「声」が聞こえた──
「……小異を捨てて、大連立の時ではないかと思うわけです」

それで良いんですか? センセイ、本当にそれがいいのですか?
答えの見つからない僕は家路に付く道すがら、南の空に向かい──やはりこう答えるより他になかった。
「…持ち帰って協議させて頂きます。ハイ。」
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by tototitta | 2007-11-05 18:49 | 高校サッカー(岩手) | ▲ TOP
高校サッカー岩手県予選、決勝速報!!
(記/なるほ堂)

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「今年は僕だお!」


詳細は後ほど!
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by tototitta | 2007-11-04 16:40 | 高校サッカー(岩手) | ▲ TOP
高校サッカー岩手県予選、そして……
(記/なるほ堂)

日本全国の高校サッカーファンの皆様、こんばんは。
二年連続で国立(四強)進出、昨年度優勝と、今や高校サッカーの強豪県と言っても憚り無いこの岩手県地区──その覇者を決める県予選も、そろそろ佳境に入って参りました。

本日決まった四強は順当に、盛岡商、不来方(こずかた)、遠野、盛岡市立
……我が母校は敗れてしまいましたが、八強に入っただけで良くやった方でしょう。

注目の準決勝は明後日行われ、決勝は11月4日13:30から、盛岡南公園競技場にて行われます。
最近の県勢の活躍から、何れもかなりの高レベルの試合が予想され、勿論昨年の覇者盛岡商といえども安泰と言うわけではありません。「四強のどのチームも国立に行けるレベルにある」とも言われており……まるで静岡県状態ですな。うはうは。

今の所ちょっと厳しいのですが、決勝をなんとか生観戦ができたら、また昨年の様に皆様にご報告したいと思います。(昨年の決勝の模様

* * * * * * * * * * * * * * *

で、ここで全国に数人(以上)居られますでしょう「岩手サッカー&鹿島アントラーズファン」の皆様に、悲しいお知らせ。
先日浦和の練習に参加し、その動向を危惧(?)されておりました……
林勇介選手、正式に浦和入団決まりました岩手日報)。一緒に泣きましょう。

浦和ファンの方、もう僕の手から彼は離れて(?)しまいますので──これからはどうか僕の替わりに彼を暖かく見守り、育ててやって下さい。粗末に扱ったら許しません。

「林勇介って誰?」「去年の決勝でPK外した選手?」
──と言う方、ライアン・ギグスと思って下さい。ユナイテッドのパクリの浦和ユニ、さぞや似合う事でしょう(嫌味)。

天才肌、ボールタッチが非凡なウィンガーである彼の武器は、実戦的なドリブルとスルーパス。先の仙台カップでは東北代表の10番を背負い、同世代の日本代表とブラジル代表に勝ってしまいました。性格は強気、「じょっぱり」と言うか「やんちゃ」ですが、まあ何かトラブっても大目に見てやって下さいな。で、どうか日本代表まで育ててやって下さい。また僕らが応援できる様に。

勿論彼の目標であったプロ入りが叶った事は嬉しい事。齋藤先生もさぞやお喜びでしょう。目の高い浦和スカウトにも、素直に頭を垂れましょう。
しかし、先に磐田入りが決まった山本脩斗(盛商→早稲田)に続いて、ずっと期待して応援していた選手が「道義上応援できないクラブの選手」になってしまったその思い……察して下さい。来年の福士徳文選手(盛商→順天堂)、三年後の成田大樹選手(盛商→流通経済大/※先日の鹿島との練習試合で出場しました!)の鹿入団でしか晴れぬ、やるせなさ。

「オレの大事な選手をよくも……」「鹿のスカウトは何をしているのか!」
──そんなのは適当ではないでしょう。八つ当たりでしょう。でも今日だけは、さだまさし『親父の一番長い日』の、親父の気分です。

“わかった林はくれてやる
そのかわり一度でいい 奪って行く君を
浦和を殴らせろ”

と、

鹿ファンとして……。
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by tototitta | 2007-10-26 20:17 | 高校サッカー(岩手) | ▲ TOP
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