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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
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見たらすぐ書く・W杯観戦雑記 その35
【決勝トーナメント一回戦】セレソン 3-0 ガーナ

過去の「屈辱」を知る者は、その「克服」を見た時に一層の喜びがある。
それはサッカーを長く見続ける事で得られる特権。
昨日のトッティの様に。

ブラジルは長く患っていた病いを、今日克服した。
試合前、大方の予想は「ブラジルの圧勝」だったが、何につけ一応は絶望的観測をするのが癖な僕は違った。
・・・病の名は、アフリカコンプレックス。

現在のセレソンたちは、過去アフリカのチーム相手に幾度も苦い経験をしている。
ロナウド、ロベカルらを擁したアトランタ五輪ではナイジェリアに敗れ、
ロナウジーニョを擁したシドニー五輪では南アフリカ(GL)とカメルーンに敗北。
その再現が脳裏をよぎり、このカードが決まった時からイヤな予感が拭えなかった。


ブラジルの強さの要因の一つに、どの国もブラジルを相手にすると、その「名前」に怖れ、
対ブラジル用の特別なシステムを採ってしまう事が上げられる。
普段の自分たちの良さを、自ら消してしまうのだ。

だが試合開始直後に、ガーナが取った「特別なシステム」を見た時、背筋が凍った。
「ハイプレス、ハイライン」
・・・シドニー五輪でカメルーンがブラジルを葬った作戦だ。

あの時のカメルーンは高い位置からプレスを掛け、更にDFラインを異常に高く設定してきた。
DFラインの裏に広大なスペースが生まれるこの作戦は、一見無謀にも思えたが、
だが、そこを突こうと安易に長いボールを用いたセレソンは、結果いつもの自分たちのリズムを忘れ、逸る気持ちからオフサイドの山を築いた。
組織力に長けたガーナは、その再現を狙ったのだ。

だが、その作戦は五分で破られた。
大会始めから5キロのダイエットに成功したロニー。
・・・点を取る事よりも、走る事の方が辛そうなFW。
俊敏獰猛な怪獣から、怪獣ブースカへと変態を遂げた彼だが、やはりモンスターには変わりない。

しかし、もう一人、、、というかもう一頭が未だ冴えない。
簡単な1対1の場面を決められないアド。
しかも、
ルシオの「痛い痛い」はいつも通りのアレだが、キーマン・エメルソンが負傷。こりゃまずい。
セレソンにイヤな空気が漂った。

だが、今のセレソンはもうあの時の子供ではない。
試合中、ガウショがカピタン・カフーのプレーに怒る場面があった。四年前のW杯でよく見られた光景の、全く逆。
時と経験を経て、大人になった彼らは何をするべきかを判っている。
DF裏のスペースは、今の彼らには「落とし穴」ではないのだ。
そつなく二点目、三点目・・・。

多分、ここら辺がminacoがセレソンを好きでない理由なのかもしれない。
困難に遮二無二立ち向かい勝利を掴むのではなく、無理無く冷静に、確実な答えを導きだすのだ。
人間的な弱さを見せないカナリアたち。
minacoは言う。
「セレソンはサッカーロボット」
・・・お前はオズマか。(『巨人の星』参照)

だが、言い得て妙かもしれない。
かつてのブラジルサッカーは、
「人が走る」よりも「ボールが走る」
と言われた。

だが今は更に進化し、
「ボールを動かす」よりも「頭を動かす」
というサッカー。

「体力」よりも「技術」
から、
「技術」よりも「頭脳」
へ。

「よりもよりもって一体何なのよ!」
・・・そう言いたくなるほど、強い。(スカパー組しか判らないか、コレ)

ともあれ今日、
「ガーナのブラックスター」よりも「セレソンの胸に輝くファイブスター」
は証明された。


ガーナ。
後半。作戦が消滅したと思ったら、監督の姿も消滅していた。
二失点後も序盤の作戦を続けていれば、ブラジルの焦りも生まれたのでは?と思うと惜しまれる。
決して悪いチームではなかった。
だがFWが悪すぎた。エースFWが背番号3ってのも、どこか怖さを削いでいた理由かもしれないが。

「ゴールが見えたら撃て」
日本の指導者や解説者が繰り返し使う言葉。僕はこの言葉が嫌いだ。
(カントナもそう言うが、カントナは現役時代、決してそうじゃ無かった。あれはナイキに言わされているだけ)
この言葉をそのまま実践するかの様に、まだGKの位置を見る余裕があるにも関わらず、兎に角ゴールが見えたらシュートを撃ったガーナ。で、悉くゴールを外した。当たり前だ。
・・・指導者の皆さんは、これを良しとするのだろうか?

ブラジルは、ロニーの得点シーンを見れば判るが、決してそんな阿呆な真似はしない。
世界の一流FWがシュートを早く撃てるのは、状況判断とシュート体勢に入るのが異常に速い故(スイス戦のシェバのシュートは凄かった! 外れたけど。)であり、何でもかんでも撃っているのではない。
ちゃんとプロセスを踏んでいるのだ。

先の言葉は恐らく「ゴールが見えたら、素早くプロセスを踏んで、撃て」と取るべきなのだ。
だが日本では「プロセスよりも撃っちゃえ」に置き換わっている。
日本のFWがシュートを撃たない事が「消極的」と言われるたびに腹が立つ。
彼らは「消極的」でも「臆病」なのでもなく、そのプロセスが異常に遅いだけなのだ(フォローになってないか。。。)。


閑話休題。
ガウショの冷静さが光るセレソン。そこに、「1位でなくては許されない国」の宿命を見る。
それは選手にも言える。
ジューニョ・ペルナンブカーノ。通称ブッコちゃん。
恐らくブラジル以外の国なら何処でもレギュラー、いや背番号10のエースに君臨出来る男。

だが彼はそのポジションに於いて1位ではない。
ガウショの、もしくはゼ・ホベルト(今日の活躍でリトル・ゼに昇格。映画『シティ・オブ・ゴッド』参照)の位置に於いて、彼は2位。
・・・セレソンで、ではなく世界で2位だ。
だが、それは即ちセレソンでポジションが無いことを意味する。


しかし、光明が見えた。
もうアドはいらないと思う。恋人が子供を産んだのに、お前はいつまで妊婦のままなのか。
今日も試されたが、アドを外し、ワントップにすればブッコの位置は生まれる。

世界で2位の攻撃的MFが、2位であるが故にベンチの肥やしになるのは忍びない。
肥やしになるのは、肥えたアドでいい、、、僕はそう思う。
しかも次は、セレソンのもう一つのトラウマであるフランス戦。
フランスリーグMVPの出番だ。



その他、気付いた点。
・3得点後、ほぼ試合が決まったというのに流さず、攻撃にガンガン上がるカフー。
 こういう場面でも嫌らしいほどに存在感を見せつける所が、セレソンに於ける
 彼の牙城を高くしているのだろう。エグイなあ。

・御大ザゲイロ、もう少し日陰に置いてあげて。。。




(記/なるほ堂)
by tototitta | 2006-06-28 23:47 | W杯2006 | ▲ TOP
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