いまでこそまあなんだけど、やはり怪獣映画で育った平均的日本人としては見逃せないであろう「サラマンダー」を見た。以下感想。
・和製怪獣映画の王道みたいな始まり方に萌え〜。 無茶な設定を強引に納得させるナレーションの畳込み方も、お約束だよね。
・舞台設定、強引だけど上手いなー。あっという間に全世界が焼け野原って、
うまく予算削ったな、と(笑)。お金がかかるミニチュアとか、逃げまどう群集とかの怪獣パニック映画お約束のシーンもこうやって省けるわけね・・・ムフフ。
・でも、こういう予算削減方って、知恵だよなぁ。ストーリーより作り物に金かけてメタメタになっちゃう日本映画も、こういう知恵を参考にしてみては? どうせ映像じゃ本場にかなわないんだから。
・
スターウォーズ劇には笑った。このシーン好き。
・にしても、なんで日本公開時にもっとプッシュしなかったんだろう?
日本怪獣映画への欧米人のオマージュって感じで。どう見ても「お前、ギャオスとかラドンとかレギオンとかが好きなんだろう!」感がヒシヒシ伝わって来るよね。でも・・・、下手にくらべられると邦画の立つ瀬が無いのかな?
・役に恵まれないのか、単に力不足なのかわかんないけど、何故か不遇感がプンプン漂う俳優
マシュー・マコナへぇ〜が、珍しくおいしい役。ラストシーンにゃ
20へぇ〜。この人って、矢印鼻族(こういう顔→
|・↓・|)なんで個人的にTOKIOの松岡君に似てると思ってたんだけど、そういやゴジラに松岡君出てたな〜と。ちょっと不思議に。
・苦言。飢えが迫っているはずなのに、みんな
血色が良すぎますよ、と。体格がマッチョ過ぎだし。せめてマシニストの半分くらいでも痩せたら切実感も増しただろうに。
・なんで舞台がイギリスなのに、
砦の中の住人が子供も含めて白人ばっかりなのかが不思議。もしかして有色人種は砦に入れてもらえなかったとか? なんかある種のユートピア思想のコロニーに見えて、変に想像してしまいました。考え過ぎ。
・クライマックスは拍子抜け。ちょっと
サラマンダー弱すぎじゃないの? あの程度で退治できる奴に世界が滅ぼされたってのが解せない。やっぱ、所詮は低予算で仕上げる為に、設定を全世界焼け野原にしましたって感じなのかな〜。
・エンディングに斧を地面から抜くのって、さりげないけど
アーサー王だよね。
で、総括。
総じて、欧米のパニック映画のテーマは苦境にも屈しない人間の強さ。つまるところフロンティアスピリッツ礼参なんだよね。怪獣とか天災とか宇宙人とか、その時々の流行りで脅威の形は違えど、言いたい事は同じ。
ビバ、人間力みたいな。ちょっと鼻に付く。
転じて、日本では人類の愚かさを啓蒙する自然礼参映画。大いなる力の前には人間などちっぽけで無力なんだよ、的な。そりゃ、わかるけど、映画的爽快感は薄いわな。
別に蛾の化け物とか、火を吹く亀と心を通わせようなんて思わないよ、普通。
んで、どっちが良い悪いもないけれど、この映画を見るとそんな同モチーフに対するアプローチの違いが浮き彫りになっていて興味深いな、と。
なもんでサラマンダー、映画斜読み派の人は楽しめますよ。いろいろツッこめてね。でも「サラマンダーの逆襲」とか「サラマンダー対メカサラマンダー」とかは、要りませんよ、と。
ps/これを書いていたら「ロンドンの地下で爆発」との報が。びっくり。こういうのは映画だけで十分、現実はいらない。
(記/なるほ堂)