ユナイテッドは南アフリカへの
「ギグスのPlayer's player of the year賞おめでとう旅行/副賞はネルソン・マンデラに会えるぞツアー」を終えたところでしょうか。
私は
ツール・ド・フランス を気の重い日々の一服の清涼剤にしています。気が紛れる。
W杯の最中から始まって、いよいよパリにご到着間近。ランス(ガチ・アメリカ殿堂入り)去りし後、バッソもウルリッヒもヴィノクロフも欠場という開幕前からの大波乱ですが、日替わりマイヨの行方は最後までわかりません。いやあ山岳最終日、ランディス決死の水掛け祭りアタックは凄かった。
今年は魔物が前半で大暴れ。落車に流血、ガードレールを越えて吹っ飛んだり、コンクリート壁にクラッシュしたり、とんでもなくアチャーなシーンに肝を冷やしました。
しかし自転車の困った所は、選手の顔が解りにくいこと。男前を探すにはちと辛い。
毛ガニことケエス・デパーニュのペレイロ(スペイン)がちょっぴりマルケス入ってる微妙な男前かというくらい。サイクリストの男前はどこにいるんでしょう。
ツール観戦歴は浅いけれど、それゆえ未知の世界を探求するのは面白い。これはまるで昔、大相撲を観始めた頃に似ている。よく知らない競技を見始める時、TV中継の影響力って大である。大相撲で言えば故・出羽錦さんの
「川柳」とか、ツールで言えば市川雅敏さん(ガチ日本殿堂入り)の
シュートな解説 とか、押さえて置くべきポイント。これを楽しめればすっかり通気分。
そもそも、ツールというかサイクル・ロードレースと大相撲には共通するものがある。
・ルールはあるけど
しきたり が大事。
・個人競技であり団体競技でもある。部屋制度あっての大相撲。チームあっての自転車レース。援護射撃が肝心。
・番付と格付け絶対主義。横綱=エースと平幕=引き役、使いっパ役のはっきりした格差。
・各賞狙い。相撲には三賞(技能賞、敢闘賞、殊勲賞)マイヨには4賞(総合、山岳、ポイント、新人)。
・土俵の怪我は土俵で治せ。ツールの怪我はツールで治せ。
多少の怪我をしても走り乍ら治療してしまうのがツール。
・歴史ある大会。王者の記憶と共に「〜時代」と呼ばれる。
・あと、ツールで道端のファンが通り過ぎる選手をバチバチ叩いたりして応援するのが、花道を通る力士に触れようと手を出す相撲の観客に似ている。ファンのノリが「ハレ」の高揚感。
とまあ、欧州の馴染みの薄い競技も、日本の大相撲を思えば解り易い。不文律のルールや礼儀作法こそが、競技の本質を成すからだ。外国人が多い今でも選手(力士)は競技の本質でのみ評価される。逆にそれを尊重しない新参者は冷たくあしらわれる世界。だからツール7連覇のランスでさえ、欧州での評価は厳しい。
ツール主催者は言う。
「勝った選手が偉いのではない。ツールが偉いのだ」 と。ツールで勝ったからこそ、選手のステイタスが高まる。この偉そうな心意気、好きだな。ウィンブルドンもジ・オープン(全英ゴルフ)も、歴史ある大会には太くて強い芯が通ってる。
ウィンブルドンといえば今年からレフリーのユニフォームが変わったらしく(ストライプシャツにハンチング)、夏らしくてなおかつトラディッショナルさを忘れない新スタイルは結構カワイかった。レフリーのストイックな立ち姿やボールパーソンの身のこなし、雨が降れば一糸乱れぬ迅速さでコートを覆うそのチームワーク(たまにコケる者あり)など、競技への敬意とプロフェッショナリズムを観るのは気持ちいい。
W杯がフットボールの根幹や本質から離れゆくのを観ていると、同じ時期に開催されるこれらの大会に心を洗われる思いだ(勿論ツールもゴルフもテニスも抱える問題は多いのですが)。
それにまだ特定の選手に思い入れがないのが、気楽なのでもあります。
(記&絵/minaco.)