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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
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見たらすぐ書く・W杯観戦雑記 その41
【準決勝】フランス 1-0 ポルトガル

貧しい一人の女が、男にささやかれ過去を焼き捨て、大きな屋敷の「愛人」になった。
生まれ変わった女は、もう抱かれるだけのおもちゃではなかった...。
(「松本清張 けものみち」より)


『ポルトガル けものみち』あらすじ(02年W杯敗退後〜現在)
それまで、器量の良さから「きれいね」とは呼ばれても、どこか野暮ったい田舎者風情が抜けなかったポルトガル=フィー子(コ)。
華やかな檜舞台(EURO、W杯)での活躍を夢見れど叶わず、お店(寿司バー)を出しては閉店に追い込まれ、職場(ベルナベウ)では豚の顔を投げつけられるなど、彼女にはどこか薄幸の影が付きまとっていた。

そこへ、いわくありげな男(フェリポン)が現れる。
「行き先のわからない乗り物に乗ってみないか」

その囁きに乗ったフィー子は、もう足手まといだった夫(ルイ・コスタ)を焼き殺し、「けものみち」へと足を踏み入れる。
「頂点に立つ為なら、私何でもやるわよ。」

フェリポンに勧められるままにデコの愛人となり、それまでは縁遠かった裏社会の殺し屋DFやチンピラドリブラーを味方につけ、フィー子は破壊と享楽の世界へと踏み込んでいく。

情夫デコに、したたかに生きる裏の術を学びながら、一つ一つ野望を叶えていくフィー子。
そこに、かつての美しいパスサッカーを目指していた頃の純真な瞳はもう無い。
「もう過去の私じゃない」
・・・
生まれ変わったポルトガルは、もう「奇麗なサッカーをする」だけのおもちゃではなかった...。

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かつての「(勝てないけれど)奇麗なサッカー」をかなぐり捨て、EURO04で準優勝し、更にW杯ではベスト4まで上り詰めたポルトガル。
minacoはその変貌ぶりを松本清張「けものみち」に喩えた。
(それを「つまり、こう言う事か」とまとめたのが上記)

現在のポルトガルは勝つ為には手段を選ばない国、彼女はそう見る。
・・・同感。
サッカー史上最高の男前パウロ・ソウザ様がピッチに君臨していた時代とは違い、現代表は顔もプレーも、まあ上品とは言えない。
「わるい男(ブラジル人)にそそのかされた、田舎の純情少女みたい」
悪いブラジル人・・・は兎も角、サッカーの質が変わった事は確かだ。
(以前のポルトガルをベタ誉めしていた文化人各位はどう思ってるんでしょうね)


わるい男その1、フェリポン_
彼の監督としての原点はグレミオにある。
ブラジルのサッカーと言えば、先ずリオ・デ・ジャネイロ州とサンパウロ州のクラブを思い浮かべるだろうが、このリオ・グランデ・ド・スル州に属するポルト・アレグレ市に構えるグレミオは、上記の二州のスタイル(大まかに言えば、リオ・デ・ジャネイロ=個人技、サンパウロ=組織)とはひと味違う。

グレミオはアルゼンチン的な激しさ、言い換えればラフが売りなのだ。
(余談/一国内に様々なサッカースタイルを指向する州を抱えるのがブラジルの強さでもある。またロナウジーニョ・ガウショがブラジルに数多いるクラッキの中でも例外的に欧州サッカーの激しさに順応出来たのは、彼がここグレミオ出身であるが故と考える。)

フェリポンが就任してから、ポルトガルの守備はかなりラフになった。
ボールを持った敵選手の弱みに付け込むかの様に、ガツガツと襲いかかる姿は以前のポルトガルには無かった。
それ以前より、FCポルトを率いたモウリーニョがポルトガルサッカー界に激しい(汚い?)守備を植え付けていた事も、フェリポンの仕事を容易にしていた。

南米サッカー派の僕からすれば、そのエグさは許容範囲だが、そうでない方(特にイングランドサッカーファン)には、ポルトガルのそれは欧州の騎士道的精神の欠如に映るのだと思う。
敵に息をつく暇を与えない、盗賊団さながらの激しい囲い込みは、ともすれば相手の攻撃を受ける度量に欠く、と思われるのかもしれない。

その評価は、皆様に委ねよう。
ただ、今にして言える事だが、前回セレソンが優勝したのは、このフェリポン流守備に負う所が大きかったという事。
フェリポンのいない今回のセレソンは、ただのおもちゃだった。


わるい男その2、デコ_
昨季のFCバルセロナで見た光景。
浮き球を胸トラップしたガウショが、そのままボールを地面に落とす事無く、敵DFの頭を越すループパスをデコに送った。
すると、それを受けたデコは涼しげに、全く同じプレイで敵DFを越し、ガウショにボールを返した。
デコの技術は底知れない。しかも粋だ。

ガウショが表の技使いなら、デコは裏の技使いである。
「ちょいワルおやじ」のダンディズムとも言おうか、デコはその実力の殆どを隠している。
それは10代の頃にブラジルから騙されて(事実)ポルトガルに売られてきたデコが、自身もこれまで「けものみち」を歩んだ中で身につけた術と思う。
「懐に隠した武器は見せびらかすものじゃない」

デコのプレイには80年代初頭のプロレス界に「ヒール(悪玉)・チャンピオン」として君臨したニック・ボックウィンクルの言葉を思い出す。
「相手がワルツを踊れば私もワルツを踊り、ジルバを踊れば私もジルバを踊る」
独りよがりなダンスを踊り、その技術を見せ物にするサッカー選手が多い中、デコの存在は貴重だ。
少年時代、ニック・ボックウィンクルのズルさに憤りながら、そのプロ・レスリングの懐深さを思い知らされた僕には、今のデコのプレイは限りなく魅力的に映る。
例え加賀まり子さんしか賛同者がいなくても言おう、デコはセクシーだ!(しつこい)

フェリポン同様に、このデコを欠いた事もセレソン敗退の原因だったと思う。
「デコはセレソンにはいらない」
パヘイラのその一言が、デコのポルトガル帰化のきっかけとも言われる。
しかもパヘイラはデコのプレイを一度も見る事無くそう言ったと後に述べ、デコに謝罪している。
つくづく、奢りだったと思う。。。

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前置きが長過ぎた。
「けものみち」を歩みながら、W杯ベスト4まで辿り着いたポルトガル。
だが、そこに待っていたのは彼ら以上に「わるいやつら」、、、フランスだった。

フランスのしたたかさと、主審を惑わすあざとい演技の前に、ポルトガルは所詮、小悪党に過ぎなかった。
わるさの年季が違うのだ。

98フランス大会以降、
攻撃にはやる敵に網をかけ、じっくりといたぶる様に囲い込むフランスは、ある意味美しいサッカーを求める者たちの敵だ。
彼らには1対0というセコい勝ち方しか出来ない。(今日の試合中、客席のみならず味方ベンチさえもつまらなそうな表情だった)
しかし、そんな批判も意に介さず、サディスティックに敵を追いつめ、サッカー界の裏の力に愛されながらただ実利のみを求める彼らこそ真の悪党(←決してネガティブな意味ではない)と言えよう。

化けの皮を剥がされたポルトガルは、もとの小娘サッカーに逆戻りしてしまった。
未だ残り時間があるのにシュンとして、さっさと負けを悟ってしまったフィーゴ・・・いや、フィー子。
ただの珍走団に成り下がった塩ナウド(もとからそうだが)。
アンリの悪辣なそれと比べ、あまりに田舎芝居なダイビングを繰り返しては「ファールを・・・」と懇願する選手たち。
・・・彼らの主審に哀れみを求める瞳は、「けものみち」を歩む以前の薄幸な小娘のそれであった。

ポルトガルは敗れた。
悪の道に入りながら、しかし染まりきらず、審判の愛を求めた為の必然だった。
また、これまでが上手く行き過ぎていたのだとも思う。

『♪アンリの足へ、足を引っかけて、「こっちが削られた」って芝居、続けてきたけれど、
主審も割と、よく見てるようで、早々笛を期待してもいられない。。。』

・・・中島みゆき風に唄えば、そういうことだ。

だが、今更ポルトガルが更正する訳にもいかない。否応無く、これからはロナウドの時代。
彼は「けものみち」しか歩めない男だ。さもなくば「塩の道」しか無いから。

この敗北も、真の悪女になる為の必然と思えば良い。
『♪悪女になるなら裸足でW杯のピッチで泣いてから。
・・・涙ポロポロポロポロ流れて枯れてから。』



その他気付いた事_
・またテレビ東京、、、おかげで、今見終わりました。スカパー組。
・守備でリズムを作れるフランス。そのやり方を讃えながらも、しかし「つまらん」の思い甚だしい。
 GLだとこのサッカーは勝ち点とりにくいから苦戦するけど、決勝Tだと嫌になるくらい強いな。
・スタンドにシャビエル! 前々回のEURO、こいつのハンドで負けたんだよな〜。懐かしい。
・デコ、、、ジダンとは味方の力量が違い過ぎた。
 フランスはデコの為にプレーしていたが、ポルトガルは皆自分勝手にプレーした。
 でも、デコのボールを弄ぶようなタッチは素敵だった。ああ、ボールになりたい。。。




(記/なるほ堂)
by tototitta | 2006-07-06 22:59 | W杯2006 | ▲ TOP
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