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イラストレーターMinacoとなるほ堂が、サッカーのこととか、映画のこととか、日々日常に関して、その情熱の総てを地球にぶちこんで叩き付け、戦い挑み、愛を説く日々の記録。
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ああ、サンシーロの夜は更けて
(記&絵/minaco.)
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<CL SEMI FINAL 2nd leg / MILAN × UTD>

思えばフットボールを見始めた頃から、私の夢を打ち砕くのはいつも決まってブラジル人。故に我が家には、決して越えられぬ川がある。おそらく自分は前世でブラジル人に酷い事をしたに違いない。そうだ、きっとそうなんだ。今度ブラジル人に会ったら平に謝るから、もう許してね。


ガッツことガットゥーゾが新聞に投書した手紙を見た時、やられたな、と思った。
イタリア人は演劇的だ。イングランドはシェイクスピアの国だが、イタリアはその日常が演劇空間である。ピアッツァでもメルカートでもカーサでも、イタリア人はすべて手八丁口八丁、豊かな演技に彩られている。

オールドトラッフォードは「シアター・オブ・ドリームス」と呼ばれるが、この夜、サンシーロこそ正に劇場だった。
まずは”狂言回し”ガッツが現れて、観客に前口上を述べていた。
「俺達をアテネへ飛び立たせてくれ」
そんなガッツのポエムが、観客を掴む。イタリアの威信、カルチョの汚名、ドラマの舞台装置とストーリーのアングルはアズーリのW杯と似ている。あの大団円に酔った観客達は「待ってました!」と大喝采。演出はバッチリだ。

これにはユナイテッドのポエマー・カントナ(代表作「トロール漁船とカモメ」)でなけりゃ、敵わない。アイリッシュ詩人おシェイ(代表作「アンタの夢を叶えてやったぜ、ギャリー」)じゃ太刀打ちできない。ここではユナイテッドは悪魔ではなく、ヒールの役回りだ。

後が無い劇団ミランは、役者生命を賭けた一世一代の舞台を整えた。老女優が楽屋で舞台化粧を施すように、ピッチも美しくなっていた。
かくして主演カカ、狂言回しガッツ、その他ベテランと名脇役達の大舞台が幕を開けた。

雨に濡れた芝は滑るし、2戦目がホームの方がやっぱ有利だし、何よりリーグ優勝を争うチームとそうでないチームのコンディションの差、言い訳になるけど、それは大きい。
ユナイテッドは相手にボールを持たせて勝負できるチームではない。カウンターに賭けるのは当然だけど、シーズン終盤になってさすがのロンも疲れている。ギャリーの不在も堪える。

1人気を吐いていたのはガビー。こう言っちゃ失礼かもしれないが、若い頃色んな国のビッグクラブではない経験を積んでいる分、劣勢の試合に慣れてるというか。プロレスに例えれば、ドサ興行で鍛えられた強みって奴だ。ガッツ対ガビーは、デ・ニーロ×パチーノの競演みたいに、噛み合うようで噛み合わないような奇妙な化学反応を起こしてた。

ミランの勝因は老獪さや経験値というより、もう一面の、彼らの演劇性にあったように思う。シナリオを得た役者の演技力の違い、というべきか。
プレイで語るべき言葉を持ってはいるけど、サンシーロではその表現力に差が出た。
日頃4文字言葉で自由に表現するユナイテッド選手も、いきなりオペラの舞台に上げられては勝手が違いすぎる。「舞台あらし」(by北島マヤ)とはいかなかった。
一方、ガッツは芸が細かい。熱くなる選手に見えて、実際一番冷静かつ忠実に役をこなしてるガッツは千両役者だ。

そして、イタリアは窮地に陥るほどファミリアの結束が物を言う。楽屋にはレオ、一等席にはヴィエリまで配置されていた。恐るべし、ミラノ・コレクションならぬミラノ・コネクション。
ハッピーエンドで幕が下りると、カーテンコールで舞台袖から座長マルディーニが登場し、「ブラーヴォ!」の喝采に応える姿(ファッションショーの最後に出てくるデザイナーにも見えた)。すべてシナリオ通りだった。

でも。
この敗北を悔やんではいない。

なるほ堂は「もっと早い段階でファウルを仕掛けるべき」ともどかしがった。レアルがよくプロビンチャの相手にやられるように、ファウルで流れを寸断するのは格上相手にとって嫌な手だ。
例え今日のミランは格上であったとしても、でも、そんな事はユナイテッドのする事じゃない。

ぶっつけで復帰させたヴィダとブラウンのCBコンビは、またしても賭けだった(2年前と同じだなぁ)。でも、ギャンブルはユナイテッドの性である。
守備に必ず2、3人でプレッシャーを掛けるミランに対し、ユナイテッドは基本的に1対1で勝負。でも、ボールを奪う時も持った時も、「オレに任せろ、助けは要らん」と偉そうにプレイするのがユナイテッドなのだ。
確かにスミシーを使わなかったのは私としても残念だけど、でもそれも予想の範疇。

ユナイテッドが負ける時はいつも、ユナイテッドだから負けるのだ。
むしろ、それが誇りですらある。
トレブルは達成当時よりずっと難しいのが現実。
でも欧州で勝つ為の課題があるとしたら、それはよりユナイテッドらしさを極める事だけだ。(←開き直り)

但し、ウチのオーバー30'Sにはビッグイヤーを掲げさせてあげたかった。それだけは心残り。
まあ、ダブルがあるさ。

<きょうのオマケ>

この試合の前に、また夢を見た。
自分がCLらしき試合の控えメンバーに入ってる。ルーたんやリオに混じって、やる気満々だけど右も左も解らずウロウロする自分。ファーギーにも指導されてしまう。ど、どこへ行けばいいの、と、とりあえず誰かに付いて歩けば、ルーたんが凄くなついてくれたのが嬉しかったデス(←妄想入ってるよ、自分)。
by tototitta | 2007-05-04 23:10 | Manchester United | ▲ TOP
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