(記/minaco.)
*7/18 改訂
この度、ワタクシがカバーイラストを担当させていただきました本が発売となりました。
じゃーん!
『日曜日のピッチ 父と子のフットボール物語 』
ジム・ホワイト著/東本貢司 訳(株式会社カンゼン発行)
そう、ユナイテッドファンなら一家に一冊置いておきたい
『マンチェスター・ユナイテッド・クロニクル』 の著者による、英国フットボール小説です。本国では2007年に発表され、多くの共感を呼んだとゆう話題作。
英国フットボールのお好きな方、
更にユナイテッドファンの方、
中でも、ポールさんファンの方には特に強くお薦めします!
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描かれるのは、作者が息子の所属するU-14チームの監督として見た、フットボールとその周辺の普遍的な日常(些細な出来事から決して忘れられない事件まで)であります。ニック・ホーンビィの『Fever Pitch(僕のプレミアライフ)』みたいに、英国人ならきっと身につまされるエピソードばかりに違いありません。勿論、我々にとっても頷く事多し。
原題が
『You'll Win Nothing With Kids : Fathers,Sons and Football』と聞けば、ユナイテッドファンにはピンと来るものがあるでしょう。ユナイテッド関係者がしばしば登場するし、ポールだのライアンだの少年チームの選手達もどこかで聞き覚えのある名前ばかりなので、ついニヤニヤしてしまいます。自ら監督業とチェアマン業に翻弄されるジム・ホワイト氏は、マンチェスター生まれでスポーツライター&コメンテイターが本業。
監督としての彼は、とてもじゃないけどファーギーのようにはいきません。あんなに非情になれる訳ない。相手が14歳以下、しかも勝者のメンタリティなど求めようもないレヴェルでは尚更。クラブは侭ならず、試合も侭ならず、人間関係も侭ならず、家族や息子とのコミュニケイションも侭ならず…。
例えば、アメリカではキャッチボールが父子関係に欠かせない役割であり、英国労働者階級の場合はフットボールが父子の間を繋ぎます。日曜日はボールと芝と仲間を求め、ある者は地元クラブのスタジアムへ、ある者は少年フットボールチームへ。
各地に芝生で何面ものピッチが広がる場所があり、日曜は様々な年代で多くの試合が開催されるのです。さすがフットボールの母国、但し王国ではない訳で。テニスだってゴルフだってラグビーだって、聖地はあるのにチャンピオンが居ない。イングランド代表もW杯で勝てないし。父と子は往々にして敗者の立場をも共有してしまう。
まるで英国映画『フル・モンティ』や、ケン・ローチなどによくある悲哀と味わいが沁みてきます。また、ナンセンスなトラブルやどこか几帳面に自虐的なツッコミ視点はモンティ・パイソンみたいに可笑しい。そしてこの『父と子のフットボール物語』が、とても奥ゆかしい距離感でもって「それでもささやかな幸せはある」と伝えてくれるのでした。
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とゆう感じで、ワタシも非常に面白く読んだ小説なので、どうぞ最寄の書店で見かけたら是非お手に取ってみて下さいませ。更に、お知り合いに薦めたりしてもらえれば泣いて喜びます。何卒よろしゅう!