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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
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寿司とフルーツ盛り/ミラン対ユナイテッドプレビュー
(記/なるほ堂)

下記事『鍋とカレー/リバプール対チェルシー評』に続き、もう一つの試合。
CL準決勝2nd、ミラン対ユナイテッドを見る前に、その展望を記しておこう。

「ユナイテッドは老舗の寿司屋である」
──Minacoは、いつも言う。悪魔寿司。

長年この寿司店を一人で切り盛りする、頑固な老大将ファーギー。寿司の土台、銀シャリとなる米は自ら裏の田圃で無農薬栽培し、またその上に乗せるネタは船で釣ってくる。客に飛びかかっちまう様な「活きの良すぎる魚」こそ、いつもこの店一番の売り。そんな魚も、使い込めれた大将の包丁に掛かれば、見事にまな板の上で捌かれる。勿論寿司だから、素材そのままの味で勝負だぜ。

無論、釣果はその折々の潮次第。上ネタが上がれば惜しげも無く客に振る舞い、針の掛かりが悪い時は、その時はその時だ。

「こんな時もあるさ。飛行機事故で、積んでいた大切な食材を失った時もあったじゃないか」

と、常連さんも我慢我慢。

さて──散々深夜に食い物の話ばかり書いているせいで、流石に小腹が空いてきたようだ。折角のゴールデンウィークだもの、Minacoの目を盗み、ちょっと奮発してこの『悪魔寿司』の暖簾を潜ることにしよう。やあ、大将。

「おや? 『お祭り屋台★バルサ★』の常連さんじゃないか。どういう風の吹き回しだい?」
「あそこは早々に店じまいしちゃってさ。知ってる癖に、大将も人が悪いなあ(笑)。じゃあ生と、、、握りはお任せで」
「へい。じゃあ今のウチの7番メニュー(=看板メニューの事らしい)を」
「おお、なかなか喰えない奴だねぇ。相変わらず“足癖”は悪いけど、でもいい味になって来たじゃないの」
「こいつをポルトガルのマデイラ沖で釣り上げた時ゃ、どうしてくれようか困ったもんだったがねぇ(笑)。根気よく“塩抜き”したら、今じゃ大トロ・ルーニーと並ぶ、うちの看板よ」

──いつもの頑固親父も、今季の“三ツ星”も狙えそうな繁盛ぶりに舌も滑らだ。

「大将。ちょっと前には、ロンドンの家庭菜園でフランスハーブとやらを育ててる、怪しい仏人シェフに客を奪われてたって聞いたけど」
「な〜に。自家製とか田舎風料理とか謳っても、アンリっていうフォアグラが無くちゃ、あの店はシャンパンの泡も立たねえ」
「でも、あのロシアチェーンの『チェルシー鍋店』には参ってるんじゃないの?」
「てやんでい。あんな無法に商店街に悪臭まき散らして、しかも味も“脂(モビッチ)こってり”じゃ、早晩廃れるのがオチさ。今の世のヘルシー指向に適うのは、この寿司だけよ」

ううん、威勢がいいネ♪ その後も、

「ケイロス副板長、どんどんカッパ巻だね」
「キムチ寿司は来年は食えるのかい?」
「メッシーナに、いい和の食材があるんだけどさぁ」
「このシャリいいね、アラン・酢飯だね」

などと、会話は弾んだ。だが、

「けどさあ、今度のお客ACミランってのはなかなか手強そうだね。なかなかの食通らしいし。この寿司みたいに、一口で丸呑みされちゃったりして〜」

──しまった。ほろ酔いでうっかり口が走ってしまった。

大将、顔が紅潮している。いつもだが。兎に角この人を怒らせちゃいけない。機嫌の良い時は営業中にも関わらず、気前よくカウンター越しに即席サイン会をしてくれる大将だが、しかしこの方、、、短気にかけては並ぶ者無いのだ。

かつて、手塩にかけて仕込んだ看板メニュー、甘エビ・ベッカムから“スパイス臭”を嗅ぎ付けると、

「そんな臭いネタ使えるかい! 出てけ! 二度とうちの敷居を跨がせるかい!」

と放り出したのは有名な話。

また、あれだけ売り上げに貢献した馬刺も、新メニューとの「食い合わせ」の難や、旨味が落ちてきたと見るや否や、まだまだ使えるに関わらず店のメニューから外してしまった。兎も角、鮮度が第一。それが落ちた食材に、もう用は無いのだ。

確かに、この短気さこそがガラスケースにいつもフレッシュな食材を並ばせ、結果この『悪魔寿司』を長年に渡って名店足らしめている所以ではある。だが、しかしこの大将の“気まぐれな逆鱗”に触れる側に立つ者は溜ったもんじゃない。

すわ、ロッカールームなら靴で済むが、板場では包丁が飛んでくるやも──そう怖れていると、カウンター越しに鉄拳・・・ならぬ鉄火巻きが差し出された。

「へい、ギグス巻き」

大将はそう言った。元ドライブ狂のギグスだけに“車エビ”かと思っていたが、こう来たか。この海苔は・・・はは〜ん、あの海苔の様なギグスの胸毛がモチーフだな。早速一口齧ってみる・・・ムムム、これは! サビが利いてる。しかも強烈に!

(わかったよ大将! 「たかが寿司と侮ると、痛い目に合うぜ」って言うメッセージだね!)

声にならない僕は、涙目で答えた。すると大将は悪魔の笑みを浮かべ乍ら、

「じゃあ、もう一丁。スコールズ巻きを・・・」

流石に、これ以上は勘弁だ。

「い、いや。お愛想を・・・」

++++++

夜の街へと出た。

値段の書いていない寿司屋での会計は、いつもどちらに転ぶか判らないユナイテッドのゲーム展開同様にスリリングだったが、それは案外とリーズナブルだった。思えばユナイテッドも、そして寿司も、高級感と庶民性を共に持ち併せている点が共通している気がする。それって、なかなか珍しいのではないだろうか。そして、きっとそれこそが、両者がこんなにも幅広い層に愛されている所以なのだろうね。

──そんなことを考えていると……

いつしか四隅に螺旋階段を配した、見知らぬ、しかし何処かで見た様な建物の前に出た。ここは何処だ? そこの看板には高級会員制ホストクラブ『美蘭・三四郎(ミラン・サンシーロ)』とある。怪しい。僕はたまたま持ち合せていた女装グッズで化け、客を装って店内に突入した。

ロビーには見目麗しき男たちの、しかしパンツ一丁のあの写真。目のやり場に困る。その奥、店内を見渡すと「監督」と呼ばれる、しかし配席係が、「首相」とか「プチ整形」とか呼ばれている支配人の目を気にしつつ、忙しく働いていた。一番賑やかなテーブルには、店のナンバーワンらしきブラジル人色男。取り巻きのミラニスタ美女たちに「カカ様♡」と囃され乍らも、しかしその見た目に似合わず甲斐甲斐しくお客をもてなしている。

他にも、赤黒のスーツを纏った各種様々な色男たち。

売り出し中の若手グリュキュフは照れ乍ら、ピッポは太々しく、ネスタは長髪をなびかせ、セードルフは過去に各店を渡り歩き乍ら何度もナンバー1を取って来ただけあって貫禄たっぷりで、ピルロは眠たそうだ。専属美容師オッドまで居る。それにしても先程からジダという名札を付けたボーイらしき大男が、何遍も手を滑らせてお盆をひっくり返すのが気掛かりだ。

「(これが、ミランか・・・)」

雰囲気に圧倒され、思わず声が漏れた。(ミランファンの方々、我が貧困な発想にお許しを...)

「この方を指名するわ」

折角なので僕は選手名鑑もといカタログ写真の中で、唯一抱かれても良いと思える色男を指名してみた。これも勉強だ。だが、ビリーという名のボーイ長は申し訳なさそうに、

「済みません。当店の看板・マルディーニは、只今お休みを頂いておりまして・・・」
「じゃあ、今一番フレッシュな子を呼んで頂戴」
「申し訳ありません。入店したばかりのロナウドは、最近まで他所の“太っちょパブ”で働いていたもので、UEFAの規定で今季はお店に出られないんです」

残念だが、これはユナイテッドには良い話だろう。殊に、マルディーニの欠場はMinacoにとって朗報に違いない。ボーイの「あのぉ、オリベイラは如何でしょう? 何処へなりとお持ち帰りも可能ですよ」なんて声も、最早耳に入らない。

そういえば、

「ユナイテッドが寿司で、チェルシーが鍋で、リバプールがカレーで・・・じゃあミランは何料理なの?」

という僕の問いにMinacoは、

「わからん」

としか答えなかったっけ。でも、どうやらその答えを、僕は偶然に見つけてしまったようだよ。それはテーブルの上にあった。

我曰く──、
「ユナイテッド選手が寿司屋の寿司ならば、
ACミランはホストクラブの“フルーツ盛り”である」

近頃は支配人の趣味か、南米ブラジル産のパッションフルーツがメインのフルーツ盛り。料理と言うか、まあぶっちゃけカットして皿に盛っているだけなんだけど、だがこういう店で頼むと高いんだな。

でも、そんな無理をも客に納得させてしまうのが、このクラブ特有の「ブランド力」なのだ。伝票に一皿五千円と書かれるのを承知で、皆が喜んでフルーツ盛りをオーダーする。ボッタクリと言っちゃ野暮ってもんだ。

「ACミラン──よくよく見ると庶民的だし、結構年寄りも多いが、しかしそこには絶対的な高級感、安心感があるクラブ。これは一体、何故なんだろう?」

++++++

──残念乍ら、僕の探索はそこで終わり。
鼻の利く番犬に女装を見破られ、身ぐるみ剥がされた僕は店を追い出されてしまった。そういえば店先に「猛犬注意」とあったっけ。忘れていた。パンツ一丁、円らな目をしたガッツという名の、しかし猛犬とあっては太刀打ち出来ない。仁義を欠く客は許さないらしい。

ともあれ、決戦はこれから。
ミラノまで出前の寿司屋が勝つか、迎え撃つフルーツ盛りが勝つか、一体どういう試合になるのか、ところでホストクラブでも寿司を食べるのか、色々妄想は尽きない。

夜風が身にしみる──。
目の前を通り過ぎて行くのは、リバプールのカレー屋と福神漬けたち。その手にはアテネへのチケット。
「それにしても・・・」
ポツポツと消えゆく商店街の灯りを眺め乍ら、呟く。
「このゴールデンウィークに何を妄想で費やしているのやら」
だが、それも楽しい。それが僕の楽しみ方。
今しばらくは、この空想の中の夢の街チャンピオンズリーグで過ごすとしよう。
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by tototitta | 2007-05-03 15:41 | Manchester United | ▲ TOP
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