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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
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スコットランドを思う映画『Dear フランキー』
(記&画/minaco.)


スコットランドを思う映画『Dear フランキー』_d0031385_2137344.gif


常々、スコットランドは岩手(主に南部藩)と似てるような気がしてた。

ネス湖のネッシーと、遠野の河童。古城の幽霊伝説と民宿の座敷童子伝説。ハイランダーと蝦夷。ロブ・ロイとアテルイ。スコッチ・ウイスキーと、南部杜氏。労働党支持者が多数派のスコットランド、選挙でいつも民主党が圧勝する岩手。更に、盛岡の手織製品ホームスパンはスコットランドがルーツとか。

気質だって通じるかもしれない。虐げられた歴史による自虐、権力に対する反骨心。お世辞や虚飾が苦手。アイリッシュの持つパッションに比べりゃ地味だけど、かなり頑固で強情ッ張り。

先日観たのは、そんなスコットランドの寂れた港町を舞台にした、良い映画でした。
『Dear フランキー』('04)。
ママとおばあちゃんと一人息子のフランキーくんは、各地を転々とするうちにここへ辿り着いた。フランキーくんは難聴なので手話を使う。楽しみは、まだ見ぬ船乗りのパパとの文通。パパは旅先からいつも美しい切手を送ってくれる。

だが本当は、パパは船乗りじゃない。その手紙はママによる優しい嘘なのだ。大人の事情など知らぬフランキーくんは、パパがこの町に寄港する日を楽しみに待っている。嘘をつき通す為、ママは見知らぬ男をパパに仕立て、息子に会わせようとする──

寒々とした海辺。耳慣れたスコットランド訛り。見覚えあるリンクスの芝生。フィッシュ&チップスの店。家の中や人々の装いなど全体的に茶色っぽい。妙に郷愁を抱くような暮らしぶり。

スコティッシュって親切というか、世話好きなんだなあ。初対面だと無愛想なのに、みんな面倒見がよい。頼まなくても余所者の家族に親身になってくれる。これがアメリカ映画だったら、ママ1人で必死にパパの代役を探すところだけど、すぐお隣さんが紹介してくれるのが凄い。

そういや、岩手でも。先の菊池雄星くん(花巻東高・盛岡出身)のドラフト騒動の際、県民は皆「おらほの息子」同然に気を揉んだ。彼が会見で涙した時にゃ「あんたな優しい子を泣がせるどは…」とハラハラし、慣れない喧騒に戸惑った。結果、西武で良かったなや。やはりスコティッシュも岩手人も、そうゆう性分なのかな。

さて、果たしてフランキーくんは現実に気付くのか…って展開は、先が読めそうで読めず、最後には意外な真実が待っていた。説明しすぎない映画だし、映画は説明しすぎない方がニュアンスが広がる。殆ど声を発しないフランキーくんだからこそ、秘めた感情が伝わるのだ。

英国映画の子役は大抵が幸薄い役柄で、どこか冷めてる感じが逆に健気。また、ブレイクする前のジェラルド・バトラー(スコティッシュ)が出ていて、無骨な船乗りによく似合う。彼の役名「ストレンジャー」ってのが良いなあ。

厳しい現実に対し、大人も子供も精一杯頑張ってる。ママはやはり頑固で、自分なりに様々な問題に立ち向かう。フランキーくんはいじめっ子にも動じず、いつしか味方に付けてしまう。強情でタフな姿勢が清清しい。

ワタシは現実に少しだけファンタジーが混じってる映画が好き。英国映画ではあまり安易な救いを求めない。そもそも彼らは幸せを眼の前にしても、遠慮がちだ。だからドラマティックな変化などないけれど、やがて人々が助け合い、ほんの少し幸福に向かう。ヘヴィな設定なのに、とても心温まる余韻が残った。
by tototitta | 2009-11-12 21:42 | 映画 | ▲ TOP
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