(記&画/minaco.)
アクション映画とミュージカル映画はアイディア勝負だ、とワタシは思ってる。
どちらも身体を使うし、アイディア次第で何でもあり。カーチェイスでもガンアクションでも、美術セットでも振り付けでも、大げさに言えば「これまで誰も見た事のないような」ネタを考え、挑戦するモチベーションこそが映画の出来を決めるのかもしれない。
とはいえ近頃は技術の進歩でどんな事も可能になって、大抵の事は「CGだから」と驚かなくなってる。要は、「最初にやったもん勝ち」なんである。
先日観た
『ウォンテッド』('08)では、
“銃弾の軌道が曲がる!”というのが新ネタとして登場した。ありそでありえねー。手首でスナップ利かせて標的を撃つフォームが、テニスで言えばバックハンドでスピン掛けるみたいでカッコイイ。まあ、結局気合で曲げてたりするんだけど。
ぶっちゃけ、映画はこのネタだけで最後まで持ってっちゃうんだった。文字の遊びとか、暗殺指令が機織り機だとか面白い小ネタもあるけど、単純に「弾が曲がるぜ!」だけで1本撮れるという話。確かにバカバカしいし、やったもん勝ちだ。
プロレス的に見ても、虎の穴でベビーからヒール転向、悪徳オーナーやタッグパートナーの裏切りなどありがちなアングルが見て取れる。なのに、どうもプロレス脳でワクワクしないのは何故。
『キング・オブ・スコットランド』で思いっきり痛々しい拷問受けたジェームズ・マカヴォイくんは、再びエグい修行シーンで身体を張る。『つぐない』でも惨い目に遭ってたし、やってる事いつも同じw 新人レスラーによくある、相手の技を受けてボコボコにされるのが一番の見せ場という事かな。
フロント役モーガン・フリーマンは油断するといかりや長介に見える。ダメだこりゃ。
最強ディーバ(女子プロ)なアンジー姐さんはムダ脱ぎまでしてくれるけど、痩せすぎてどうも老けて見えてしまうのが気になった。
そもそも主人公の属する暗殺者集団は、「1人を始末して1000人を救うのだ」と言いながら、どう見ても
「1人殺る為に1000人以上犠牲になってる」んですけど。それでもプロ?
何より団体内での抗争に終始してるので、主人公の覚醒にも爽快感がない。単に、
フロントがプッシュした新人レスラーが調子に乗ってブックを壊すという、しょっぱいプロレスになってしまったんではないかしら。
しかも、デスマッチでハードコアな試合ばかり見せられるのがちと辛かった。やはり流血するにも芸が必要だと思うのよ。バイオレンスと鼠、それからホッチキスが苦手な
(←それワタシ)方は、お気を付け下さい。
てな訳で、いくらアイディア勝負でもプロレスがしょっぱいとイマイチという場合もある。アクション映画は奥が深いね。