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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
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映画で語るW杯出場国 #11
『太陽は、ぼくの瞳』で読み解くイラン代表

例えば岩波ホールやフランス映画社配給の英語圏以外の映画には、ハリウッドとは反対に位置するものを期待されているような気がする。ハリウッド映画がファーストフードだとしたら、映画産業大国とはいえない小国の映画は郷土料理、スローフードみたいなもの。決して優劣ではないのだが、馴染みがないから固定観念でイメージしがち。

イラン映画はここ10年くらいでかなりの認知度を得たと思う。筆頭は今や巨匠アッバス・キアロスタミ。
テオ・アンゲロプロスにも通じる長回しで、決してドラマティックな見せ場などないものの、深い余韻を残す映像スタイル。正に岩波ホール好み。

イラン映画が世界で評価を高める中、やがてイラン映画第3世代として登場したのが 『運動靴と赤い金魚』のマジット・マジディである。この作品も子供の素朴な日常を通してイラン社会を描いた珠玉作であり、美しい色彩が新鮮だった。だが、この監督はキアロスタミとはまるで感覚が違う。

『太陽は、ぼくの瞳』('99)を観た時はちょっと衝撃を受けた。見方によれば、あざといまでに「映画的」なのだ。
ヘンな例えだが、チリ映画を観たつもりがナイト・シャマランだった!みたいな驚き(何だソレ)。こうゆうケレン味って私は好きだな。これぞ「王道」これぞ「映画」ではないか。

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冒頭暫くの間、真っ黒な画面にクレジットとS.Eが流れる。やがて映し出される盲学校の教室風景。
主人公の少年は盲目で、先の映像は彼の視点だった事が解る。勉強好きでおばあちゃんに温かく見守られながら健気に生きる主人公、なのに実の父親は徹底的に彼を疎んじて追い払おうとする・・・なんて可哀想な物語。

とはいえ、カメラは盲目の少年の場面をテクニカラーの如き色彩を駆使して映す。色とりどりの花畑、鮮やかな衣装、鶏の羽が舞うおばあちゃんのシーンも美しい。
台詞や音楽を出来るだけ排し、カメラの演出で語る巧さ。カット割りも計算され尽くしていて教科書のようだ。父親と少年が歩くシーンでは、川面に近付く少年の後姿に父親のアップをインサートする。それだけでこの父は息子に殺意さえ抱いているのを表現し、その後の伏線にも繋がってくる。要はかなり手練れているのだ。
ナイト・シャマランがヒッチコックを踏襲してるように、この監督も黒澤明やフェリーニなどの影響を感じてしまう(何しろフェリーニの『道』みたいな話だし)。

クライマックスの激流シーン(台詞はずっとない)には思わずヤラれた。嵐が来て小さな橋が崩れ、主人公が馬ごと流されてゆく。そして川に飛び込む父親。役者ばかりでなく、こんなに馬を酷い目に遭わせる監督は黒澤以来だ。死んじゃうって!どうやって撮ってるの!
しかし、このスペクタクルは正に失われた映画の真髄。恐れ入った。

イラン・サッカーも映画も世界の中ではアウトサイダーだ。しかし、イラン映画には日本に公開されないアクション娯楽作品もあり、その歴史も古い。彼らは映画を実によく知っている。それを思うとイラン代表のサッカーも侮れない。

イラン代表といえば、思いつくのはアリ・ダエイ兄貴を頭にした濃いい面々。アメリカW杯予選、日本戦前のアジジの車椅子ギミックも忘れられない。そもそも地理的にも民族的にもW杯予選で日本と同じアジアとはちょっと納得がいかない気もしたりして。

ドイツで活躍するマハダビキア、カリミ、ハシュミアン、ザンディなどの主力選手はすっかり欧州に馴染んでいる。ダエイ兄貴もしたたかに生き抜いている(イラン代表ユニは兄貴のブランド製!)。ドイツ流のダイナミックなサイド攻撃と強靭さ、更にマりーシアを武器にしたイランは、決してアウトサイダーなスタイルではない。むしろ完成された王道的風格があるのでは。
そしてW杯は彼らの同胞も多いドイツが舞台。フレディ髭を剃ってしまった兄貴だが、再び「ウィー・アー・ザ・チャンピオン」の男気が漲りそうだ。

アウトサイダー国は一概に、サッカースタイルまでアウトサイダーだと思ったら大間違いだろう。彼らはサッカーを知っている。我々が思うよりずっと。
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(記&絵/minaco.)
by tototitta | 2006-05-24 16:03 | W杯2006 | ▲ TOP
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