(記/minaco.)
レアル・マドリーにまたもオランダ人が増えた。スナイデル離脱のショック覚めやらぬ間に、ラフィが新加入。ゴージャスな嫁も連れて。
このカップルは母国で「オランダのベッカム夫妻」としてメディアを賑わせていた。ヴィクトリアみたいな豪妻なのかどうかは知らないが、芸能人と結婚=派手なフットボール・ワイブスのセレヴ・ライフ、のレッテルを貼られたらしい。旦那が
ピュアなヘタレ感を漂わせてるせいもあるかも。とはいえ、「元・スパイスガールズ」より「元・オランダで最もセクシーな女性」の方がいいな!
前置きが長くなったが、そんなラフィが先日ルートのオランニェ引退についてコメントしたのが心に染みたので紹介しておく。
「残念だよ。彼が将来について考えてるのは知ってたけど、続けると思ってた。
彼はオランニェの歴代最多スコアラーになろうとしてやってたんじゃないし、クライファートからそのタイトルを奪おうとしてたんじゃない。もしそうだったら、まだ代表に留まってたんじゃないかな。
ルートはオランニェでタイトルを獲りたがってた。でも、充分値したに違いないよ」
ううう、泣ける。泣かないけど。ありがとう、ええ子やラフィ…。若い子らに思いが伝わってるのなら、こんなに嬉しい事はない。
ルートのオランニェ得点記録は、64試合で33ゴール。歴代トップスコアラーのクライファートまでは、あと7点だった。
田舎では、「心」を「量」で表す。
農家の親戚は、自分の畑で獲れた野菜を山のように寄こす。食いきれない程でも。
盛岡名物「わんこそば」は、客が椀にしっかり蓋をするまで延々とそばを放り込むのが「おもてなし」の振る舞い。もう食えないと懇願しても。
大抵の年寄りは「さあ食え食え」と色んな物を差し出してくる。こっちは腹など減ってなくても。
ルートのゴールも、それに似ている。
都会では銀座老舗の高級な「お使い物」が喜ばれるとしても、彼はダンボール箱一杯に詰め込まれたナスやキュウリを振舞ってきた。農民は貧乏性だ。相手も飢えてるはずという前提があるので量こそすべて。それが最もダイレクトな厚意で、最もダイレクトな「人助け」になるのだ。だから彼はクラブの、オランニェの空腹を満たすために大量のゴールを差し出した。
誰も飢えてないとしても。
ゴールの質よりも量で測られてきたストライカーは、きっとそれで満足だ。
さて、この夏に引退をしたブラバント人がもう1人。
競泳金メダリストの
ピーター・ファン・デン・ホーヘンバンド選手である。世界にその
長い名前を轟かせた彼も、今回の五輪では自由形100mのみ出場し、結果は5位に終わった。
オランダにて北京五輪は真夜中の放送である。オランダ国民は眠い目をこすり、彼の最後のレースに釘付けになったとか。
オランダTelesportsの記事で、ホーヘンバンドくんは語る。
「TVの前にパジャマ姿で僕の100mを観て、シンパシーを抱いてくれた人々がいた。
ルートもそう。国民が僕の為に真夜中に目覚まし時計のアラームを押してくれた。僕にとって、それが最も美しい賛辞だよ。」
(ちなみに、「選手村で北島が言葉を掛けてくれた事に感激したけど、日本語だから何言ってるか解んなかった」ともw)
同じくPSVアイントホーフェンに所属していた2人は、ホーヘンバンドくんの父親がPSVのドクターだった事もあって、当時からのお付き合いと思われる。ホーヘンバンドくんはPSVの熱狂的ファンでもある。地元で挙げたルートの結婚式ではファーギー、スタムと共にホーヘンバンドくんが参列していたのを見た。ルートはレースを観た後、彼にメッセージを送ったらしい。
そんな訳で、ブラバントの人々にはちょっぴり切ない夏となったようである。
【ほぼ対象限定オマケ】
エキサイトにyoutubeが貼り付けられるようになったんで、試しにどうぞ。
NIKEの
あのCMメイキング映像です。選手達のリラックスした素の表情が楽しい。ロンが台詞を噛み、スナイデルがボケて笑いを取り、監督ガイ・リッチーが腕ひしぎ逆十字を掛け、ルーたんは偽ユナイテッド選手らと一緒に、そしてルートが(恥)。やたら彼の場面が多いのは、それだけNG出しまくってたって事かしら。